武田薬品、前立腺癌治療薬「ＴＡＫ−７００」の臨床第２相試験結果を発表

米国臨床腫瘍学会年次集会における
前立腺癌治療薬ＴＡＫ−７００の臨床試験の最新データについて


　当社と当社の１００％子会社であるミレニアム・ファーマシューティカルズＩｎｃ．（米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「ミレニアム社」）は、２０１２年６月１日から５日まで米国イリノイ州シカゴにおいて開催されている「米国臨床腫瘍学会年次集会（Ａｍｅｒｉｃａｎ　Ｓｏｃｉｅｔｙ　ｏｆ　Ｃｌｉｎｉｃａｌ　Ｏｎｃｏｌｏｇｙ：ＡＳＣＯ）」のポスターセッションにおいて、１７，２０リアーゼの働きを選択的に阻害する前立腺癌治療薬ＴＡＫ−７００（一般名：ｏｒｔｅｒｏｎｅｌ）に関する最新の臨床試験データが発表されましたのでお知らせします。本データは、ＰＳＡが上昇した非転移性の去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、プレドニゾンを併用せずにＴＡＫ−７００を経口投与した際の、有効性と安全性を検討した臨床第２相試験の最新解析結果です。

　デューク大学医学センターのＤａｎｉｅｌ　Ｇｅｏｒｇｅ医師は、「非転移性の去勢抵抗性前立腺癌はアンメットニーズが高い疾患であり、ステロイドを併用せずにＰＳＡ値を低下させることは、より早期段階における前立腺癌の治療法として特に興味深いものです」と述べています。

　ミレニアム社のＣｈｉｅｆ　Ｍｅｄｉｃａｌ　ＯｆｆｉｃｅｒであるＫａｒｅｎ　Ｆｅｒｒａｎｔｅは、「非転移性前立腺癌を対象とした本試験の結果を大変嬉しく思います。本データが、ステロイドを併用しない場合の本薬の評価を高めるものと確信しています」と述べています。


＜ＴＡＫ−７００の臨床第２相試験結果の最新解析データについて（抄録番号４５４９）＞

目　的：ＰＳＡが上昇した非転移性の去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、プレドニゾンを併用せずにＴＡＫ−７００を投与した際の有効性と安全性を検討

対　象：非転移性の去勢抵抗性かつＰＳＡ値２ｎｇ／ｍＬ以上（ＰＳＡ倍加時間が８ヶ月以上の場合は８ｎｇ／ｍＬ以上）で、外科的・内科的去勢術を実施しており、テストステロン値５０ｎｇ／ｍＬ未満の患者（化学療法あるいはケトコナゾールによる治療を実施した患者およびステロイド併用患者は除く）

患者数：３９名

投与方法：ＴＡＫ−７００　３００ｍｇを１日２回投与し、ＰＳＡの上昇、転移、重篤な有害事象がみられるまで投与を継続

主要評価項目：ＰＳＡ値０．２ｎｇ／ｍＬ以下（検出限界以下）になった患者の割合（ＰＳＡ値０．２ｎｇ／ｍＬ以下の患者の生存率は大きく改善されることが示されている）

副次評価項目：
　　・安全性
　　・投与３ヶ月および６ヶ月時点におけるＰＳＡ値の低下（９０％以上、５０％以上、３０％以上の低下）
　　・投与６ヶ月時点においてＰＳＡ値０．２ｎｇ／ｍＬ以下になった患者の割合
　　・ＰＳＡ値の無増悪期間
　　・非転移期間
　　・無増悪生存期間
　　・内分泌マーカーの変化

試験結果：
　　・投与３ヶ月時点においてＰＳＡ値が０．２ｎｇ／ｍＬ以下に低下した患者の割合は１６％であり、投与期間を通じて１２名（３２％）の患者においてＰＳＡ値が０．２ｎｇ／ｍＬ以下に低下した。
　　・投与３ヶ月時点においてＰＳＡ値が投与前に比べて９０％以上低下した患者の割合は３２％であり、投与期間を通じて２３名（６１％）の患者においてＰＳＡ値が９０％以上低下した。
　　・投与３ヶ月時点においてＰＳＡ値が投与前に比べて５０％以上低下した患者の割合は７６％であり、投与期間を通じて８４％の患者においてＰＳＡ値が５０％以上低下した。
　　・ＰＳＡ値の無増悪期間の中央値は１４．８ヶ月。
　　・中央値７サイクル（８．３ヶ月）の追跡期間において３名のみが転移を発現、投与６ヶ月かつ１２ヶ月時点における非転移患者の割合は９７％であり、非転移期間の中央値には達していない。
　　・プレドニゾンを併用せずにＴＡＫ−７００を投与した際のテストステロン値は、投与前に比べて８７〜８９％低下、副腎アンドロゲンであるＤＨＥＡ値は８５〜８９％低下。
　　・最も頻度の高い有害事象は倦怠感（６２％）、下痢（３８％）、血圧上昇（３８％）。
　　・最も頻度の高いグレード３以上の有害事象は血圧上昇（１５％）、呼吸困難（８％）、倦怠感（５％）、低カリウム血症（５％）、肺炎（５％）


以上