Pickup keyword
光電子分光
-
金属ホウ素単原子シートの発見 1.発表者: 松田 巌(東京大学物性研究所 附属極限コヒーレント光科学研究センター 准教授) 2.発表のポイント: ◆固体基板上にホウ素の単原子シートを合成し、その金属性を初めて観測した。 ◆ホウ素は2次元単原子シートにすると金属性が発現することが予言されており、今回その実証に至った。 ◆ホウ素単原子シートは今後、材料テンプレートとしてナノシート、ナノデバイス等の新材料への利用が期待される。 3.発表概要: 東京大学物性研究所の松田巌准教授らの研究グループは、中国科学院のSheng Meng教授とKehui Wu教授のグループと共同で、結晶基板上にホウ素(B)の単原...
-
東北大、磁性半導体(Ga,Mn)Asが強磁性をしめすメカニズムを解明
磁性半導体(Ga,Mn)Asが強磁性をしめす メカニズムを解明 −20年来続く論争に終止符 【概要】 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI−AIMR、機構長 小谷元子)の相馬清吾准教授、高橋隆教授(兼務 理学研究科)、松倉文礼(◇)教授、Tomasz Dietl教授、大野英男教授(兼務 電気通信研究所、省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター)、同理学研究科の佐藤宇史准教授らの研究グループは、磁性半導体(Ga,Mn)Asの強磁性発現機構の解明に成功しました。(Ga,Mn)Asは、よく知られた半導体であるGaAsに高濃度でMnを注入することで得られる物質です。 半導体と磁性体の特質を併せもち、電気による磁性の制御...
-
東北大と阪大など、新しいトポロジカル物質「ワイル半金属」を発見
新しいトポロジカル物質 「ワイル半金属」を発見 −超高速・低消費電力な次世代デバイスの開発に弾み− 【概要】 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の相馬清吾准教授、高橋 隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所の小口多美夫教授、ケルン大学(ドイツ)の安藤陽一教授らの研究グループは、新型トポロジカル物質「ワイル半金属」の発見に成功しました。今回の成果により、超高速でかつ消費電力を低く抑えた次世代デバイスの開発が大きく進展するものと期待されます。 本成果は、米国物理学会誌フィジカル・レビュー・Bの「注目論文」に選ばれ、平成28年4月20日(米国東部時間)...
-
電子・正孔対が作る原子層半導体の作製に成功 −グラフェンを超える電子デバイス応用へ道− 【概要】 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の菅原克明助教、一杉太郎准教授、高橋隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授らの研究グループは、グラフェンを超える電子デバイスへの応用が期待されているチタン・セレン(TiSe2)原子層超薄膜の作製に成功しました。さらに、1層のTiSe2超薄膜の電子状態を詳細に調べた結果、その特異な金属状態を生み出している原因は、薄膜中の電子と正孔(電子の抜けた孔)(注1)が結合して対(ペア)を作っているためであることを見出しました。今回の成果は、グラフェンを超える原子層...
-
東大など、超伝導温度より遙か高温から存在する超伝導電子を発見
「超伝導できない超伝導電子 〜超伝導温度より遙か高温から存在する超伝導電子の発見〜」 1.発表者 近藤 猛(東京大学物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 准教授) Walid Malaeb(東京大学物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 特任研究員) 石田 行章(東京大学物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 助教) 笹川 崇男(東京工業大学応用セラミックス研究所 准教授) 坂本 英城(名古屋大学工学研究科結晶材料工学専攻 博士課程) 竹内 恒博(豊田工業大学物質工学分野エネルギー材料 教授) ...
-
東北大、原子層超薄膜において高温超伝導を発現・制御することに成功
原子層高温超伝導体を開発 −究極の超伝導ナノデバイス実現へ道− <概要> 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、および同大学院理学研究科の中山耕輔助教らの研究グループは、鉄(Fe)とセレン(Se)からなる原子層超薄膜において高温超伝導を発現・制御することに成功しました。今回の研究は、原子数個からなる原子層超薄膜において60K(−213°C)を越える高温超伝導を発現させ、その超伝導転移温度を精度良く制御する方法を確立したものです。この成果は、様々な新しい量子効果が期待される2次元電子系における超伝導発現機構の解明を進めるのみならず、応用の立場からは、原子レベルのサイズ...
-
グラフェンの電子状態を制御することに成功 −新たな機能開拓と伝導性の制御に道− <概要> 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の清水亮太助教、菅原克明助教、高橋隆教授、一杉太郎准教授は、グラフェンを二層重ねた物質(二層グラフェン)の間にカルシウム原子を挿入(サンドウィッチ)した二層グラフェン化合物について、それを形成する下地基板の特性を利用して性質を改変することに成功し、電荷密度波(注1)(図1)が生じていることを明らかにしました。 グラフェンは、エレクトロニクス応用に向けて、エネルギーギャップ(注2)や超伝導等の様々な性質を付与することが切望されており、その方法が活...
-
シリセンの基盤電子構造解明 −グラフェンを越えるシリセンの新機能開拓に道− 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、一杉太郎准教授、菅原克明助教は、豊田中央研究所の中野秀之主任研究員らの研究グループと共同で、グラフェンを越えると期待されている新材料シリセンの層間化合物CaSi2を合成し、その電子状態の解明に世界で初めて成功しました。その結果、シリセンが見かけ上の質量がゼロとなる電子状態を持つことが明らかとなりました。この成果は、超高速電子デバイスへの応用が期待されているシリセンの基盤電子状態の理解と、その材料設計および機能開拓に大きく貢献するものです。 シリセン...
-
東北大、高温超伝導を担う電子が異常な秩序状態を形成することを解明
高温超伝導を担う電子の、異常な秩序状態を観測 −超伝導機構の解明に手掛かり− <概要> 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、谷垣勝己教授、および同大学院理学研究科の中山耕輔助教らの研究グループは、新型鉄系高温超伝導体のモデル物質である鉄セレンにおいて、超伝導を担う電子が、異常な秩序状態を形成することを初めて明らかにしました。この発見は、鉄系高温超伝導体の超伝導機構を解明する鍵になると期待されます。 本研究成果は、米国物理学会誌 Physical Review Lettersに、平成26年12月5日(米国東部時間)付けでオンライン掲載されます。 <背景> 2008年に、東京工業大学の...
-
東大など、バレートロニクス結晶中の電子スピンの直接観測・制御に成功
バレートロニクス結晶中の電子スピンの直接観測・制御に成功 ―新たな原理に基づく電子デバイスの実現に道− 1.発表者: 鈴木 龍二(東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 博士課程 1年) 坂野 昌人(東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 博士課程 2年) 明石 遼介(理化学研究所 創発物性科学研究センター 計算物質科学研究チーム 特別研究員/ERATO 磯部縮退π集積プロジェクト 研究員) 石坂 香子(東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 准教授) 有田 亮太郎(理化学研究所 創発物性科学研究センター 計算物質科学研究チーム チームリーダー/ERATO 磯部縮退π集積プロジェ...
-
東大と東工大と上智大、二酸化チタンの光触媒活性を決める因子を発見
二酸化チタンの光触媒活性を決める因子を発見 −高効率光触媒開発に新たな指針− 【要点】 ○二酸化チタン結晶表面での光励起キャリアのダイナミクスをリアルタイムで観測することに成功し,光触媒活性を決める因子を発見。 ○未解明であったアナターゼ型とルチル型二酸化チタンの触媒活性の違いが,光励起キャリアの結晶表面に固有な寿命に起因することを証明。 ○光触媒活性を簡便に制御する方法を提案。 【概要】 東京大学物性研究所の松田巌准教授と山本達助教,東京工業大学大学院理工学研究科の小澤健一助教,上智大学理工学部の坂間弘教授らの研究グループは,光触媒(注1)である二酸化チタン(TiO2(*))...
-
東北大と東大、グラフェンの「質量ゼロ」電子を反映した超高速状態を直接観察に成功
グラフェンの超高速電子状態を直接観察 −次世代光デバイスの開発を裏付ける− 1.発表者:松田巌(東京大学物性研究所 准教授) 吹留博一(東北大学電気通信研究所情報デバイス研究部 准教授) 2.発表のポイント: ◆ダイヤモンドと同じ元素組成をもつグラフェンは、電子が"質量ゼロ"の状態を有する。 ◆グラフェンの"質量ゼロ"電子を反映した超高速の状態を初めて直接観察することに成功した。 ◆光通信やレーザー発振などの光学グラフェンデバイスの開発において前提となっている状態の裏付けと特性評価が行われ、本成果はその設計に重要な役割を果たすと期待される。 3.発表概要...
-
世界で初めて、溶液反応の超高速時間・角度分解光電子分光に成功 ―溶液化学反応の機構解明に前進― <本研究成果のポイント> ○水溶液中の化学反応機構を解明する新しい研究手法を開発 ○水溶液の表面近くで起こる電子移動反応を解明 ○水溶液の表面に捕捉された電子の探索 京都大学(松本紘総長)、Wurzburg大学(Alfred Forchel 学長)、理化学研究所(野依良治理事長)は、世界で初めて、液体表面近くで起こる電子移動反応をリアルタイムに観測するフェムト秒[1]時間・角度分解光電子分光[2]に成功しました。これは、京都大学大学院理学研究科の鈴木俊法教授(理化学研究所光量子工学研究領域分子反応ダイナミ...
-
東北大、2層の黒鉛にカルシウム原子をサンドしたグラフェン層間化合物作成に成功
ミクロな世界のサンドウィッチ −グラフェン層間化合物の作成に初めて成功− <概要> 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の菅原克明助教、一杉太郎准教授、高橋隆教授らの研究グループは、グラファイト(黒鉛)2層の間にカルシウム原子を挿入(サンドウィッチ)した2層グラフェン層間化合物の作成に世界で初めて成功しました。この成果は、グラフェンを用いた高効率なマイクロバッテリーや超薄膜超伝導デバイスへの道を開くものであり、新たな材料科学研究へ大きく貢献することが期待されます。 本成果は、2012年11月5日(米国時間)の週に、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the...
-
JSTと東大、鉄系超伝導体で電子を結びつけて対にする“のり”を発見
鉄系超伝導体において競合しあう2種類の超伝導の“のり”を発見 【ポイント】 ・光電子分光装置として世界最高のエネルギー分解能(70マイクロ電子ボルト)と世界最高の冷却能力(最低温度1.5K)を持つレーザー光電子分光装置を開発。 ・特定の運動量では対を作らない電子の存在を世界で初めて明らかに。 ・高温超伝導発現機構の全容解明に繋がり、室温超伝導の実現に一歩前進。 <発表概要> 電子が電子対を作ってエネルギー損失ゼロとなる超伝導体は、未来の材料として大いに注目を集めている。しかし、超伝導現象は極低温でしか実現しないことが多い。切望される室温での超伝導実現には、高温超伝導体(注...
-
産総研など、金属酸化物中の電子相関効果を解明し理論モデルを導出
金属酸化物デバイス材料の新機能探索に新たな指針 −金属酸化物における電子同士の避け合いの効果を解明− <ポイント> ・放射光を利用した光電子分光実験により、金属酸化物中の電子同士の避け合いの効果が明らかに ・電子同士の避け合いの効果を定量化するための理論モデルを初めて導出 ・新しい機能を有した金属酸化物デバイス材料の探索に新たな指針 <概要> 国立大学法人 広島大学【学長 浅原利正】放射光科学研究センター【センター長 谷口雅樹】(以下「HiSOR」という)の岩澤英明助教、島田賢也教授、独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口有】電子光技術研究部門【研究部門長 原市...
-
JSTと慶大、「光誘起電荷分離現象」についてリアルタイムに高精度で観測することに成功
有機薄膜表面電子の光励起寿命をリアルタイムで計測 −高効率な太陽電池などの創出に道開く− JST課題達成型基礎研究の一環として、慶應義塾大学 理工学部 化学科の中嶋 敦教授らの研究グループは、有機薄膜を塗布した金電極に、光を照射した時に起こる「光誘起電荷分離現象(注1)」を、リアルタイムに高精度で観測することに成功しました。 有機薄膜の1つである、アルカンチオール(注2)の自己集積化単分子膜(SAM膜)(注3)は、今後実用化が期待されるナノクラスター(原子や分子が集合した超微粒子)(注4)を用いた光電子デバイス(注5)に必須の絶縁中間層材料の代表例として有望視されています...
-
理化学研究所、磁性を持つ有機分子TDAE−C60の電荷移動の新モデルを提唱
磁性を持つ有機分子TDAE−C60の電荷移動の新モデルを提唱 −新たな有機分子磁石の開発が可能に− ◇ポイント 単結晶α−TDAE−C60をSPring−8で光電子分光測定し、理論と比較 1個の電子の移動によって有機分子TDAE−C60は磁性を発生 高密度記録材料や磁性体薬剤化合物への応用が期待 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、本来、磁性(※1) を持たない有機分子が磁性を帯びる仕組みを、電荷移動に基づく新モデルで示しました。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)石川X線干渉光学研究室の山岡人志専任研究員、石田行章研究員(現東京大...
-
東京大学など、強相関電子を2次元空間に人工的に閉じ込める「量子井戸構造」の作製に成功
「世界で初めて強相関電子を2次元空間に閉じ込めることに成功 ―新たな高温超伝導物質の実現や、電子素子作りに道を拓く―」 1.発表者: 組頭広志(当時:東京大学大学院工学系研究科 応用化学専攻 准教授、 現:高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 教授) 尾嶋正治(東京大学大学院工学系研究科 応用化学専攻 教授) 2.発表概要: 高温超伝導などの源である電子同士が互いに強く影響し合う性質をもった「強相関電子[注1]」を2次元空間(層)に人工的に閉じ込める「量子井戸構造[注2]」を作製することに世界で初めて成功しました。レーザーを使った結晶成長の技術を...
-
東北大学など、新材料トポロジカル絶縁体の電子スピンの直接観測に成功
新材料トポロジカル絶縁体の電子スピンの直接観測に成功 −次世代の省エネルギーデバイス開発に向けて大きな進展− <概 要> 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の相馬清吾助教と高橋 隆教授、大阪大学産業科学研究所の安藤陽一教授らの研究グループは、次世代のスピントロニクスデバイス(注1)を担う画期的な新材料として注目されている「トポロジカル絶縁体」(注2)の電子スピン(注3)(最小の磁石)の状態を、世界最高の分解能を持つ超高分解能スピン分解光電子分光装置により直接観測することで、デバイス応用に重要となる電子スピンの動作機構の解明に成功しました。今回の成果により、次世代の省エネ素子...
-
広島大と東大、高温超伝導体で電子と格子振動が強く結合する仕組みを解明
高温超伝導体で電子と格子振動が強く結合する仕組みを解明 〜より高温での超伝導実現に大きな手がかり〜 【概 要】 広島大学大学院理学研究科の井野明洋助教と、大学院生の安斎太陽、東京大学大学院理学系研究科の藤森淳教授、内田慎一教授らを中心とする研究グループは、広島大学放射光科学研究センターの高輝度シンクロトロン放射光を用いて、世界最高水準の高分解能・角度分解光電子分光実験を行い、高温超伝導体で電子と格子振動が強く結合する仕組みを明らかにしました。高温超伝導発現には、電子と電子をつなぐ強力な「のり」の存在が必要とされています。しかし、これまで、その「のり」の正体が不明でした。今回判...
-
広島大と産総研、ルテニウム酸化物の超伝導電子対を形成するための「のり」の強さと成分を解明
超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり −ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功! 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明− ポイント ●直線偏光放射光を活用した高分解能角度分解光電子分光により、電子の運動状態を選択的に可視化 ●ルテニウム酸化物の超伝導電子対を形成するための「のり」の強さと成分を初めて解明 ●超伝導電子対の「のり」の起源として、結晶の原子の振動が関与していることを強く示唆 ■概要 国立大学法人 広島大学【学長 浅原利正】放射光科学研究センター【センター長 谷口雅樹】(以下「HiSOR」という)の岩澤英明特任助教、島田賢也教授、...