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数理モデル
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金沢大と北大、九大、数理モデルを使用し遺伝子ネットワークに隠された新しいメカニズムを発見
脳の形成において生じる分化の波 数理モデルを使って遺伝子ネットワークに 隠された新しいメカニズムを発見 金沢大学 新学術創成研究機構の佐藤純教授,北海道大学 電子科学研究所の長山雅晴教授,九州大学大学院 医学研究院の三浦岳教授らの共同研究グループは,脳の形成過程において長距離性の情報伝達因子であるEGF(※1)と短距離性の情報伝達因子Notch(※2)の協調作用に注目し,数理モデリングを活用したコンピューターシミュレーションの結果を実験的に検証することによって,Notchの働きがEGF存在下では大きく変化することを見出しました。 細胞と細胞が情報のやりとりをする時,長距離性の情報伝達は拡散性のタ...
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同志社大と東大など、コウモリが超音波で行く先を“先読み”しルート選択を行うことを発見
コウモリが超音波で行く先を“先読み”し、ルート選択を行うことを発見 ■ポイント ・コウモリは飛びながら小さな昆虫を次々と捕食するが、その際の超音波によるセンシングと飛行ルートの関係はこれまで明らかではなかった。 ・コウモリが複数の獲物に注意を分散させ、またそれらを高確率で捕らえる飛行ルートを選択していることを発見した。 ・ナビゲーション研究における軌道計画法や選択的注意機構に関する研究分野においてコウモリが新しいモデル動物として有用であることが示された。将来的には高機能の飛行ドローンなど自律移動ロボット分野等への工学応用が期待される。 同志社大学研究開発推進機構の藤岡慧...
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九大、植物の表皮細胞の複雑なかたちが形成されるメカニズムを解明
植物細胞の形づくりの謎を頭蓋骨の研究が解明? 医学・植物学を数学がつなぐ「超」異分野融合研究 ■概要 九州大学大学院医学研究院の三浦岳教授と今村寿子助教の研究グループは、東京大学およびエルピクセル株式会社との共同研究で、植物の表皮細胞の複雑なかたちが形成されるメカニズムを世界で初めて解明しました。 双子葉植物の葉の表面の細胞は美しいジグソーパズル様の形をしています。研究グループは植物の細胞壁の合成−分解の分子回路を数理モデル化(※1)したところ、これまで頭蓋骨の縫合線(※2)のパターン形成に用いてきた数理モデルと全く同じであることがわかりました。この結果を基にして、九州大学...
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走化性細胞が応答範囲を拡張するメカニズム −生物が環境適応する仕組みの一端を解明− <要旨> 理化学研究所(理研)生命システム研究センター細胞シグナル動態研究グループの上田昌宏グループディレクター(大阪大学大学院生命機能研究科 教授(研究当時:理学研究科))らの研究チーム(※)は、「走化性」における応答範囲を調節する因子「Gip1」を発見しました。この因子は、三量体Gタンパク質[1]の細胞内局在制御というこれまで知られていなかったメカニズムで、走化性の応答範囲を拡張していることが分かりました。 細胞は化学物質の濃度勾配に沿って移動することができます。このような現象は「走化性」と呼...
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北大など、ジカウイルスの輸入リスクと国内伝播リスクの予測統計モデルを開発
ジカウイルスの輸入リスクと国内伝播リスクの予測統計モデル開発 ■ポイント ○各国のジカ熱の輸入リスクと国内伝播のリスクを推定する新しい統計モデルを開発し、推定結果を発表した。ほとんどの国で、時間が経過するにつれてジカ熱を輸入する可能性が十分にあると予測された。 ○予測モデルを比較することにより、これまでにデングウイルスやチクングニアウイルスの国内伝播が認められた国においてジカ熱の国内伝播リスクが高いことが明らかになった。提案したモデルはジカ熱の国際的流行拡大に関するリスクアセスメントを実施する上で重要な科学的根拠を与える。 ○日本において2016年中にジカ熱の国内伝播を認...
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乱流発生の法則を発見:130年以上の未解決問題にブレークスルー 1. 発表者:佐野 雅己(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 教授) 玉井 敬一(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 大学院生(博士課程1年)) 2. 発表のポイント: ◆整った流れ(層流)が乱れた流れ(乱流)に遷移するときに従う普遍法則を実験で見いだした。 ◆最大級のチャネル実験装置を製作すると同時に、普遍的な法則の検証に必要な新たな測定解析手法を考案したことが発見のポイントだった。 ◆乱流への遷移の理解は省エネルギーなどに不可欠であるだけでなく、自然界に普遍的に存在する不規則現象の理解に繋がる。 3....
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JST、データ改ざんに対するサイバーセキュリティーを飛躍的に向上させる手法を開発
電力制御システムへのサイバー攻撃に対処 〜高精度で検知し、安定した制御を行う新手法の開発〜 <ポイント> ○電力システムの計測データを狙ったサイバー攻撃の危険性が指摘されている。 ○耐ノイズ性の高い推定手法を送電系統に適用することで、高度な攻撃も検知可能とし、その影響を排除することで安定した電力制御を行う新手法を開発した。 ○今後は実際の送電系統のデータを用いて研究を行い、実用化に向けた展開が期待される。 JST戦略的創造研究推進事業において、東京工業大学のヤシーネ シャクシュク 特任助教と石井 秀明 准教授は、送電系統(注1)の監視制御に重要な役割を果たす状態推定機構(注2...
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小さなRNAの暗号解読に成功 〜右利き・左利きの謎を解明: プレシジョンメディシン時代の核酸医薬へ新たなる一歩〜 1.発表者: 鈴木 洋(研究当時:東京大学大学院医学系研究科分子病理学 特任助教、現所属:マサチューセッツ工科大学コーク癌総合研究所 客員研究員) 宮園 浩平(東京大学大学院医学系研究科分子病理学 教授) 2.発表のポイント: ◆長く不明であった生体内の遺伝子の制御において重要な役割を持つ小さなRNA(マイクロRNA、注1)の産生、特にRNAの右利き左利き、に関する中心的な原理を発見しました。 ◆マイクロRNA産生・RNA干渉の起点となる2本鎖RNAから、どちらの1本鎖RNAがマイクロRNAとして...
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遺伝的多様性の新しい影響を発見 わずかな性質の違いが生態系を変化させる可能性 1.発表者: 吉田丈人(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 准教授) 笠田 実(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 博士課程大学院生) 山道真人(京都大学白眉センター/生態学研究センター 特定助教) 2.発表のポイント: ◆生物のもつ遺伝的性質のわずかな違いが進化や個体数変化のあり方を変えることで、生態系に大きな影響を与える可能性を、プランクトンを用いた実験生態系により初めて実証した。 ◆生物多様性の要素のうち遺伝的多様性については、その重要性を裏付ける学術的知見が乏しい...
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メダカは動きで仲間を引き寄せる メダカは「メダカの学校」と呼ばれるように、群れをつくって泳ぐことが知られています。基礎生物学研究所(神経生理学研究室)の中易知大研究員と渡辺英治准教授は、バーチャルリアリティ技術を活用した行動解析実験により、メダカは、動きによって仲間を引き寄せていることを明らかにしました。この成果により、動物行動学において重要な研究テーマの一つである群れ形成に、動きという新たな研究の視点の重要性が示されました。本研究成果は比較認知科学の専門誌Animal Cognitionに掲載されました。 [本研究の背景] 人間を含めて多くの動物は、群れや集団を作って生活しています。群れや...
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京大など、シロアリの社会に血縁選択がはたらいていることを実証
オスとメス、どちらが得か?昆虫社会の損得勘定−シロアリで初めて血縁選択理論の実証に成功− 松浦健二 農学研究科教授、小林和也 産学官連携研究員、長谷川英祐 北海道大学准教授、吉村仁 静岡大学教授、エドワード・バーゴ ノースカロライナ州立大教授らのグループは、生物の社会性の進化を説明する中心理論である血縁選択理論を2倍体の生物で検証する方法を確立し、シロアリの社会に血縁選択がはたらいていることを初めて実証することに成功しました。 これまで、血縁選択理論はアリやハチなど半倍数性という特殊な遺伝様式の社会性昆虫では実証研究が進められてきましたが、われわれヒトと同じように両性と...
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東大、福島原発事故後の避難による高齢者死亡リスクの分析結果を発表
福島原発事故後の避難による高齢者死亡リスクの分析 1.発表者 渋谷 健司(東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際保健政策学分野 教授) 上 昌広(東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任教授) 野村 周平(東京大学大学院医学系研究科 修士課程2年生) 2.発表のポイント: ◆どのような成果を出したのか 福島第一原子力発電所の事故後の避難による高齢者の死亡リスクの推定と、避難プロセスにおける死亡率上昇要因を分析した。 ◆新規性(何が新しいのか) 避難回数・距離・数値化しづらいケアの状況等を考慮した、...
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東大、複雑疾病の早期診断などを可能にする動的ネットワークバイオマーカーの有効性を証明
複雑疾病の早期診断や病態悪化の予兆検出を可能にする、 新しい動的ネットワークバイオマーカー理論 1.発表者: 劉 鋭 Rui Liu(科学技術振興機構 合原最先端数理モデルプロジェクト 研究員/東京大学 生産技術研究所 民間等共同研究員) 陳 洛南 Luonan Chen(東京大学 生産技術研究所 客員教授/Chinese Academy of Sciences,Professor) 合原 一幸 Kazuyuki Aihara(東京大学 生産技術研究所 教授) 2.発表ポイント (1)疾病の早期診断や病態悪化の予兆検出を可能とする「動的ネットワークバイオマーカー(DNB:Dynamical Network Biomarker)(注1)」理論(図1)を実際に活用する数学的手法を提案するとともに...
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京大、Hes7遺伝子が分節時計の周期形成に重要な役割を担うことを解明
Hes7遺伝子のイントロン削減による分節時計の加速化 影山龍一郎 ウイルス研究所教授、播磨有希子 生命科学研究科大学院生らの研究グループは、分節時計が正しい時間を刻むには正しい数のイントロンが必要であることを発見しました。 この研究成果は「Cell Reports」2012年12月6日付でオンライン版に掲載されました。 <研究の 背景> 脊椎動物の体は、椎骨、肋骨、体幹の筋肉のような前後軸に従った繰り返し構造が基本になっています。これらは、発生過程に一過性に現れる繰り返し構造である体節から分化することが知られています。体節が形成される時期の胎児の最尾部には、未分化な未分節中胚葉(PSM、presomiti...
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脳・脊髄形成に必要な神経板湾曲の仕組みを解明 −カドヘリン関連因子「Celsr1」の働きが神経管形成に重要− ◇ポイント◇ ・神経板が湾曲するとき細胞間接着面のアクトミオシンが一定方向に収縮 ・アクトミオシンの収縮は、収斂(れん)伸長を引き起こす ・神経管形成の仕組みを総合的に理解、さらなる形態形成の原理解明へ 理化学研究所(野依良治理事長)は、カドヘリン(※1)分子群に属する「Celsr1(セルサー1)(※1)」が、脳・脊髄の基となる神経管形成のために必要な神経板(※2)湾曲において中心的な役割を担うことを突き止め、神経板を一定方向に収縮させる仕組みを明らかにしました。...
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基礎生物学研究所、捕食者と被食者の関係性を数理モデルとして定式化することに成功
メダカは生物学的1/fゆらぎを利用してミジンコを捕らえる! 〜捕食者と被食者の関係性を数理モデルとして定式化することに成功〜 捕食性動物は、素早く動き回る獲物を正確に捕らえることができます。狩りを行うとき、捕食者は生きている被食者とその周囲のオブジェクトとの区別を、リアルタイムで行う必要がありますが、このとき捕食者は持てる感覚器を総動員して生きている獲物を認識しています。特に視覚系は多くの場合決定的な役割を果たしています。視覚を通じて、大きさ、形状、色、そして動きを識別して周囲の無関係なオブジェクトと、狩るべき獲物とをリアルタイムで区別します。例えば水棲環境において動物プラ...