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細胞分裂
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理研など、患者由来iPS細胞による脊髄小脳変性症の病態を再現
患者由来iPS細胞による脊髄小脳変性症の病態再現 −小脳プルキンエ細胞変性から病態を理解し、創薬への道を開く− <要旨> 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター非対称細胞分裂研究チームの石田義人客員研究員、六車恵子専門職研究員らの共同研究グループ(※)は、脊髄小脳変性症[1]の患者からiPS細胞を樹立し、小脳プルキンエ細胞[2]を分化誘導させ、病態の一部を再現することに成功しました。また、疾患由来の小脳プルキンエ細胞がある種のストレスに対して“脆弱性”を示すことを突き止め、この脆弱性を抑制する化合物の評価系を構築しました。 遺伝性神経変性疾患の一つである脊髄小脳変性症6...
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生理学研究所、染色体に似た構造をシアノバクテリアの一種で発見し低温超高圧電子顕微鏡を用いて解明
染色体に似た構造をシアノバクテリアの一種で発見し低温超高圧電子顕微鏡を用いて解明 ■内容 生物は大きく核を持つものと持たないものに分けられます。私たちの細胞は核をもち、細胞が分裂する際に核が消えて染色体という構造になり、新しく生まれる2つの細胞に均等に分配されます。一方バクテリアは核を持ちません。細胞が分裂する際にも、染色体のようなはっきりとした構造体はこれまで確認されていませんでした。今回生理学研究所の村田和義准教授と埼玉大学の金子康子教授らの研究グループは、シアノバクテリアという光合成をするバクテリアの一種が、細胞分裂する際、染色体に似た構造を作ることを発見しました。そ...
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染色体の形と分離の関係 −分離する時間は凝縮時の形で決まる− <要旨> 理化学研究所(理研)理論科学研究推進グループ階層縦断型理論生物学研究チームの境祐二特別研究員、望月理論生物研究室の立川正志研究員、望月敦史主任研究員の共同研究チームは、細胞分裂期にみられる凝縮した棒状の染色体[1]の形と分離のダイナミクスを関係付ける方程式を見出しました。 DNAはヒストンタンパク質などと結合して染色体を形成しています。染色体数は生物により異なりますが、例えばヒトでは46本です。それぞれの染色体は細胞周期[2]の間期(分裂期ではない時期)では、糸状のクロマチン繊維[1]の状態で細胞核内に広が...
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ATR、細胞のかたちから分裂時刻をリアルタイムに予測する手法を開発
細胞のかたちから分裂時刻をリアルタイムに予測することに成功 【概要】 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下「ATR」、本社:京都府相楽郡精華町、代表取締役社長 平田康夫)佐藤匠徳特別研究所の佐藤匠徳所長及び小沢哲研究技術員は、「細胞のかたち」から、「その細胞がいつ分裂するか」をライブ(実時間/リアルタイム)で予測する手法を開発しました。本研究は、私たちが目指す、より複雑なシステム−たとえばヒトを含む生物個体−における次世代診断・予防・先制治療の基礎となる技術(ライブ予測制御技術)を開発するための基盤となるものです。この成果は、Scientific Reports誌(電子版:英国時間2016年9...
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東大、植物のホルモンTDIFとその受容体TDRの複合体の「かたち」を解明
植物のホルモンTDIFとその受容体TDRの複合体の「かたち」を解明 1.発表者: 森田 純子(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 博士課程) 近藤 侑貴(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 助教) 西増 弘志(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 助教/JST さきがけ) 石谷 隆一郎(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 准教授) 福田 裕穂(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 教授) 濡木 理(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 教授) 2.発表のポイント: ◆TDIF(植物の分化を制御するホルモン)とTDR(TDIFの受容体)との複合体の立体構造を決定しました。 ◆TDRがTDIF...
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大阪大学・医学系研究科とロート製薬が、 『先進幹細胞治療学共同研究講座 (産学連携・クロスイノベーションイニシアティブ)』を設置 早期の臨床医学への応用による再生医療の実用化に向けて ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭、以下「ロート製薬」)と国立大学法人大阪大学(本部:大阪府吹田市、総長:西尾章治郎、以下「大阪大学」)は、この度、間葉系幹細胞(※1)を用いた再生医療の実用化を加速させるため共同研究講座に関する契約を締結しましたのでお知らせいたします。また、本共同研究講座の設置は、2015年11月12日付けで大阪大学医学系研究科・医学部附属病院に設置されました産学...
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東大、ゲノム解読で単細胞が多細胞へと進化する鍵となる遺伝子群を解明
ゲノム解読で初めて明らかになった多細胞生物のはじまり −ヒトではがんを抑制する「多細胞化の原因遺伝子」− 1.発表者: 野崎久義(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 准教授) 豊岡博子(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 特任研究員) 豊田敦(国立遺伝学研究所 特任准教授) 藤山秋佐夫(国立遺伝学研究所 教授) Bradley J.S.C.Olson(カンザス州立大学 助教) 2.発表のポイント: ◆原始的な多細胞生物であるゴニウム(図1、2)の全ゲノム配列を解読し、単細胞が多細胞へと進化する鍵となる遺伝子群を初めて明らかにしました。 ◆ヒトではがんを抑制している遺伝子が、単細胞が多...
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アクロレインの可視化に成功 −生きた細胞で発生する毒性分子アクロレインと酸化ストレス疾患の関連性究明に大きな手がかり− ■要旨 理化学研究所(理研)田中生体機能合成化学研究室の田中克典准主任研究員、アンバラ・ラクマット・プラディプタ特別研究員、泰地美紗子特別研究員らの国際共同研究グループ(※)は、酸化ストレス[1]により、不飽和アルデヒド分子[2]の一種「アクロレイン[2]」が生きた細胞で発生する様子を、単純な組成のアルキルアジド化合物[3]をふりかけることで、簡便に可視化し、直接検出することに成功しました。 喫煙や有機物の燃焼時に発生するアクロレインは、生体内の分子と速や...
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精子が卵子を活性化する新しい仕組みを解明 −線虫において精子導管仮説を支持する分子実体を同定− ■要旨 理化学研究所(理研)生命システム研究センター発生動態研究チームの大浪修一チームリーダーと高山順(*)研究員の研究チームは、線虫C.elegans[1]の受精の際に精子のカルシウム透過性チャネル[2]が卵子の中に「受精カルシウム波[3]」を引き起こすことを明らかにし、精子が卵子を活性化する新しい仕組みを解明しました。 *研究員名の正式表記は添付の関連資料を参照 動物の一生は、精子と卵子が受精することから始まります。卵子は物質の合成をほとんど行わない不活発な細胞ですが、精子と受精すると...
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遺伝研とJST、特定のヒト細胞内タンパク質を素早く取り除いて機能を探る方法を開発
取り除けば働きがわかる 〜特定のヒト細胞内タンパク質を素早く取り除いて機能を探る方法を開発〜 国立遺伝学研究所 分子機能研究室の鐘巻 将人 准教授らのグループは、「ヒト培養細胞」で特定のタンパク質を素早く分解除去する方法を開発しました。これまでモデル生物注1)でしかできなかった精緻な遺伝学研究が、ヒト細胞でもできるようになる画期的な手法です。 利用したのは、同グループが2009年に開発した「AID法注2)」というタンパク質分解除去システムです。これは、動物細胞の特定のタンパク質を分解除去し、そのタンパク質を司る遺伝子の役割を解析できるシステムです。このシステムをヒト細胞にも導入で...
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東北大、染色体上からリボソームRNA遺伝子が消えた細菌を発見
染色体上からリボソームRNA遺伝子が消えた細菌を発見 〜ゲノムの常識を覆す〜 【研究概要】 東北大学大学院生命科学研究科の地圏共生遺伝生態分野と遺伝情報動態分野の微生物研究グループは、環境細菌(*1)Aureimonas(オーレイモナス)のリボソーム(*2)RNA遺伝子が、安定的に維持される染色体(*3)ではなく、プラスミド(*4)に位置していることを明らかにしました。これまでは、生命の根幹をなすリボソームRNAの遺伝子は染色体上にあるのが当然と信じられてきました。本研究により、生息環境に適応して進化する過程で、細菌のゲノム(*5)は予想外にダイナミックに変化していることが示されました。本研究は、生...
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名大など、植物の受精卵が分裂する様子を生きたまま観察することに成功
植物の受精卵が分裂する様子を生きたまま観察することに成功 〜植物の驚くべき再生能力が明らかに〜 ■ポイント >植物の受精卵が分裂し成長する様子をリアルタイムで観察することに初めて成功した。 >胚がダメージを受けたときに細胞運命を変えて植物が再生する能力を明らかにした。 >高い再生能力を生み出す仕組みの解明、育種・培養技術の開発への貢献が期待される。 JST戦略的創造研究推進事業において、名古屋大学 WPIトランスフォーマティブ生命分子研究所の東山 哲也 教授と名古屋大学 大学院理学研究科の栗原 大輔 特任助教らは、植物の受精卵が分裂し発生する様子を生きたままリアルタイムで観察(ラ...
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理研と阪大、細胞分化の途中過程における細胞状態の変遷の可視化に成功
細胞の分化状態の可視化に成功 −ラマン散乱分光スペクトルによる“細胞指紋”の応用− ■要旨 理化学研究所(理研)生命システム研究センター先端バイオイメージング研究チームの市村垂生研究員、渡邉朋信チームリーダー、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの藤田英明准教授らの共同研究チーム(※)は、ラマン散乱光[1]の分光スペクトル[2]を用いて、細胞の分化状態を非染色かつ非侵襲で識別し、細胞分化の途中過程における細胞状態の変遷を可視化することに成功しました。 正常細胞とがん細胞との識別や良質な人工多能性幹細胞(iPS細胞)[3]の仕分けなど、細胞の種類や分化状態を判断するために、近年...
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東大など、DNA損傷下における細胞周期の新たな制御因子Rad54Bを発見
がん発生の基盤となる仕組みを探る ―DNA損傷下における細胞周期の新たな制御因子― 1.発表者: 安原 崇哲(東京大学大学院医学系研究科 博士課程4年) 鈴木 崇彦(帝京大学 医療技術学部 診療放射線学科 教授) 桂 真理(東京大学アイソトープ総合センター 特任助教) 宮川 清(東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター 放射線分子医学部門 教授) 2.発表のポイント: ◆DNAが損傷した状況では本来、細胞周期(注1)を停止させる仕組みが存在するが、その仕組みを無効にする新たな遺伝子Rad54Bを発見した。 ◆Rad54BがDNA損傷下で細胞周期を進行させ、遺伝情報の異常を伴った細胞の生...
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〜iPS細胞は、老化による皮膚ダメージを初期化する〜 コーセー iPS細胞の皮膚科学研究への応用に着手 株式会社コーセー(代表取締役社長:小林 一俊 本社:東京都中央区)は、元京都大学iPS細胞研究所 特任教授で現コーセー研究顧問の加治和彦と共に、同一供与者から異なる年齢で得られた皮膚線維芽細胞よりiPS細胞を作製し、解析・評価しました。その結果、老化過程の痕跡である短縮した「テロメア」が供与年齢に関わらず回復していることを明らかにしました。この研究成果を10月27日から30日までフランス・パリにて開催される「第28回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)」世界大会にて発表します。 <“初期化”に...
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JST、脳神経細胞の特殊な移動様式を制御する仕組みの一端を解明
脳神経細胞の特殊な移動様式を制御する仕組みの一端を解明 <ポイント> ・ほ乳類の大脳皮質が作られる際に神経細胞は、「ロコモーション様式」と呼ばれる特徴的な移動様式で特定の位置まで移動し、大脳皮質の6層構造を形成する。 ・神経細胞の増殖を停止させる分子Cdk5、p27と、脳疾患の原因遺伝子Dcxとが「ロコモーション様式の移動」を制御していることが分かった。 ・神経細胞の「増殖しない」という特徴を決定づける分子が、増殖停止後に新たな機能を獲得し、これが脳の高度な組織化過程に重要であることが示された。 JST戦略的創造研究推進事業において、JSTの川内 健史 さきがけ研究者(兼・慶應義塾大学 医学...
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基礎生物学研究所、DNA量増加が根粒発生の開始を制御する新たな遺伝子を発見
DNA量増加が根粒発生の開始を制御する 〜核内倍加の新たな役割を発見〜 基礎生物学研究所 共生システム研究部門の寿崎拓哉助教と川口正代司教授らの研究グループは、マメ科植物のミヤコグサを用いて、植物と根粒菌の共生の場である「根粒」が根から分化する過程を制御する新たな遺伝子を発見しました。この研究により、植物の根では根粒菌の感染に応答して、核内倍加と呼ばれる現象により一部の細胞の核内DNA量が増加すること、このDNA量の増加が根粒発生を開始する上で重要な役割を担う可能性があることが示されました。この研究成果は、発生生物学専門誌Developmentの電子速報版5月21日号に掲載されました。 「研究の背景...
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世界最小の多細胞生物の発掘 〜4細胞で2億年間ハッピーな生きた化石"しあわせ藻"〜 <発表者> 新垣 陽子(東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 博士課程1年) 豊岡 博子(東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 特任研究員) 野崎 久義(東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 准教授) <発表のポイント> >4個の細胞からなるシンプルな生物、"しあわせ藻"(シアワセモ)の形態が多細胞生物としての基本的な特徴を持つことを世界で初めて明らかにしました。 >世界最小の多細胞生物の発見は単細胞生物と多細胞生物の境界を明確に定義し、生物学の教科書の刷新をもた...
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理化学研究所、ストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を解明
ストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を解明 −タンパク質合成を調節する「Hfq」の分子機構が明らかに− <ポイント> ・「Hfq」と有害な過酸化水素を分解する「カタラーゼ」が複合体を形成することを発見 ・Hfqの働きを制御し、ストレス応答タンパク質の合成量を調節する新規機構を発見 ・不明だったHfqが関与するタンパク質制御機構解明へ重要な知見 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、生物が持つストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を、大腸菌を用いた実験によって発見しました。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)利用技術開拓研究部門米...
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基礎生物学研究所など、細胞分裂で仕切りを作る過程の高解像度撮影に成功
細胞分裂で仕切りを作る過程を見ることに成功 植物細胞は1つの細胞の中に仕切りを作ることにより分裂します。基礎生物学研究所の研究グループ(村田隆准教授、野中茂紀准教授、長谷部光泰教授)は、法政大学(佐野俊夫准教授)、名古屋大学(東山哲也教授、笹部美知子特任助教(現・弘前大学准教授)、町田泰則教授)、東京大学(馳澤盛一郎教授)との共同研究により、仕切りができる過程を高解像度撮影することに世界で初めて成功しました。この成果は、6月17日に科学雑誌Nature Communicationsに掲載されます。 【研究の背景】 動物の細胞は2つにちぎれて分裂しますが、植物は1つの細胞の中に仕切りを作って分かれま...
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京大、染色体断裂の数と被爆線量の相関関係が常に正しいわけではないことを証明
DNAが切れていないのに発生する染色体断裂の発見−ヒトの被爆線量を測定する手法に異議あり− ヒトの被爆線量を推定する最も確実かつ高感度の手法は、被検者の末梢血を染色体検査することであり、検査の原理は、染色体はちぎれている部分(染色体断裂と呼ぶ)の数と過去の被爆線量とが相関することによるとされていますが、このたび、藤田真梨 医学部6回生、廣田耕志 医学研究科准教授(現首都大学東京教授)、武田俊一 同教授らの研究グループは、この原理がいつも正しいわけではないことを世界で初めて証明しました。 本研究成果は、2013年4月3日付けの「PLoS ONE」オンライン版で公開されました。 <背景> ...
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組織形成における細胞分裂の新しい役割の発見 −球形化する細胞が組織形成の引き金をひく− ◇ポイント◇ ・組織の潜り込み運動(陥入)の様子を高精度なライブセルイメージングで観察 ・3つの性質の異なるメカニズムが補完的かつ協調的に作用し、安定した組織形成を実現 ・細胞分裂が形態形成に関わる新たな知見により、巧妙な発生の仕組み解明に新たな一歩 理化学研究所(野依良治理事長)は、ショウジョウバエの気管形成過程をライブセルイメージング(※1)で詳細に観察することで、気管原基(気管のもとになる上皮細胞(※2)シート)の細胞が細胞分裂時に球状になることが、組織の構造的な不安定化を引き...
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JSTなど、正常な成体マウスの大脳皮質で神経細胞を新生させることに成功
正常な成体マウスの大脳皮質で、神経細胞を新生させることに成功 <ポイント> >正常な状態の成体の大脳皮質では神経細胞が新たに生まれてこないと考えられていた。 >薬の投与によって、正常な大脳皮質でも神経細胞を増やすことに成功。 >大脳皮質の保護・再生、うつ病などの精神疾患の新しい予防・治療法の開発に期待。 JST課題達成型基礎研究の一環として、藤田保健衛生大学総合医科学研究所の宮川剛教授と大平耕司講師らは、抗うつ薬の投与によって正常な成体マウスの大脳皮質(注1)の神経細胞を増やすことに成功しました。 これまでに本研究グループは、成体大脳皮質には神経細胞を産生できる神経前駆細胞...
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理化学研究所、初期感染を防御するIgM抗体の受容体「FcμR」の機能を解明
初期感染を防御するIgM抗体の受容体「FcμR」の機能をマウスで解明 −FcμRは生体防御と自己免疫疾患回避の両方に重要− ◇ポイント◇ ・FcμRは侵入した病原体に対する最初の抗体産生を誘導する ・FcμRは自己の抗原に対する抗体産生を抑制する ・免疫不全や自己免疫疾患への治療応用に期待 理化学研究所(野依良治理事長)は、ウイルスや細菌などの異物に対する自然免疫(※1)や初期の感染防御に必須な、免疫グロブリンM(IgM抗体(※2)の受容体「FcμR(エフシーミューレセプター)」の機能を明らかにしました。これは、理研免疫・アレルギー科学総合研究センター(谷口克センター長)免...
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JSTと慶大、自己免疫疾患の原因となる免疫細胞が増える新たな免疫調節の仕組みを発見
自己免疫疾患の原因となる免疫細胞が増える新たな仕組みを発見 −副作用の少ない治療法の開発に期待− JST 課題達成型基礎研究の一環として、慶應義塾大学 医学部の永井 重徳 助教らは、自己免疫疾患の原因となる免疫細胞が増える、新たな免疫調節の仕組みを発見しました。 関節リウマチ、炎症性腸疾患(注1)などの自己免疫疾患は、免疫システムが自分自身の正常な細胞や組織に対してまで攻撃してしまうため発症しますが、その原因として免疫システムで司令塔の役割をするヘルパーT細胞(T細胞の一種である細胞、以下、Th細胞)の細胞のなかでも、近年発見された「Th17細胞(注2)」が大きく関与して...
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京大、皮膚の健康維持に必要な細胞分裂軸方向を制御する遺伝子を発見
皮膚の健康維持に必要な細胞分裂軸方向を制御する遺伝子の発見 松村繁 ウイルス研究所助教、豊島文子 同教授らの研究グループは、皮膚の健康を維持するのに必要な細胞分裂軸方向を制御する遺伝子を発見しました。 この研究成果は、1月17日(英国時間)に「Nature Communications」で発表されました。 【論文書誌情報】 Shigeru Matsumura, Mayumi Hamasaki, Takuya Yamamoto, Miki Ebisuya, Mizuho Sato, Eisuke Nishida and Fumiko Toyoshima ABL1 regu...
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JSTと東大、造血幹細胞の「冬眠」に神経細胞が関与することを発見
造血幹細胞の「冬眠」に神経細胞が関与することを発見 (白血病再発などの原因解明につながる可能性) JST課題達成型基礎研究の一環として、東京大学 医科学研究所の中内 啓光 教授とJST 戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究「中内幹細胞制御プロジェクト」の山崎 聡 研究員らは、生体内で血液細胞のもととなる「造血幹細胞注1)」の能力の維持に必要と考えられる「冬眠状態」に、神経細胞の一種であるグリア細胞注2)が重要な役割を果たしていることを初めて明らかにしました。 造血幹細胞は骨髄中に存在し、生涯にわたり分裂により血液細胞を供給してくれる存在です。しかし、細胞には分裂できる...
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理化学研究所、DNA修復酵素「MutL」の機能制御に必要な重要箇所を発見
DNA修復酵素「MutL」の機能制御に必要な重要箇所を発見 ―遺伝性のがんであるリンチ症候群の発症メカニズム解明に新たな知見― ◇ポイント◇ ・MutLが担う損傷したDNAを切断する機能の制御機構に必要な重要箇所を発見 ・MutLの制御機構解明によって遺伝性のがんであるリンチ症候群発症の原因が判明 ・DNAの損傷を修復するミスマッチ修復系のメカニズム解明に新たな知見 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、DNAの損傷を修復して細胞ががんになることを防ぐ酵素「MutL」の、機能制御に重要な箇所を新しく発見しました。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也セン...
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東北大学、軸索障害による視神経細胞死におけるカルパイン阻害剤の神経保護効果を確認
軸索障害による視神経細胞死におけるカルパイン阻害剤の神経保護効果 * 緑内障動物モデルに、カルパイン阻害薬が治療効果を * 東北大学大学院医学系研究科眼科学分野 中澤 徹 教授らのグループは、緑内障の病態モデル動物(*1)に対して、カルパイン阻害薬(*2)を投与してその神経保護効果を確認しました。 緑内障は40歳以上の約5%が罹患し、現在失明原因第一位の疾患です。働き盛りの成人が失明することによる社会的損失は大きく、失明予防の観点から緑内障治療の研究・開発は大変重要です。70歳以上では約10人に一人が緑内障を持つため、少子高齢化に伴い失明患者は更に増加することが予想されま...
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理化学研究所、免疫応答開始に必要な免疫シナプスを形成するメカニズムを発見
免疫応答開始に必要な免疫シナプスを形成するメカニズムを発見 −微小管を伝う分子モーターのダイニンが免疫センサーを運び、細胞活性化を調節− ◇ポイント◇ ・ダイニンがT細胞受容体のミクロクラスターを運び、免疫シナプスを形成 ・ダイニンによるT細胞受容体の運搬によって、T細胞の活性化を負に制御 ・ダイニンは細胞表面に沿って分子複合体を免疫シナプス中心へけん引 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、T細胞の免疫応答を開始するために必要な免疫シナプス(※1)が、微小管(※2)を足場とする分子モーター(※3)「ダイニン」によるT細胞受容体の運搬で形成されることを明らかにしま...
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細胞分裂装置が形成される新たなしくみを解明 線虫胚の分子イメージング解析から発見 <概要> 細胞が分裂する際には「紡錘体」とよばれる細胞内装置のはたらきによって遺伝情報の担い手である染色体が娘細胞に均等に分配されます。今回、東北大学大学院生命科学研究科 杉本亜砂子教授と理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 戸谷美夏研究員らは線虫胚をモデル系とした分子イメージング解析から、オーロラA (Aurora A)というタンパク質が紡錘体の主要な構成成分である微小管を安定化することが紡錘体形成に重要であることを見いだしました。この発見は癌治療法の開発にもつながると期待されます。...
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細胞器官のマジックナンバー「9」の由来 発表者 廣野 雅文(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻准教授) 発表概要 原生動物からヒトまで、繊毛の内部はきまって2本の管を9本の管が囲んだ不思議な形をしている。 「9+2」構造とよばれるこの形は、根元にある中心子という細胞小器官の形に由来する。 この形ができるしくみは長らく謎だったが、今回、中心子の中央部を構成するタンパク質の構造が決定され、その普遍的な形ができるしくみの一端が解明された。 発表内容 1)これまでの研究でわかっていた点 精子などの活発に運動する鞭毛や繊毛(以下、繊毛)((注1))の内部には、2本の微小...
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エーザイ、米Epizyme社とがん治療に関する戦略的提携契約を締結
Epizyme,Inc.とエピジェネティック酵素EZH2をターゲットとする がん治療に関する戦略的提携契約を締結 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、米国のEpizyme,Inc.(Cambridge,MA,USA、社長:Robert Gould、以下 Epizyme)と、エピジェネティック酵素であるEZH2をターゲットとする遺伝的起因によるリンパ腫やその他のがん治療に関する研究、開発、販売に関するグローバルな戦略的提携契約を締結した、と発表しました。 当社は、Epizymeが有する独自の創薬プラットフォーム、EZH2の役割を同定する最先端の技術力、標的と...
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トヨタ、サトウキビの品種改良を効率化する遺伝情報解析技術を新たに開発
サトウキビの品種改良を効率化する遺伝情報解析技術を新たに開発 −広く植物増産への利用を目指す− トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター(以下、九州沖縄農研)と共同で、品種改良を効率化できる遺伝情報解析技術を新たに開発した。本技術の中核となる高精度DNA(*1)解析技術はトヨタが開発し、この技術をベースに、サトウキビの特性評価を九州沖縄農研が、遺伝情報解析をトヨタが担当し、両者を統合することで本技術を開発した。トヨタは、今回新たに開発した技術により、サトウキビの育種期間の大幅な短縮と特性の向上を実現できると考えている...