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清水建設、ローテク・ローコストで津波被害を軽減する都市システムを開発

2012-10-20

ローテク・ローコストの都市システムが津波被害を軽減
津波に正対しない円錐台「グリーンマウンド」〜

 ※参考画像1は添付の関連資料を参照



 清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、津波被害の軽減を目的に、ローテク・ローコストの対策で津波エネルギーを吸収し、かつ地域住民の避難場所を確保できる都市システム「グリーンマウンド」を開発、東北はもとより、大地震発生時に津波被害が予想される太平洋側沿岸地域の自治体に対する提案活動を本格化します。

 太平洋沿岸地域の自治体は、東日本大震災で甚大な津波被害が発生したことから、津波対策の必要性に迫られているものの、財政難のおりから対策の進捗が遅れています。また、大掛かりな対策工事は施工の難易度が高く、限られた大手建設会社しか対応できないことから、短期間で全国的に展開することは不可能です。そこで当社は、ローテク・ローコストで津波被害を軽減するグリーンマウンドを開発したものです。

 グリーンマウンドは、環境に優しい緑の丘を利用した耐津波型の都市システムで、海岸線のグリーンベルト内等にちどりに配置する「消波型マウンド」と津波被害の可能性がある居住域に一定間隔で配置する「避難型マウンド」から構成されます。従来の防波堤が津波の圧倒的なエネルギーに対して“剛”で正対するのに対し、このシステムの特徴は、消波型マウンドが“柔”で津波をいなしてエネルギーを吸収し、避難型マウンドが地域住民の避難場所になることです。

 マウンドの形は、平面的にも立体的にも最も津波と正対しない円錐台にします。東日本大震災でも、円錐台形の小さな丘が津波をいなし、避難場所になった事例が報告されています。設置場所や期待する津波エネルギーの吸収効果によりマウンドの規模は異なりますが、ベースとなる規模は小型マウンドで底部と頂部の直径がそれぞれ50mと10m、大規模マウンドがそれぞれ110mと50m、頂部の高さは前者が10m、後者が15mです。法面の傾斜角を杭や擁壁が不要な30度未満に設定することで、中小の建設会社にも施工できるようにします。

 マウンドの構成材料については、表層の0.3mを木材チップ、その下層の0.5〜1mを津波堆積物や浚渫土、その内側の土台を石やコンクリート塊とします。
 東北地方に建設する場合、その大部分を震災廃棄物で補うことで、廃棄物の処理・処分に貢献します。また、マウンド表面に植樹や種子吹付を行うことにより、竣工後、数か月もすればまさに“グリーン”マウンドとなります。

 消波型マウンドの津波の遡上抑制効果については、数値シミュレーションにより確認しています。例えば、地盤勾配1/100の沿岸部に11mの高さの津波が到来することを想定したケースでは、マウンドが無いと海岸線から1,750mの範囲まで津波が遡上しますが、海岸線に沿って高さ10m、頂部直径10m、低部直径50mのマウンドをちどり状に4列配置することで、津波の遮蔽効果やマウンド表面の植栽の摩擦効果などにより、遡上範囲を1,150mに抑制できました。さらに、マウンドの背後地点での津波到達時間は約3分遅くなり、最大浸水深も8.5mから5mに抑制できました。

 グリーンマウンドの工期と建設費は、構成材料を震災廃棄物で補えるか否かによって異なりますが、小型マウンドは6カ月、1億円から、大型マウンドは18カ月、5億円からとなります。


 ※グリーンマウンドの概要など≪参考≫と参考画像2は添付の関連資料を参照


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