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富士通研究所、時間・場所に応じて必要なデータなどが自動配信・自動実行される情報端末技術を開発
時間や場所に応じて必要なアプリケーションが自動配信・自動実行される情報端末技術を開発
スマートフォンやパソコンの便利で新しい使い方を提案
株式会社富士通研究所(注1)は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの情報端末の利用者が、時間や場所に応じて必要となるアプリケーションやデータについて、情報端末への配信や実行、消去といった一連の動作を自動で行う基盤技術を開発しました。
本技術により、たとえば利用者が会議室に情報端末を持って入るだけで、必要なアプリケーションとデータが配信され、会議に必要な資料をすぐに使うことが可能になります。これにより、アプリケーションのセットアップやデータのインストールに要する時間を削減でき、利用者の業務効率を大幅に改善させることができます。
図1 時間や場所に応じて必要となる情報の例
※ 関連資料参照
開発の背景
持ち運び可能な情報端末は、機能の向上とさまざまな種類の普及により、多くの業務で広く使われています。その情報端末を、業務に応じて必要な時に必要な場所ですぐに利用できるようにすることが求められています。たとえば、会議室では会議に必要なアプリケーションやデータがあり、教室では授業に必要なアプリケーションやデータがあります。また、情報漏えいの観点から、使用後のアプリケーションとデータを消去する必要もあります。
課題
現在、アプリケーションやデータを利用するには、利用者やIT部門が情報端末側でセットアップやインストールをしておく必要があり、面倒な工程と時間がかかっています。わざわざ準備をしなくてもアプリケーションやデータが情報端末に自動配信・自動実行され、利用後には自動消去されるような仕組みが期待されていました。
開発した技術
利用者の状況に応じてアプリケーションやデータが自動配信・自動実行される基盤技術を開発しました。
開発した技術は以下の通りです。
(1)アプリケーションのインストールや実行を自動で行う技術
利用者の状況をGPSなど各種センサー情報から判断し、クラウドから状況に応じて必要となるアプリケーションやデータを送信、情報端末を起動して実行し、不要になったら消去するといった一連の動作を自動で行う通信基盤とアプリケーション実行環境を構築しました。スマートフォンではアプリケーションとデータの管理と通信をおこなう専用ソフトウェアを組み込み、パソコンではスリープしていた場合でも起動して通信をおこなう専用チップを搭載しています。
図2 アプリケーションのインストールと自動実行
※ 関連資料参照
(2)マルチデバイス連携技術
スマートフォンでもパソコンでも、情報端末の種類を意識せずに相互にアプリケーションの受け渡しを実現する技術を開発しました。近距離無線通信NFC(注2)などの情報を利用して、端末同士が近づくと、アプリケーションとデータが入っている端末から別の端末に移動できます。その際、アプリケーションは表示する端末の画面の大きさに合わせて、見やすいようにレイアウトされます。
図3 マルチデバイス連携
※ 関連資料参照
効果
本技術により、利用者が事前にアプリケーションやデータのセットアップをしておかなくても、必要な時に必要な場所で利用できるようになります。利用者は、アプリケーションのセットアップやデータのインストールに要する時間を削減でき、業務効率を大幅に改善することができます。
今後
富士通研究所では、今年度中に技術の完成度を高め、2012年度中の実用化を目指します。これにより、人が活動しているあらゆる場所で的確なサービスを提供するヒューマンセントリックなICT環境を提供していきます。
以上
注釈
(注1)株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
(注2)NFC:
Near Field Communication。通信距離が10数センチの小電力無線通信(RFID)の国際規格。2003年12月に規格化。
※ 参考資料は、関連資料参照