東京商工リサーチ、９月の「円安」関連倒産の調査結果を発表

「円安」関連倒産
〜９月は６件、１−９月の産業別では卸売業が約４割増〜


　２０１５年のドル円相場は、８月に中国経済の減速懸念から金融市場が動揺した。８月２４日のニューヨーク外国為替市場では、一時１ドル＝１１６円台まで円が一転して急上昇するなど不安定さを強めた。しかし９月のドル円相場は大きな振れが収まり、１ドル＝１２０円前後の狭いレンジで推移した。
　こうしたなか９月の「円安」関連倒産は、６件（前年同月２８件）にとどまった。中国経済の減速を背景に、需要減退から原材料価格の下げが目立ち、石油化学製品や鉄鋼関連の取引価格が軒並み低下した。円安が必ずしもコスト高に直結しない面もみられ、経営環境は変動している。


■９月の倒産事例
　玩具輸入販売の（株）グライフ（TSR企業コード：２９４１７０９４４、東京都）は、幼児向け知育玩具の輸入販売を手がけ、電子玩具やダイカスト製品などを企画し、製造を委託した中国の協力工場から商品を輸入して大手玩具メーカーへ販売、約４億円の売上をあげていた。しかし、業績が安定せず、最近は円安の影響を受けて収益悪化から破産を申請した。


■０１５年１−９月の産業別、卸売業が約４割増
　２０１５年１−９月の「円安」関連倒産は１１５件（前年同期比４６．５％減、前年同期２１５件）にとどまっている。産業別では、運輸業が前年同期比８５．１％減（８１→１２件）となったのに対して、卸売業は同３９．０％増（４１→５７件）と増加が目立つ。今後も輸入品などを扱う企業の動向が注目される。

　※表資料・グラフ資料は添付の関連資料を参照