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第一三共、抗凝固剤「エドキサバン」に関する第3相臨床試験結果を発表

2013-11-25

抗凝固剤「エドキサバン」に関する第3相臨床試験(ENGAGE AF−TIMI 48 試験)結果について


 第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、当社が創製した抗凝固剤(経口FXa阻害剤)エドキサバン(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)の非弁膜症性心房細動に伴う脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制に関する第3相臨床試験(ENGAGE AF−TIMI 48試験)の結果が、米国・ダラスで開催中の米国心臓協会学術集会2013において発表され、また、New England Journal of Medicineにおいてオンライン掲載されましたので、その概要をお知らせします。

 本試験においてエドキサバンは、1日1回60mgおよび30mg経口投与によりワルファリンに対して有効性で非劣性、重大な出血の発現における安全性において優越性を示し、所期の目的を達成しました。

 ENGAGE AF−TIMI 48試験は、非弁膜症性心房細動患者、21,105名を対象に、エドキサバン60mg投与群および30mg投与群についてワルファリン投与群と比較し評価しました。本試験の投与期間は2.8年であり、これまで心房細動患者を対象とした新規抗凝固剤の臨床試験としては、最大かつ最長の試験でした。

 エドキサバン60mg群における脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は1.18%、ワルファリン群で1.50%であり、ワルファリンに対して非劣性が検証されました(hazard ratio [HR]0.79、97.5% confidence interval[CI]0.63−0.99;p<0.001[非劣性])。エドキサバン60mg群における重大な出血の年間発現率は2.75%、ワルファリン群で3.43%であり、ワルファリンと比較して重大な出血のリスクを20%低減させ、優越性が示されました(HR 0.80、95% CI 0.71−0.91;p<0.001[優越性])。

 エドキサバン30mg群における脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は1.61%、ワルファリン群で1.50%であり、非劣性が検証されました(HR 1.07、97.5% CI 0.87−1.31;p=0.005[非劣性])。エドキサバン30mg群における重大な出血の年間発現率は1.61%、ワルファリン群では3.43%であり、ワルファリンと比較して重大な出血リスクを53%低減させ、優越性が示されました(HR 0.47、95% CI 0.41−0.55;p<0.001[優越性])。

 ENGAGE AF−TIMI 48試験では、プロトコールに従い、腎機能障害患者、低体重患者および、一部のP−糖タンパク質阻害剤を併用している患者は、各群のエドキサバンの用量を半分に調整しました。
 60mg用量調整群(30mg投与)における脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は2.32%、ワルファリン群で2.68%でした。さらに、重大な出血の年間発現率は3.05%、ワルファリン群で4.85%であり、ワルファリンと比較して重大な出血のリスクを統計学的に有意に低下させました。
 30mg用量調整群(15mg投与)における脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は3.14%、ワルファリン群で2.68%でした。さらに、重大な出血の年間発現率は1.50%、ワルファリン群で4.85%であり、ワルファリンと比較して重大な出血のリスクを統計学的に有意に低下させました。

 ハーバード大学医学部准教授であり、ENGAGE AF−TIMI 48 試験のグローバル試験総括医師の1人であるRobert Giugliano博士は、「ENGAGE AF−TIMI 48 試験において、エドキサバン1日1回投与がワルファリンと比較して重大な出血リスクが統計学的に有意に低いにもかかわらず、ワルファリンと同程度に心房細動に伴う脳卒中および全身性塞栓症の発症を抑制し、新たな治療の選択肢を提供できる可能性が広がったことを大変喜ばしく思います。さらに、本試験において、一般的に経口抗凝固剤の効果に影響を及ぼす腎機能障害患者や低体重患者では、エドキサバンの半量投与が有用であることが示されました。また、本試験を実施するにあたり、これまでの同領域の試験の中で最大かつ最長の試験を実施すること、ワルファリン群のTTR(*1)が高い値をとること、追跡不能データを少なくすることに努めました。さらに、試験終了時に不必要な脳卒中や出血から患者を守るため、他の抗凝固剤への安全な切り替えを実施しました」と述べています。

 当社グローバル研究開発責任者の専務執行役員グレン ゴームリーは、「当社の歴史において最大規模の臨床開発プログラムであるエドキサバンの2つのグローバル臨床試験、ENGAGE AF−TIMI 48試験およびHokusai−VTE試験において、エドキサバンがワルファリンに対して、有効性では非劣性、安全性では優越性であることをいずれの試験でも示すことができ、満足のいく結果を得ることができました。両試験の結果に基づき、日・米・欧において2013年度中に承認申請する予定です。」と述べています。

 出血性脳卒中の年間発現率はワルファリン群で0.47%、エドキサバン60mg群で0.26%(HR0.54、95% CI 0.38−0.77;p<0.001)、エドキサバン30mg群で0.16%でした(HR 0.33、95% CI 0.22−0.50;p<0.001)。
 虚血性脳卒中の年間発現率は、ワルファリン群で1.25%、エドキサバン60mg群で1.25%(HR 1.00、95% CI 0.83−1.19;p=0.97)、エドキサバン30mg群で1.77%でした(HR 1.41、95% CI 1.19−1.67;p<0.001)。

 頭蓋内出血の年間発現率はワルファリン群で0.85%、エドキサバン60mg群で0.39%(HR 0.47、95% CI 0.34−0.63;p<0.001)、エドキサバン30mg群で0.26%でした(HR 0.30、95% CI 0.21−0.43;p<0.001)。
 致死的な出血の年間発現率はワルファリン群で0.38%、エドキサバン60mg群で0.21%(HR 0.55、95% CI 0.36−0.84;p=0.006)、エドキサバン30mg群で0.13%でした(HR 0.35、95% CI 0.21−0.57;p<0.001)。

 主な副次評価項目(脳卒中、全身性塞栓症、および心血管死)の年間発現率は、ワルファリン群で4.43%、エドキサバン60mg群で3.85%(p=0.005)、エドキサバン30mg群で4.23%(p=0.32)でした。
 心血管死の年間発現率はワルファリン群で3.17%、エドキサバン60mg群で2.74%(p=0.013)、エドキサバン30mg群では2.71%でした(p=0.008)。
 ネットクリニカルアウトカム(*2)(死亡、脳卒中、全身性塞栓症、重大な出血の複合の年間発現率)は、ワルファリン群で8.11%、エドキサバン60mg群で7.26%、(p=0.003)、エドキサバン 30mg群で6.79%でした(p<0.001)。

 *1:TTR(国際標準化比指摘範囲内時間)ワルファリンのコントロールの指標(INR)が目標値領域に入っている時間の割合。

 *2:有効性、安全性を総合的に判断する指標。


以上


<ENGAGE AF−TIMI 48試験について>
 ENGAGE AF−TIMI 48(Effective aNticoaGulation with factor xA next GEneration in Atrial Fibrillation)試験は、国際共同、無作為化、二重盲検、第3相臨床試験であり、エドキサバンの2つの臨床用量についてワルファリンと比較し非劣性を検証するための試験です。46カ国の1,393の医療機関で血栓塞栓症のイベント発症リスクが中等度から重度の非弁膜症性心房細動患者21,105人が登録されました。

 患者は、1:1:1の割合で、ワルファリン群(n=7,036)、エドキサバン 60mg群(n=7,035)、または、エドキサバン 30mg群(n=7,034)に無作為に割付けられました。無作為割付け時および試験期間中に腎機能障害(クレアチニンクリアランス30−50mL/min)、低体重(体重60kg以下)、および、一部のP−糖タンパク質阻害剤を併用している患者では、エドキサバンの投与量は半量としました。本試験における有効性の主要評価項目は、脳卒中および全身性塞栓症です。安全性の主な評価項目は、重大な出血です。

 主要評価項目を漏れなく評価するため、追跡した56,346人・年の99.5%のデータを確保しており、追跡不能となったデータは1名でした。ワルファリン治療が適切に実施されていることを保証するために積極的にモニターを行った結果、TTR(*1)の中央値は68.4%になりました。出血を除く副作用、および、投与中止患者の割合は、3群間で同程度でした。

 ENGAGE AF−TIMI 48試験では、試験終了時に他の抗凝固剤への安全な切り替えを実施したため、治験薬投与終了後のイベント発現率は低く、また、各群にほぼ均等に観察されました。切り替え実施後30日以内における脳卒中および全身性塞栓症の発現件数はいずれの群においても7名であり、他の抗凝固剤へ切り替え後の重大な出血の発現症件数は、ワルファリン群で11名、エドキサバン60mg群および30mg群で、それぞれ10名および18名でした。以上の結果は、切り替え実施計画が効果的であり、エドキサバンを投与された患者からビタミンK拮抗剤や他の経口抗凝固剤へ切り替えを実施した際に、脳卒中および全身性塞栓症が起こるのを抑制できたことを示しております。

<心房細動について>
 心房細動は、心拍数が早く不規則になり、脳卒中を引き起こすことのある病気であり、先進国では、約1−2%が罹患している疾患です。脳卒中は、世界中で死亡原因の2番目にあげられる疾患であり、毎年、約620万人が死亡します。心房細動に罹患していない患者に比べ、罹患患者では、脳卒中のリスクが3−5倍高くなります。心房細動に伴う脳卒中患者の死亡率は、心房細動を伴わない患者の約2倍であり、予後が悪くなるリスクが50%増加します。

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