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基礎科学
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東工大と名工大と九大、室温で強磁性・強誘電性が共存した物質を実現
室温で強磁性・強誘電性が共存した物質を実現 ―低消費電力・超高密度磁気メモリー開発に道― 【概要】 東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の北條元・元助教(現九州大学総合理工学研究院准教授)、東正樹教授、名古屋工業大学の壬生攻教授らの研究グループは、セラミックス結晶中に磁石の性質(強磁性:用語1)と電気を蓄える性質(強誘電性:用語2)が室温において共存することを確認した。室温での両性質の共存は、鉄酸ビスマスを用いた次世代磁気メモリー実現のための鍵として注目されていながらも、磁性不純物の影響により、これまで本質的であると実験で確認されたことはなかった。 同研...
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理研など、ネットワーク内の「情報の統合」を定量化するための数理的な枠組みを提案
ネットワーク内部の情報の統合を定量化 −客観的な意識レベルの指標に向けてー ■要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター脳数理研究チームの大泉匡史基礎科学特別研究員、甘利俊一チームリーダー、モナシュ大学の土谷尚嗣准教授らの国際共同研究チームは、ネットワーク内の「情報の統合」を定量化するための数理的な枠組みを提案しました。 私たちの脳が「意識」を生み出すためには、神経細胞同士が密に情報をやりとりすること、つまり情報の統合が必要であると考えられています。例えば、単純なデジタルカメラと脳の情報処理の違いを考えたとき、デジタルカメラの中の多くのフォトダイオードでは、独立に情報...
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東陽テクニカ、慶大理工学部中央試験所内に「ナノイメージングセンター」を開設
慶應義塾大学理工学部と産学連携室 「ナノイメージングセンター」を開設 株式会社東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:五味 勝、以下 東陽テクニカ)は、この度、慶應義塾大学理工学部中央試験所と地域産学官共同研究拠点整備事業に関する契約を締結し、同所内に「ナノイメージングセンター」を2016年7月20日に開設いたしました。 この事業は、慶應義塾大学と東陽テクニカが持つナノイメージング技術を駆使した観察・分析ソリューションを、学術・産業両分野に普及させ活用することにより、科学技術を駆動力とした経済の活性化と価値創出を目的としています。 【設立背景・目的】 微小な領域を...
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東大、植物の栄養吸収の要となる構造形成を制御するスイッチを解明
「植物の栄養吸収の要となる構造形成を制御するスイッチを発見」 1.発表者: 神谷岳洋(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻・講師) 2.発表のポイント: ◆植物の根における栄養吸収に重要な構造であるカスパリー線形成をオンにする遺伝子を同定しました。 ◆複雑なステップよりなるカスパリー線形成がたった一つの遺伝子により制御されていることを明らかにしました。 ◆根の栄養吸収の理解や、効率的に栄養を吸収する作物の作出に有用な知見を与えることが期待されます。 3.発表概要: 植物は土壌中の栄養を主に根から吸収します。この吸収にはカスパリー線と呼ばれる根の構造が重要な役...
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住友電工、引張り強度を大幅に強化した超高強度超電導線を販売開始
超高強度超電導線DI−BSCCO Type HT−NX販売開始 当社は、従来250−270MPa(*1)級の許容引張り強度を有していた高強度ビスマス系高温超電導線材の引張り強度を大幅に強化、400MPa級超の超電導線材の開発に成功し、超高強度超電導線DI−BSCCO Type HT−NXとして販売を開始します。 この超電導線は、「高強度Bi−2223線材の開発」として、一般社団法人 未踏科学技術協会より第19回超伝導科学技術賞を受賞しました。(授賞式は4/17) 当社は、2004年にビスマス系高温超電導線材の工業製品化を実現して以来、数多くのお客様に新規にご採用を頂くとともに、既存の銅線や、金属系超電導線材への置き換えを...
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東北大、高温超伝導を担う電子が異常な秩序状態を形成することを解明
高温超伝導を担う電子の、異常な秩序状態を観測 −超伝導機構の解明に手掛かり− <概要> 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、谷垣勝己教授、および同大学院理学研究科の中山耕輔助教らの研究グループは、新型鉄系高温超伝導体のモデル物質である鉄セレンにおいて、超伝導を担う電子が、異常な秩序状態を形成することを初めて明らかにしました。この発見は、鉄系高温超伝導体の超伝導機構を解明する鍵になると期待されます。 本研究成果は、米国物理学会誌 Physical Review Lettersに、平成26年12月5日(米国東部時間)付けでオンライン掲載されます。 <背景> 2008年に、東京工業大学の...
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理研、グラフェンの物性制御に向け新しい「炭素−酸素結合」の構造を解明
グラフェンの物性制御に向け新しい「炭素−酸素結合」の構造を解明 −「エノラート」構造が「エポキシ」構造に比べより安定的に生成− <ポイント> ・金属とグラフェンの接触でグラフェン表面の電子状態が大きく変化 ・体系的なグラフェン表面の化学修飾が可能に ・グラフェンを利用した次世代の高機能電子デバイス開発に寄与 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、金属電極に接触した「酸化グラフェン[1]」の化学構造を理論的に調べ、「エノラート[2]」構造という高い反応性の化学種であることを発見しました。これは、理研Kim表面界面科学研究室の鄭載勲(ジョン ジェフン)国際特別研究員、林...
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電子の蓄積とその集団的運動の可視化に世界に先駆けて成功 ―電子の動きに伴う電場の乱れを先端計測法で検出・追跡― 東北大学多元物質科学研究所の進藤大輔教授(理化学研究所創発物性科学研究センターチームリーダー)と赤瀬善太郎助教、理化学研究所の会沢真二テクニカルスタッフらの研究グループは、帯電した絶縁体試料表面近傍で電子が次第に蓄積する様子を、電子線ホログラフィーにより電場の乱れとして検出すると共に、その電子集団の移動の様子を可視化することに世界に先駆けて成功しました。 本研究成果は、米国の顕微鏡に関する専門誌であるMicroscopy and Microanalysisのオンライン版(5月12日付け:日本時間5...
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液晶の電場配向に対する閉じ込め効果を初観測 −空間の狭さで液晶の特性が変わるメカニズムを解明− 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の栗原和枝教授の研究グループは、独自に開発した共振ずり測定法(*1)を駆使し、基板の間の距離約13nm以下の空間に閉じ込められた液晶は、電場により分子の向きを変えることが出来なくなることを見いだしました。 液晶ディスプレーは、2枚の基板が液晶分子を挟んでできた素子から構成されており、一定方向に並んでいる(配向している)液晶分子の向きを、電場を用いて変えることで表示を制御しています。本研究グループでは、基板表面間の距離を連続的に変えながら表面間の液...
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理化学研究所、マウス生殖細胞から特徴的なエピゲノム領域を発見
マウス生殖細胞から特徴的なエピゲノム領域を発見 −従来不可能だった100個程度の細胞からのゲノム修飾解析技術を開発− <ポイント> ・超微量解析技術により生殖細胞に特有な低メチル化DNA領域を発見 ・生殖細胞に特有な遺伝子発現とエピゲノム関連の解析に有用なリソースを特定 ・細胞分化や発がんに関するエピゲノム研究を促進 <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、従来では不可能だった100個程度の細胞からのDNAメチル化[1]解析を可能とする技術を開発しました。この技術を用いてマウス胎児などから得られる少数の細胞を解析したところ、生殖細胞特有な遺伝子の発現に関わる低メチル化DNA...
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組織形成における細胞分裂の新しい役割の発見 −球形化する細胞が組織形成の引き金をひく− ◇ポイント◇ ・組織の潜り込み運動(陥入)の様子を高精度なライブセルイメージングで観察 ・3つの性質の異なるメカニズムが補完的かつ協調的に作用し、安定した組織形成を実現 ・細胞分裂が形態形成に関わる新たな知見により、巧妙な発生の仕組み解明に新たな一歩 理化学研究所(野依良治理事長)は、ショウジョウバエの気管形成過程をライブセルイメージング(※1)で詳細に観察することで、気管原基(気管のもとになる上皮細胞(※2)シート)の細胞が細胞分裂時に球状になることが、組織の構造的な不安定化を引き...
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理化学研究所とJST、ヘビー級ケトン「ゲルマノン」の合成・単離に成功
ヘビー級ケトン「ゲルマノン」の合成・単離に初めて成功 −電荷が分かれた構造は分子の結合論・反応論の総合的理解に貢献− 本研究成果のポイント ○ケトンの炭素をゲルマニウムに置換したヘビー級ケトン「ゲルマノン」を初めて合成 ○ケトンとは反応しない二酸化炭素が、ゲルマノンとは反応して環状化合物を生成 ○新しい化学反応・触媒反応の開拓と新たな機能性物質デザインの可能性を開く 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、安定な有機化合物であるケトン(※1)の炭素原子をゲルマニウム(Ge)に置換したヘビー級ケトン「ゲルマノン」の合成・単離に初めて成功し、ケトンにはない反応性を見いだしまし...
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理化学研究所、遺伝子改変なしにクローンマウスの出生率を10倍高める技術を開発
遺伝子改変なしにクローンマウスの出生率を10倍高める技術を開発 −畜産、医療、製薬分野への本格導入に期待− ◇ポイント◇ ・X染色体を不活性化するXist遺伝子の過剰発現をRNA干渉法によって抑制 ・RNA干渉法の効果がクローンマウス出生後のさまざまな遺伝子発現までも改善 ・遺伝子改変を伴わないため体細胞クローン量産へ向け安全・簡便・高効率の実現に期待 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、塩基配列を変えることなく遺伝子発現を抑制するRNA干渉法(※1)により、体細胞クローンマウスの出生率を10倍以上改善する技術の開発に成功しました。これは、理研バイオリソースセン...
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産総研、熱エネルギーをスピンに変換する新現象「ゼーベック・スピントンネル効果」を発見
ゼーベック・スピントンネル効果を発見 −温度差だけで電子スピン情報がシリコンに伝わる新現象− <ポイント> ・電子スピンが持つデジタル情報を加熱によってシリコン中に入力することに成功 ・スピントロニクス技術とシリコンLSI技術を融合させた、電流を用いない新しいスピン注入法 ・シリコンLSI中に生じる廃熱を再利用する新しいグリーンITが原理的に実現可能 <概 要> 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)ナノスピントロニクス研究センター 湯浅 新治 研究センター長、半導体スピントロニクスチーム Ron Jansen 招聘研究員、齋藤 秀和...
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東大と理化学研究所、スピンキラリティが誘起する自発的ホール電圧を磁場で制御することを発見
スピンキラリティが誘起する自発的ホール電圧を磁場で制御する 1.発表者: Luis Balicas(米国国立高磁場研究所 専任研究員/元 東京大学物性研究所客員准教授) 町田 洋(東京工業大学大学院理工学研究科 助教/元 東京大学物性研究所 日本学術振興会特別研究員) 中辻 知(東京大学物性研究所 准教授) 小野田繁樹(理化学研究所基幹研究所 専任研究員/元 東京大学物性研究所客員准教授) 2.発表概要: ホール効果は19世紀の発見以来、磁場、あるいは、強磁性に伴う磁化の存在が必ず必要とされてきましたが、我々は磁気秩序の存在しないゼロ磁場下で、巨大なホール効果が、電子ス...
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理化学研究所、新環状化合物「テトラシラシクロブタジエン」の合成に成功
4つのケイ素で「ひし形」の新環状化合物を初合成 −正方形の4つのパイ電子はどうなるか?炭素とケイ素の違いを解明− ◇ポイント◇ ・4つのケイ素でひし形の化合物「テトラシラシクロブタジエン」を世界で初めて合成 ・4つの炭素では長方形を、4つのケイ素ではひし形を形成 ・分子の結合論に関する基礎科学の新知見が蓄積し、シリコン単体の表面科学などへ寄与 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、4つのケイ素原子でできた新環状化合物「テトラシラシクロブタジエン(※1)」の合成に世界で初めて成功し、この化合物が、4つの炭素原子でできた長方形のシクロブタジエンとは異なり、ひし形である...