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東大など、機械学習で作った簡易的な人工知能で界面の構造を予測することに成功

2016-11-30

機械学習で作った簡易的な人工知能で界面の構造を予測
−22年かかる計算を3時間で−


1.発表者:
 溝口 照康(東京大学生産技術研究所 准教授、JSTさきがけ研究者)
 清原 慎(東京大学大学院工学研究科 大学院生)
 小田 尋美(東京大学大学院工学研究科 大学院生)
 宮田 智衆(東京大学大学院工学研究科 大学院生)

2.発表のポイント:
 ◆界面は表面と同じく結晶の欠陥であり、電気的、機械的物性と密接に関わっています。しかし、物理学者のヴォルフガング・パウリ(ノーベル物理学賞1945年)が『結晶は神がつくり、表面は悪魔がつくった』と表現するほどに欠陥の構造が複雑で、予測は困難でした。今回、機械学習によりその欠陥構造を予測することに成功しました。
 ◆機械学習により、物質の界面構造を予測する「回帰器」という簡易的な人工知能を作製しました。この「回帰器」を用いることにより、従来の手法では22年かかる計算を3時間程度で終えることができました。
 ◆今回開発した手法を利用することで、優れた物質の開発が加速されることが期待されます。

3.概要
 東京大学生産技術研究所の溝口照康准教授、大学院生の清原慎らの研究グループは、機械学習(注1)の技術を活用して、物質の界面(注2)の構造を高速に予測することに成功しました。界面は結晶に現れる欠陥で、その界面の構造はその物質の電気的、機械的物性と密接に関係しています。しかし、界面には無数の種類が存在し、さらにその一種類の界面だけでも、数千〜数万個という膨大な数の候補構造が存在しています。従来はそれらの候補構造をすべて計算(注3)し、その中から最も安定な界面構造を決定するため膨大な量の計算が必要でした。
 本研究グループは、機械学習の分野で用いられている仮想スクリーニング(注4)という手法を利用しました。仮想スクリーニングでは、コンピューターがデータを学習して「回帰器:Predictor」(注5)という「器」を作製します。この回帰器は簡易的な人工知能であり、一度作製すれば結晶構造データから界面構造を予測することができます(添付資料 図1)。つまり、膨大な計算を行うことなく、この「器」を通すだけで安定な界面構造を予測することができます。この手法を用いることで、単純計算では22年かかるような計算を、わずか3時間で終えることに成功しました。
 界面は表面と同じく結晶の欠陥であり、1945年にノーベル物理学賞を受賞した物理学者のヴォルフガング・パウリ(Wolfgang Pauli)は、「“God made the bulk,surfaces were invented by the devil.”〜結晶は神がつくり、表面は悪魔がつくった〜」と欠陥構造の複雑さを表現しました。今回の研究では、機械学習の手法を利用することで「回帰器」を作製し、界面構造を短時間で作ることができることを実証しました。
 本研究成果は平成28年11月25日午後2時(米国東部時間)に、米国サイエンス誌「Science advances」オンライン版に掲載されます。

 ※発表内容の詳細などリリース詳細は添付の関連資料を参照



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