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NICT、「世界科学データシステム」構築に向けた国際プログラム事務局に選定

2011-09-07

全世界的な科学データシステムの構築に向けて
〜国際科学会議(ICSU)の世界で唯一の国際プログラム事務局として選定〜


 独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原秀夫)は、各国科学アカデミー等の取りまとめ組織である国際科学会議(*1)(ICSU)において、「世界科学データシステム」(*2)構築のための国際プログラム事務局(*3)として、世界で唯一選定されました。また、NICTは、同事務局の業務に関する覚書を国際科学会議と締結しました。
 この「世界科学データシステム」には、全世界から約100箇所の研究機関が参画予定であり、これまで難しかった「全世界での科学データの検索」や、地震と電離層変動との関係の分析といった「分野を超える幅広い科学データ間での分析」を可能とするなど、科学分析の手法に大きな変革をもたらすことが期待されています。
 NICTは、電磁波計測データの提供や情報通信技術の研究開発などを通じて、「世界科学データシステム」の構築に協力していく予定です。


【経 緯】
 自然災害や気候変動問題などへの対応は、我が国にとっても世界にとっても喫緊の課題であり、こうした課題に対応することが求められています。これらの複雑な現象に対して適切な対策を取るためには、様々な分野にわたる科学データを整備し、それらを連携させて解析を行うことが必要ですが、実際は、各国の研究機関が分野ごとに様々な形式でデータを保管・提供しているため、専門外の研究者による分野横断型のデータ利用が難しく、せっかく得られたデータがこれまで有効に活用されていませんでした。
 また、地球環境のようなグローバルな現象を研究するためには、国境を超えたデータの利用が不可欠ですが、そのようなデータ交換を円滑に行うためには、中立的な立場に基づく国際的な協力の枠組みが必要となります。さらに、多様な分野間にわたるデータ解析を可能にするためには、最新の情報科学的手法を活用した解析システムの存在が不可欠ですが、このような解析システムの確立に向けた国際的な取組は、これまで行われていませんでした。
 このような状況を改善するため、平成20(2008)年10月に、国際科学会議において、全世界的な科学データベースのプラットフォームの整備に関するプログラムとして、「世界科学データシステム」の構築プログラムが採択されました。


【概 要】
 NICTは、「世界科学データシステム」の構築プログラムの中心的役割を果たす「国際プログラム事務局」として、国際科学会議において、昨年11月に選定されました。同事務局は世界で唯一のものであり、国内では初の国際科学会議関連の事務局となります。
 また、NICTは、同事務局の業務に関する覚書を、本年7月15日(金)に国際科学会議と締結しました。これは、同事務局をNICTに設けることの基本条件などについて合意したものです。


【今後の展望】
 本年9月4日(日)から6日(火)にかけて、世界科学データシステムに関する国際的な議論を行うため、第1回世界科学データシステム国際会議が京都において開催されます。その後、9月7日(水)、8日(木)に、世界科学データシステム構築のための専門家による検討を行うため、NICTの主催により科学委員会(Scientific Committee)を開催いたします。
 NICTでは、平成22年度補正予算で構築中のクラウド基盤(サイエンスクラウド)の活用、電磁波計測データの提供、メタデータ(*4)の共有・収集・連携技術、データの共有・管理技術等の研究開発を行うとともに、日本学術会議や旧WDC関係研究機関(*5)等と連携し、世界科学データシステムの構成要件の検討、システム設計などに協力していく予定です。

 ※イメージ画像は添付の関連資料を参照


<用語 解説>

*1 国際科学会議 (ICSU)
 世界最大規模の非営利の国際学術機関。アカデミーなど各国を代表する組織と、学問分野を代表する国際学術連合を取りまとめる組織。本部はパリ。
 国際科学会議ウェブサイト http://www.icsu.org/

*2 世界科学データシステム(World Data System、略称WDS)
 以下の様な性質を持つ国際的な科学データベースの連携システムとなることが想定されている。

 ・科学データに対するアクセスの確保
 ・長期間の科学データの保持
 ・一定品質の科学データの確保

 世界科学データシステムプログラムウェブサイト http://www.icsu-wds.org/

 世界科学データシステムへの参画に興味を有する機関リスト
 http://www.icsu-wds.org/wds-members/wds-members/organizations-interested-in-wds


*3 国際プログラム事務局
 世界科学データシステムの構築プログラム実施において、科学委員会活動支援などの中心的な役割を担う。平成22(2010)年11月に、国際科学会議においてNICTが事務局機能を担うことが正式に決定された。

*4 メタデータ
 「誰が」「いつ」作成した「どのような」データなのか等を示す付随情報

*5 旧WDC関係研究機関
 1957年の国際地球観測年を機に設立された国際的な科学データ保持の枠組みに参加した機関。国内ではNICTを含め国立極地研究所宇宙科学研究所等7箇所ある。


<イメージ図>
 ※添付の関連資料を参照


<関連サイト>
 第1回世界科学データシステム国際会議 http://wds-kyoto-2011.org/
 場所:京都大学百周年時計台記念館 2階国際交流ホール

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