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富士経済、風力発電とコンポーネントの世界市場の調査結果を発表
風力発電とコンポーネントの世界市場を調査
―世界の風力発電市場予測―
2020年に48.7GW、5兆1,337億円
ブレード・軸受などを含む主要コンポーネント市場も3兆円に迫る
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、再生可能エネルギーのひとつとして普及が期待される風力発電とそのコンポーネントの市場を調査した。その結果を報告書「World Wide 陸上/洋上風力発電市場の現状と将来展望 2014」にまとめた。
<調査結果の概要>
■風力発電市場
2013年見込 2020年予測 2013年比
容量 39.1GW 48.7GW 124.6%
金額 4兆8,390億円 5兆1,337億円 106.1%
米国のPTC(風力発電の発電量に応じて税金を還付する制度)切れに伴う駆け込み需要がみられた2012年の反動もあり、2013年は縮小となるが、2014年以降は堅調に推移し拡大が予測される。
エリア別には日本では、太陽光発電の適地が限られることから風力発電への期待が大きい。特に洋上風力発電は2013年に実証が相次ぎ、2014年にはFITが36円に設定されるなど立ち上がりに期待が高まっており、2016年頃より市場が本格化すると予想される。また、陸上風力発電においてもFITによる需要の顕在化が予想される。現状の市場規模は小さいものの、従来はネックであった系統の整備が進み、大幅な拡大が期待される。
米国は、PTCによって市場が左右される。2012年には翌年のPTC成立が危ぶまれたことから駆け込み需要が発生し市場が拡大した。2013年は反動により縮小しており、今後もPTCの継続が不透明であることや、シェールガスによる割安なエネルギーの確保により長期的に市場は低迷すると予想される。
欧州では、陸上の適地が少なくなってきており、新たに洋上が期待されている。洋上風力発電ではイギリスに続いてドイツの市場が立ち上がっており、2020年ごろにピークを迎えると予想される。一方、陸上風力発電は2015年をピークに縮小が予想される。
中国では、これまで系統連系や稼働率が軽視されていたが、2011年より系統連系可能なプロジェクトに対してのみ政府が許可を出す方針に転換したことから市場が停滞している。対応は徐々に進んでおり、2013年には拡大に転じ、今後も産業振興、エネルギー自給率向上の観点から拡大が予想される。
米国、欧州、中国の需要が若干の停滞を見せつつあるなか、インド、ブラジル、カナダ、メキシコ、トルコなどで需要が拡大しており、今後もFITの整備された国から風力発電の導入が進むと予想される。
タイプ別には、陸上風力発電は2012年をピークに横ばいから微減で推移すると予測される。一方、地形や建物による影響が少なく、より安定した発電が可能となる洋上風力発電は、着床式では2015年から2020年にかけて欧州が市場をけん引し、2020年以降はアジアや米国での施策が市場を大きく左右するとみられる。
浮体式は実証段階にあり、実証規模も徐々に大型化している。2020年までは国家プロジェクトで技術検証が行われ、2020年以降着床式の設置余地が不足したエリアから実用機の導入が想定される。
■主要コンポーネント市場
2013年見込 2020年予測 2013年比
2兆7,570億円 2兆8,419億円 103.1%
風車の大型化による導入基数の減少や風力発電機メーカーの内製率の上昇、ギアレス設計による歯車や軸受機器の需要減少などにより、拡大は風力発電市場より緩やかになるとみられる。
風力発電機は発電機などを収納するナセル、ブレード・軸受・ハブを組み合わせたロータ、ナセルを支持するタワーで構成される。ナセルやロータは風力発電機メーカーの内製であるが、ナセル内のコンポーネントである発電機、コンバータ、軸受などは外部調達も多く、素材も含め日系メーカーが世界市場の中で健闘している。
ブレードやタワーは素材も含め海外メーカーが強いが、近年では風車の大型化の流れを受け、軽量化や故障率低減に向けた採用部材の切り替えが積極的に検討されている。ブレードに炭素繊維が採用されたことで日系メーカーの存在感が増すなど、切り替えを契機に既存のサプライチェーンに割り込むことも期待される。
※主要・注目コンポーネント市場は金額ベースのため外部調達分のみを対象とする。
<注目コンポーネント市場>
●ブレード市場
2013年見込 6,300億円/2020年予測 6,200億円
ブレードは風力発電機メーカーの内製率が約4割(数量ベース)と高い。風車の大型化と共に内製率を更に高める動きがあることから今後の市場は縮小が予測されるが、大型化や炭素繊維の採用などにより単価は上昇するとみられる。
欧州で6〜7MW機が出始めており、10MW級のブレード開発も進められている。長さが60メートルを超えるとガラス繊維強化プラスチックではたわみが発生するため、大型化に伴うブレードの軽量化、高剛性化が求められている。
成形方法としては、プリプレグ成形と真空含浸成形に分かれる。古くよりある成形方法のプリプレグ成形では近年炭素繊維強化プラスチックによる軽量化が進んでおり、風力発電機メーカーではVestas Wind System、Gamesa Corporacion Tecnologicaに続きGE Wind Energyが採用を検討している。また、現在主流の成形方法である真空含浸成形はガラス繊維の高機能化やたわみ対策による軽量化を進めている。
●発電機市場
誘導発電機 2013年見込 970億円/2020年予測 817億円
同期発電機 同 710億円/同 1,130億円
発電機は誘導発電機と同期発電機に分かれる。内製率は数量ベースで2割程度である。現在の主流は誘導発電機であるが、同期発電機は簡単な構造で信頼性が高く、出力力率の調整が可能で系統への影響がないことから、一台当たりの単価が高いものの導入が増加している。
同期発電機はVestas Wind System、GE Wind Energy、Siemens Wind Powerなどの風力発電機メーカーも採用を始めており、今後の市場拡大が予測される。種類としてはコイル式と永久磁石式に分かれる。コイル式は大型かつ重いため、小型軽量化が可能な永久磁石式の開発が進んでいるが、レアアースの価格高騰もありコスト低減が大きな課題である。
誘導発電機は中国の風力発電機メーカーによる採用が続き、中国メーカーのシェア拡大に伴い一定の市場を確保すると予想される。
●軸受市場
2013年見込 1,910億円/2020年予測 1,844億円
軸受は新設風力発電の主軸用、増速機用、発電機用、旋回座用を対象とする。外部調達率は10割に近い。軸受は風車故障の要因となることが多く、1基あたりの採用数量が減少している。しかし、洋上風力発電市場の拡大により長寿命性が重視され、風車の大型化とともに軸受も大型になることから、金額ベースでの縮小はある程度抑えられると予想される。
ジェイテクト、NTN、日本精工などは高い製造品質を武器としており、風力発電のコンポーネント市場の中でも、日系メーカーが特に健闘している。
<調査対象>
*添付の関連資料を参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による業界関係者への直接面接取材と公開データによる文献調査
<調査期間>
2013年8月〜2014年1月
資料タイトル:「World Wide 陸上/洋上風力発電市場の現状と将来展望 2014」
体裁:A4判 298頁
価格:書籍版 150,000円+税
PDF/データ版 160,000円+税
書籍版・PDF/データ版セット 170,000円+税
調査・編集:株式会社富士経済 東京マーケティング本部 第二統括部 第四部
TEL:03−3664−5821 FAX:03−3661−9514
発行所:株式会社富士経済
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