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東北大など、スピントロニクス素子を使った人工知能の動作実証に成功
世界初、スピントロニクス素子を使った人工知能の動作実証に成功
‐人工知能技術の適用範囲を飛躍的に拡大‐
【概要】
国立大学法人東北大学電気通信研究所附属ナノ・スピン実験施設の大野英男教授、佐藤茂雄教授、深見俊輔准教授、秋間学尚助教、同ブレインウェア実験施設の堀尾喜彦教授らのグループは、磁石材料から構成されるミクロなスピントロニクス素子を使った人工知能の基本動作の実証に世界で初めて成功しました。
近年、脳の情報処理機構を真似て効率的に認識・判断を行うことを目指す人工知能と呼ばれる技術が非常に注目され、一部で実用化されています。現在実用化されている人工知能はいずれも従来の半導体集積回路技術の枠組みに立脚しており、このため脳が有する特徴である小型性、低消費電力性を実現するのは困難でした。脳の情報処理様式により近いかたちで高速・小型・低消費電力性を兼ね備えた人工知能を実現するためには、生体におけるシナプスの役割を単独で果たす固体素子を用いることが有効です。今回東北大学のグループは、最近開発した磁石材料から構成されるスピントロニクス素子をシナプスとして用い、人工的な神経回路網を構築しました。そしてこの回路網を用いて従来のコンピューターが苦手とする連想記憶という動作を検証しました。ここで用いられたスピントロニクス素子は従来のスピントロニクス素子とは異なり「0」から「1」までの連続的な値を記憶することができ、これが生体においてシナプスが果たす学習機能を担う点に特徴があります。多数回の試行を通して、今回用いたスピントロニクス素子は期待通りの学習機能を有し、これにより構築した人工神経回路網が人間の脳のように連想記憶動作を実現できることを実証しました。今回の技術を用いることで、高速・小型・低消費電力性を兼ね備えた人工知能が実現可能となり、人工知能の適用領域が顔・音声認識、ウェアラブル端末、センサーネット、介護ロボットなど、社会の様々な分野へと拡大していくことが期待されます。
本研究成果は公益社団法人応用物理学会論文誌「Applied Physics Express」のオンライン版(日本時間12月20日出版)に掲載されます。
※詳細な説明などリリース詳細は添付の関連資料を参照