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千葉大や京大など、V型ATPaseの回転分子モーター部分の詳細構造を解明

2013-01-17

骨粗鬆症やがん転移に関与する分子モーターの回転の仕組みを解明
― 明らかになった構造と動作原理に基づいた治療薬の開発が可能に ―


 千葉大学大学院理学研究科の村田武士特任准教授(JSTさきがけ研究者、理化学研究所客員研究員)らは、たんぱく質ナノモーター(注1)であるV型ATPaseの回転分子モーター部分の詳細構造を世界で初めて解明しました。これにより、ATPのエネルギーが回転運動に変換される仕組みの大枠が原子レベルで明らかになりました。骨粗鬆症やがんなどの疾病に関与するV型ATPaseを阻害する方法の予測が可能となり、立体構造に基づいた治療薬の創製に繋がるものと期待されます。
 本研究は文部科学省ターゲットタンパク研究プログラム、文部科学省科学技術振興調整費、JST戦略的創造研究推進事業さきがけ等の支援を受け、東京理科大学大学院基礎工学研究科の山登一郎教授、京都大学大学院医学研究科の岩田想教授、理化学研究所生命分子システム基盤研究領域の横山茂之領域長らとの共同研究として行われました。本研究成果は、2013年1月13日(18時;英国時間)の英国科学雑誌「Nature」のオンライン速報版で公開されます。


<研究の背景と経緯>
 V型ATPaseは、細菌からヒトまで多くの生体膜中に存在し、ATPのエネルギーを使って水素イオンを運ぶことで膜内外のpHを調整しています。V型ATPaseは骨の形成に関わる破骨細胞やがん細胞の細胞膜にも存在しており、骨粗鬆症やがん細胞の増殖・転移に関与していることが分かっています。そのため、V型ATPaseの分子メカニズムを知ることは、これら疾病の理解に繋がりますし、V型ATPaseの阻害剤は治療薬として期待されています。V型ATPaseは、親水性のV1部分と膜内在性のVo部分から構成されています(図−1)。触媒頭部(A3B3複合体)でATPが加水分解され、そのエネルギーを使って軸部分が回転し、これに伴ってVo部分で水素イオンが輸送されると考えられていますが、詳細構造が不明であったため詳しい仕組みは未解明でした。当研究グループは、細菌(腸球菌)にもヒトV型ATPaseに良く似た酵素が存在することを発見し、その生化学的・構造生物学的研究を進めてきました。最近、ヒトと腸球菌のV型ATPaseの回転軸(DF複合体)の詳細構造をそれぞれ明らかにしました。得られた構造は互いにそっくりで、V型ATPaseの動作原理はヒトと腸球菌で酷似していることを明らかにしています。本研究では、V型ATPaseがATPの化学エネルギーを物理的な回転エネルギーに変換する仕組みを明らかにすることを目的に、腸球菌V型ATPaseの触媒部分及びV1複合体のX線結晶構造解析(注2)を試みました。



※以下、「研究の内容」などリリースの詳細は添付の関連資料を参照


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