Pickup keyword
生態学
-
干潟の「普通種」実は2種だった! 〜ゴカイの仲間に隠れた近縁種を発見〜 日本の干潟に広く生息し、「普通種」とされる多毛類(ゴカイの1種)ドロオニスピオの中に、形態が類似した異なる種が含まれていたことを東邦大学理学部生命圏環境科学科 海洋生態学研究室の阿部博和 博士研究員と東北大学大学院の農学研究科の大越和加 准教授、同大学院生の近藤智彦氏の研究チームが明らかにしました。 この結果、これまで様々な学術論文や環境アセスメントの報告書の中でドロオニスピオとして扱われてきたものは2種に分ける必要があり、従来の研究成果の再考や一部変更が求められることになります。近年、干潟の価値や生物...
-
遺伝的多様性の新しい影響を発見 わずかな性質の違いが生態系を変化させる可能性 1.発表者: 吉田丈人(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 准教授) 笠田 実(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 博士課程大学院生) 山道真人(京都大学白眉センター/生態学研究センター 特定助教) 2.発表のポイント: ◆生物のもつ遺伝的性質のわずかな違いが進化や個体数変化のあり方を変えることで、生態系に大きな影響を与える可能性を、プランクトンを用いた実験生態系により初めて実証した。 ◆生物多様性の要素のうち遺伝的多様性については、その重要性を裏付ける学術的知見が乏しい...
-
理化学研究所、植物ホルモン「サイトカイニン」の「質」の重要性を解明
植物ホルモン「サイトカイニン」の「質」の重要性を解明 −サイトカイニン分子のかたちが変わると作用が一変− <ポイント> ・サイトカイニンの側鎖修飾を担う酵素の遺伝子「CYP735A」を同定 ・側鎖修飾されたサイトカイニンは、茎や葉など地上部の成長だけを促進 ・CYP735A遺伝子は増産を目指す農産物改良の有力なターゲットに <要旨> 理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、植物ホルモン「サイトカイニン」の作用が、「量」の変化ではなく、サイトカイニン分子の側鎖[1]の修飾による「質」的な変化によって制御されることを明らかにしました。これは、理研環境資源科学研究センター(篠崎一雄センター...
-
東大、水平移動するアザラシの移動コストが中性浮力の時に最小になることを解明
水平移動するアザラシの移動コストは中性浮力の時に最小となる ――バイオロギングによる野外操作実験から―― 1.発表者: 佐藤 克文(東京大学大気海洋研究所 准教授) 青木 かがり(東京大学大気海洋研究所 海洋科学特定共同研究員) 渡辺 佑基(国立極地研究所 助教) パトリック・ミラー(セント・アンドリュース大学 講師) 2.発表のポイント: ◆水生動物が中性浮力を有する時に水平移動に要するエネルギー(移動コスト)が最小となることを明らかにした。 ◆野外環境下においてバイオロギング(注1)手法と操作実験を組み合わせ、未解明の仮説を検証した。 ◆仮説発掘型のバイオロギング手法...
-
森林総合研究所、「カシノナガキクイムシ」の遺伝子の組成が本州の北東と南西で異なることを解明
ナラ枯れは「地元」のカシノナガキクイムシが起こしている −遺伝子解析が示すナラ枯れ被害拡大の要因− ポイント ●ナラ枯れを媒介する「カシノナガキクイムシ」の遺伝的変異を解析したところ、被害を受けるナラ類と同様に、本州の北東と南西で遺伝子の組成が明瞭に異なっていることが明らかになりました。 ●このことから、カシノナガキクイムシは近年になって気候変動によって北方に分布を広げたのではなく、以前から各地に生息しており、昨今の森林環境の変化にともなって被害が顕在化したと推定されました。 概要 最近、ミズナラなどが集団で枯れる被害が顕著になっています。その原因は病原菌で、「カシ...
-
森林総合研究所、森林の生物多様性がソバの実りを豊かにすることを確認
森林の生物多様性がソバの実りを豊かにする −花粉を媒介する昆虫の多様性が結実率を高める− ●ポイント ・森林や草地など多様な植生が周りに豊富なソバ畑では、花粉を媒介する昆虫が多くみられました。 ・花粉を媒介する昆虫の多くいるソバ畑では、ソバ結実率は良くなりました。 【 概 要 】 森林は豊かな生物多様性をささえています。しかし、それが人間の生活にも貢献していること(生態系サービス)はあまり知られていません。そこで、中山間地で栽培されているソバの実のつき具合(結実率)と生物多様性との関係を調べました。ソバの花粉の媒介はハチ、アリ、ハエ、ハナアブ、ハナムグリなどの昆虫が行うので、そ...