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武田薬品、米国で創薬研究企業のEnvoy社を買収
武田薬品によるEnvoy社の買収について
武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とEnvoy Therapeutics Inc.(本社:ジュピター、米国フロリダ州、以下「Envoy社」)は、このたび、武田アメリカ・ホールディングス Inc.(武田薬品の100%子会社、以下「武田アメリカ・ホールディングス」)がEnvoy社を買収することについて合意しましたのでお知らせします。今後、武田アメリカ・ホールディングスは、必要な手続き等を経て、数日以内に買収を完了し、完全子会社化する見込みです。本買収契約に基づき、武田アメリカ・ホールディングスは、契約一時金および前臨床研究の進捗に応じて将来支払う可能性のあるマイルストンを含め、最大で140百万米ドルをEnvoy社に支払うことになります。
Envoy社は、既存の治療薬よりも有効性・安全性に優れる新薬の創製に特化した、非上場の創薬研究企業です。Envoy社が保有するbacTRAP(R)技術は、最新の遺伝子工学と分子生物学を組み合わせた技術であり、特定の細胞型に発現するタンパク質生成遺伝子の可視化、抽出を可能にします。本技術は、多数の細胞型が混在する脳においてその効果を発揮しますが、中枢神経系以外の疾患領域への応用も可能です。武田薬品の連結子会社である武田ベンチャー投資 Inc.では、タケダグループの将来の創薬基盤強化につながる革新的な本技術に着目し、2009年10月に同社に出資しました。
今回の買収により、武田薬品は、疾患に関与する細胞に発現する新規創薬標的の同定を可能にするbacTRAP技術、研究材料やデータベース、解析技術などを獲得します。加えて、Envoy社が有する、パーキンソン病や統合失調症に伴う認知機能障害を対象とした中枢神経系の前臨床パイプラインも獲得します。
武田薬品の医薬研究本部長であるPaul Chapmanは、「2009年のEnvoy社への投資以来、bacTRAP技術を活用してビジョンの実現を目指す同社の卓越した専門性は、種々の治療領域にわたる真に革新的な新規標的の創出と探索に向けて、非常に高い可能性を有しているものと確信してきました。当社はEnvoy社と一緒に、優れた医薬品の創製を通じて、世界中の患者さんの健康に貢献してまいります」と述べています。
Envoy社のCEO 兼取締役であるBrad Margusは、「武田薬品が有する多くの疾患に関する高い専門性と新薬創出に向けたイノベーションへの強いコミットメントは、当社独自のbacTRAP技術の幅広い応用を可能にします。武田グループの一員となることにより、bacTRAP技術を、新たな疾患領域に展開できることを大変嬉しく思います」と述べています。
Envoy社は2013年3月まで所在地であるフロリダ州ジュピターで業務を行います。その後、同社の研究者および経営陣の大部分は、武田カリフォルニア Inc.に移転し、武田薬品の医薬研究本部の傘下に入ります。
記
1.取得の方法および日程
(1)持分取得の実施者:武田アメリカ・ホールディングスInc.
(2)持分取得の対象者:5AM Ventures、Roche Venture Fund、武田ベンチャー投資 Inc.、創業者(Nathaniel Heintz,Ph.D.、Paul Greengard,Ph.D.、Brad Margus、Jeffrey Friedman,M.D.,Ph.D.)
(3)持分の取得方法:現金
(4)買収価額:Envoy社の持分取得価額:一時金とマイルストンを含め最大で140百万米ドル
(5)取得完了予定日:数日中(2012年11月初旬まで)
(6)ファイナンシャルアドバイザー:(武田薬品)Ernst & Young
(7)リーガルアドバイザー:(武田薬品)Cooley,LLC
(8)ファイナンシャルアドバイザー:(Envoy社)Grant Thornton,LLP
(9)リーガルアドバイザー:(Envoy社)Latham and Watkins,LLP
2.Envoy社の概要
(1)名称:Envoy Therapeutics Inc.
(2)所在地:米国 フロリダ州 ジュピター
(3)代表者の役職・氏名:CEO 兼取締役 Brad Margus
(4)設立年:2009年
(5)資本金:8百万米ドル
(6)従業員数:21名
(7)武田薬品との関係:
i.2009年10月のシリーズA投資ラウンドにおいて、武田ベンチャー投資Inc.が出資し、12.5%の持分を保有。
ii.2010年10月、共同研究契約を締結。同年11月、統合失調症に関する共同研究活動を開始。
本買収が当社の2013年3月期の連結業績に与える影響は軽微であり、現時点では当該期の連結業績予想の変更はありません。
以上
<Envoy社について>
Envoy社のミッションは、既存の治療薬よりも有効性・安全性に優れた新薬を創製することです。Envoy社のbacTRAP(R)技術によって、生体内の特定の細胞型において作られたタンパク質を同定することが可能となります。本技術は、何百という細胞型が混在している脳の組織で、特に効果を発揮します。これまで、特定の細胞型の活動を調節することは難しいとされてきましたが、Envoy社の持つ基盤技術によりこれが可能となります。Envoy社の詳細については、http://www.envoytherapeutics.comをご覧下さい。
<武田薬品について>
武田薬品は、研究開発型の世界的製薬企業を目指して、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図り、経営理念である『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に努めています。詳細についてはhttp://www.takeda.co.jp/をご覧ください。