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クロマチン
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染色体の形と分離の関係 −分離する時間は凝縮時の形で決まる− <要旨> 理化学研究所(理研)理論科学研究推進グループ階層縦断型理論生物学研究チームの境祐二特別研究員、望月理論生物研究室の立川正志研究員、望月敦史主任研究員の共同研究チームは、細胞分裂期にみられる凝縮した棒状の染色体[1]の形と分離のダイナミクスを関係付ける方程式を見出しました。 DNAはヒストンタンパク質などと結合して染色体を形成しています。染色体数は生物により異なりますが、例えばヒトでは46本です。それぞれの染色体は細胞周期[2]の間期(分裂期ではない時期)では、糸状のクロマチン繊維[1]の状態で細胞核内に広が...
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JSTと京大など、さまざまな組織切片の染色体テロメアの長さを3時間で検出できる方法を開発
さまざまな組織切片の染色体テロメアの長さを3時間で検出できる方法を開発 ■ポイント ○染色体テロメア配列を認識するピロール・イミダゾール(PI)ポリアミドを用いて、ヒトのがん病理標本におけるテロメア短縮を簡便かつ迅速に検出することに成功した。 ○PIポリアミドを用いると1細胞レベルでテロメア長を定量的に測定でき、免疫染色との併用も可能。 ○従来のテロメア標識法に代わる新たな標識法として、基礎研究のみならず老化やがん化などの臨床研究への応用も期待される。 国立遺伝学研究所の前島 一博 教授、佐々木 飛鳥 大学院生らのグループは、細胞老化・がん化に重要な役割を担うテロメア配列を組...
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東大など、インフルエンザウイルスゲノムの核内動態に関わる宿主タンパク質を同定
インフルエンザウイルスゲノムの核内動態に関わる宿主タンパク質を同定 1.発表者:河岡義裕 東京大学医科学研究所 感染・免疫部門ウイルス感染分野 教授 2.発表のポイント: ◆従来、生理的な機能が十分に知られていない宿主のタンパク質CLUHを解析し、CLUHがウイルスゲノムの核内輸送に寄与することを明らかにしました。 ◆本現象は、ウイルス感染時に特異的に生じるCLUHの核への局在と、それに伴うウイルスゲノムの核内輸送の制御機構が存在することを示唆するものです。 ◆本研究により、ウイルス感染時に特異的なウイルスゲノムの核内輸送制御機構をターゲットとした新たな治療薬開発が期待されます。 3.発...
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哺乳類初期胚で新たな遺伝子発現制御の仕組みを解明 −哺乳類特有の発生初期における分化制御機構の解明に期待− ■要旨 理化学研究所(理研)バイオリソースセンター遺伝工学基盤技術室の小倉淳郎室長、畑中勇輝特別研究員らの共同研究チーム(※)は、マウスにおいて着床前に発現すると死に至るレトロトランスポゾンについて、発現を抑制・制御する仕組みを明らかにしました。 ゲノム上のレトロトランスポゾンは活性化し転写されることでRNAとなり、さらに逆転写酵素[1]によりDNAに戻ることでゲノム中を移動し、コピー数を増やしていきます。哺乳類のゲノムにはレトロトランスポゾンのような反復配列が多く含まれてお...
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九大、先天性免疫不全症候群(ICF症候群)の原因遺伝子を解明
先天性免疫不全症候群(ICF症候群)の原因遺伝子を発見! −90%以上のICF症候群患者の原因遺伝子特定で早期確定診断が可能に− <概要> 九州大学生体防御医学研究所エピゲノム制御学分野の佐々木裕之所長(副学長・主幹教授)らの研究グループは、同研究所情報生物学分野の須山幹太教授らのグループ、オランダのLeiden大学メディカルセンターのSilvere M.van der Maarel教授らのグループ、およびフランスの Paris Diderot大学のClaire Francastel教授らのグループとの共同研究により、常染色体劣性遺伝病(※1)であるICF症候群の新しい原因遺伝子として、CDCA7とHELLSの2つを発見しました。ICF症候群は抗体を作り出せない先天性の免疫...
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軟骨の形成をつかさどる遺伝子発現のメカニズム 軟骨形成に必須の転写因子 Sox9による遺伝子発現制御の様子が ゲノム全域で明らかに 1.発表者: 大庭 伸介(東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻 特任准教授) 2.発表のポイント: ◆軟骨形成に必須の転写因子Sox9(注1)が遺伝子発現を制御する作動様式を、マウスを用いてゲノム全域で解明 ◆生体の軟骨細胞のゲノム全域におけるSox9の位置、クロマチン状態、遺伝子発現に関するビッグデータの解析に基づいた知見 ◆ゲノム変異と軟骨の変性疾患・先天疾患の理解、それらの治療や軟骨再生におけるゲノム創薬への貢献に期待 3.発表概要: ...
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植物の分化全能性抑制の分子メカニズムの一端を解明 ―ヒストンのメチル化で一度分化した細胞の脱分化を抑えるー <要旨> 理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター細胞機能研究チームの池内桃子基礎科学特別研究員、岩瀬哲研究員、杉本慶子チームリーダーらの研究チームは、植物が分化全能性[1]の発揮を抑えることで細胞が分化を完了した状態を維持していることを明らかにしました。 多細胞生物の体が構築される過程では、分化全能性を持った受精卵が細胞分裂と細胞分化を繰り返し、最終的に特殊な構造と生理機能を持ったさまざまな細胞となります。秩序立った多細胞の体を維持するためには、分化が完了した細...
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幹細胞の多能性に関わるレトロトランスポゾン由来のRNA −ジャンクDNAから転写されるRNAの新しい機能を発見− <ポイント> ・iPS細胞やES細胞に特異的な、レトロトランスポゾン由来のRNAを発見 ・細胞周期や多能性の維持に関わる遺伝子を制御する可能性を示唆 ・幹細胞におけるRNA機能の理解、幹細胞を分化させる技術への応用に期待 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、これまで知られていなかった数千種類のRNAがiPS細胞やES細胞の核内で発現していることを見いだし、その一部が幹細胞に特徴的な多能性の維持に関与している可能性があることを明らかにしました。これは、理研ライフサイエンス技術基盤研究セ...
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京大、化学修飾されたメッセンジャーRNAが概日リズムの周期を決定していたことを解明
エピトランスクリプトームの生理学的意義の解明−リズム形成にはメチル化RNAが主役− 岡村均 薬学研究科教授、Jean−Michel Fustin 同特定研究員を中心としたグループは、哺乳類において、化学修飾されたメッセンジャーRNAが概日リズムの周期を決定していたことを解明しました。従来、遺伝子情報の発現では、DNAの転写または、タンパク質の化学修飾(リン酸化、アセチル化、メチル化、ユビキチン化など)が最重要であると考えられてきました。すなわち、RNAはDNAとタンパク質を結ぶ仲介役に過ぎないと思われてきたのです。しかし、今回の化学修飾されたRNA Methyl−6−adenosine(m6A(*))が24時間という長周期のリズム形成の主役...
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理化学研究所、細胞の運命を左右する新しい分子メカニズムの一端を解明
細胞の運命を左右する新しい分子メカニズムの一端を解明 −ポリコム複合体間で起こる重合が遺伝子発現のオン・オフを調節− <ポイント> ・遺伝子制御に関わるポリコム複合体のライブイメージングに成功 ・ポリコム複合体が重合し、ポリコム構造体を形成 ・ポリコム複合体重合の制御メカニズム解明が再生医療やがん治療に貢献 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、細胞の運命を左右する新しい分子メカニズムの一端を解明しました。これは理研統合生命医科学研究センター(小安重夫センター長代行)免疫器官形成研究グループの古関明彦グループディレクター、磯野協一上級研究員(JST戦略的創造研究推進...
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福井大など、単一細胞のエピジェネティックな発現状態変化の追跡手法を開発
単一細胞でエピジェネティックな遺伝子の発現状態の変化を 追跡する手法を開発しその規則性と制御遺伝子を発見 <ポイント> ○エピジェネティクスは、細胞の多様性を生み出す仕組みとして近年注目されている。 ○従来エピジェネティックな変化は細胞集団で追跡していたが、今回一細胞ごとの比較に成功し、それが規則性を持って特定の遺伝子によって制御されることを発見。 ○本手法で酵母によって得られた知見をヒトに応用することで、関連遺伝子を同定し、将来的にがんをはじめとする後天性疾患の解明に期待。 JST 戦略的創造研究推進事業(さきがけ)の一環として、福井大学 大学院工学研究科の沖 昌也 准教授...
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腎臓癌における遺伝子異常の全体図を解明 −腎臓癌に関する最大規模のゲノム解析を実施− <概要> 淡明細胞型腎細胞癌は腎臓に発生する癌のうちおよそ80%を占める代表的な腎臓癌です。現在のところ、手術による切除以外には完全な治癒を期待できる治療法がありません。癌が進行し転移を生じた場合には免疫療法や分子標的薬による治療が行われますが、その効果は限定的であり、より有効かつ身体への負担が少ない、新たな治療法の開発が求められています。そのためには、遺伝子変異をはじめとして、癌細胞で後天的に生じているゲノム(注1)異常・分子病態を詳細に理解する必要があります 京都大学大学院医学研究科 ...