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ソニー、個人情報とデータを分離しデータのみをクラウドに蓄積するシステムを開発

2013-08-22

個人情報とデータを分離し、データのみをクラウドに蓄積する新システムを開発し、
FeliCaカードを利用した電子お薬手帳サービスを提案



 ソニーは、クラウド上で個人情報に配慮したデータの蓄積を可能とするシステムを新たに開発し、その最初のアプリケーションとして、交通システムや各種電子マネーで広く普及している非接触ICカード技術 FeliCa(フェリカ)のカードを利用した電子お薬手帳の試験サービスを2013年秋より川崎市にて開始します。

 従来のクラウドを利用した一般的なサービスでは、利用者の個人情報とデータの両方がペアで同じクラウド上のサーバーに保存されるため、万一外部または内部からシステムへの侵入があった場合、これらの情報が同時に漏えいするリスクがありました。これに対して今回ソニーが新たに開発したシステムは、個人情報とデータを分離し、データのみをクラウドに保存します。このため、仮にクラウド上のデータへの不正アクセスがあったとしても、個人情報が守られる構造を実現しています。この仕組みを利用した最初のアプリケーションとして電子お薬手帳を提案します。


<FeliCaカードによる電子お薬手帳>
 医師が処方した薬の名称や量、服用回数、飲み方などの調剤情報を記録するお薬手帳は、複数の医療機関で薬が処方された場合でも、医師や薬剤師が薬の重複や不適切な飲み合わせがないか等の確認を行うのに役立つもので、現在は主に紙の手帳が利用されています。紙の手帳は、薬局から受け取る調剤情報シールを貼り付けたり、自分でメモを書き込めたりする手軽さがある一方で、薬局への携行を忘れてしまった場合や、手帳自体を紛失した場合等、調剤履歴を継続的に蓄積、管理するのが難しいという一面もあります。

 ソニーは、個人の調剤履歴の記録や管理向けに、FeliCaカードを利用した電子お薬手帳と、スマートフォンアプリケーションを開発しました。利用者は、FeliCaチップが埋め込まれたカードを薬局の端末にかざすだけの簡単な操作で、調剤履歴の閲覧と調剤情報の記録を行うことができます。さらにスマートフォンアプリケーションをインストールすれば、モバイル端末からも情報閲覧できるほか、診察を受けた際の症状や、服薬後の副作用、アレルギーなどの記録も可能です。また、薬局は専用のソフトウェアをインストールしたパソコンおよびタブレット、並びにカードリーダー等を用意することで、システムを構築できます。

 ※参考画像は添付の関連資料「参考画像1」を参照


<お薬手帳の単純な電子化を超えるコミュニケーション支援ソリューション>
 このサービスでは、調剤履歴に加えて、利用者がスマートフォンで入力した症状、副作用、アレルギーなどに関する各種情報も薬局側で一元的に把握することができるため、薬剤師は利用者の状況をより効率よく的確に把握できるようになり、「リスクコミュニケーション」の促進にもつながります。また、スマートフォンを利用して子供の調剤情報を保護者が管理したり、離れて暮らす高齢者の状況を家族、親戚が見守ったりと、家族間のコミュニケーションを深めることにより、「セルフメディケーション」の促進を支援します。
 このように、今回提案するサービスは、お薬手帳の単なる電子化の枠を超えて、薬剤師と利用者、また、利用者を取り巻く家族内でのコミュニケーションを充実させるソリューションとなります。将来的には、医師とのコミュニケーションをはじめ、高齢化社会における在宅医療や、お薬手帳に留まらない情報共有等のニーズに、このソリューションを活用することも可能であると考えます。

 ※参考画像は添付の関連資料「参考画像2」を参照


<神奈川県川崎市で2013年秋より試験サービスを開始>
 ソニーはこの新たなサービスの実証実験として、川崎市宮前区医師会および同市薬剤師会と協力して、五十嵐中特任助教(東京大学大学院薬学系研究科)監修の下、2011年11月より川崎市宮前区にある約20の薬局にシステムを提供してきました。各薬局がこのシステムを用いたサービスを提供し、現在までに約1,000名の利用者に実際にご利用いただいています。
 この実証実験を通して利用者や薬局からいただいた各種のご要望や、それらを検討して蓄積した知見を活かし、2013年秋からは対象エリアを川崎市全域に拡大して、ソニー自ら試験サービスを展開していきます。

○川崎市薬剤師会:嶋元(しま はじめ)会長からのコメント

 『川崎市宮前区の薬局で展開されてきた電子お薬手帳の実験については私も興味を持っていました。
 カードのタッチで簡単にお薬手帳の情報を薬剤師に見せることができる点や、利用者がスマートフォンで便利に情報を見られる点、そして何より利用者も薬剤師も、追加の手間がほとんど発生しないという点を高く評価する声が各所より届いています。
 この評価を受け、2013年秋より、この仕組みを川崎市全域へ導入することを決めました。
 このような先進的なITサービスへの取り組みは、利用者の健康管理を助ける薬剤師の付加価値向上に役立つと確信しています。川崎市を発端として、この仕組みが全国に広まっていくことに、大きな期待を寄せています』


<個人情報に配慮してクラウドに情報を蓄積するシステムを新たに開発>
 これらのサービスを支えているものが、ソニーが新たに開発した、個人情報に配慮してクラウドに情報を蓄積するシステムです。
 従来のクラウドを利用した一般的な情報サービスでは、利用者の個人情報とデータがペアで同じクラウド上のサーバーに保存される構造をとっています。外部からの攻撃に備えては強固な暗号化を施すなどしてセキュリティレベルを上げる努力がなされていますが、一方で内部からのシステムへの侵入に対しては課題が残っていました。

 これに対して、ソニーが新たに開発したシステムを用いたサービスでは、利用者の個人情報とデータを分離し、データのみをクラウド上のサーバーに保存します。個人情報はクラウドには送信されず、利用者が所持するカード内に記録されます。その上で、これらの情報を結びつけるための共通のIDを割り当てます。
この仕組みにより、万一クラウド上のサーバーへの不正アクセスがあった場合にも、個人情報とは結びつかず、セキュリティレベルがより高い構造を実現しています。

 ※参考画像は添付の関連資料「参考画像3」を参照


<統計データの活用により利用者にこれまでにない価値を還元>
 今回ソニーが提案する電子お薬手帳サービスでは、氏名や生年月日等の個人情報を含まない形で調剤情報、副作用等の薬歴データをクラウドに蓄積することが可能です。ソニーは、これら統計データを自治体に提供し、例えばインフルエンザなどの感染症流行情報の発信を支援したり、また、統計データを製薬会社に提供し、例えば服薬で生じる可能性のある有害事象の早期発見を支援するなど、利用者に有用な情報を還元する、社会に役立つ新しい情報活用の枠組みを提案していきます。
 これは、電子お薬手帳サービスが単体で利用者に役立つことにとどまらず、利用者から得られた個人情報を含まないデータから構成される統計データを活用し、再び利用者に新たな価値を還元するという、新しい社会貢献の形です。

 ※参考画像は添付の関連資料「参考画像4」を参照

 ソニーは、今回新たに開発した、個人情報に配慮してクラウドに情報を蓄積するシステムを元にして、利用者が安心して情報を預けることができる仕組みを電子お薬手帳以外の様々なサービスへ展開していくことも今後検討し、社会に新たな価値を提供し続けるよう努めてまいります。

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