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富士キメラ総研、環境分野の自動車用電装システム・デバイスの世界市場調査結果を発表
地球温暖化対策となる「環境」分野の
自動車用電装システム・デバイスの世界市場調査結果2
―2015年予測―
アイドリングストップシステム 2,050万台、2,544億円(2010年比5.5倍)
・・・燃費向上を図り搭載が進む
HV/EVインバータ用電流センサ 1,160万個、95億円(2010年比3.2倍)
HV/EVバッテリ用電流センサ 368万個、49億円(2010年比3.5倍)
・・・特に世界的なHV/EV需要の増加から拡大
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中 一志 03−3664−5839)は、進展するカーエレクトロニクス市場をシステムとデバイス視点でとらえた調査を今年6月から2回に分け行った。第1回は、特に運転者と同乗する人に関わる「情報」「快適」「安全」分野のシステムやデバイスの市場を調査・分析した。そして第2回目となる今回は、地球温暖化への対策として強く求められている「環境」分野のシステムやデバイスの市場を中心に調査・分析した。
その結果を報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツSelect 2012 <下巻>」にまとめた。この報告書には、「環境」分野のシステムやデバイスとして、パワートレイン系システム/デバイス15品目、HV(PHV含む)/EV/FCV系デバイス13品目の市場のほか、今年6月から調査してきた各種システムに搭載されるECUの構成デバイス(半導体や回路部品など)16品目の市場についての調査・分析結果を掲載した。
<調査結果の概要>
1.環境分野の車載電装品の世界市場
2010年 2011年見込 2015年予測 2010年比
パワートレイン系 2兆2,627億円 2兆4,188億円 3兆2,825億円 145.1%
HV/EV/FCV系 1,729億円 2,252億円 1兆 960億円 6.3倍
■パワートレイン系(15品目)
エンジンの性能を向上させ燃費を良くするシステム、環境性能及び燃費向上の頭脳となるECU、エンジン各部の重要な情報を収集するセンサを対象としている。
システムでは、燃費向上に効果があるアイドリングストップシステムの市場が大幅に拡大すると予想される。また、コストとのバランスもあるが、エンジンなどを制御するECUにあらゆる情報を提供するセンサの搭載が増えている。
■HV/EV/FCV系(13品目)
HVやEV、FCVのみに搭載されるデバイスで、二次電池やモータ、車載充電器、燃料電池スタック、水素貯蔵タンクなどを対象としている。
トヨタ自動車「プリウス」をはじめ、HVが燃費の良い車として一般に認知、定着してきた。参入各社はともにHVの投入を進めているため、搭載されるデバイスの市場は軒並み拡大すると予想される。また、EVやPHVも普及していくが、それに伴い大きく市場拡大するデバイスが車載充電器やリチウムイオン二次電池である。さらに、FCVも2014年頃から量産車が投入される模様である。FCVの主要構成デバイスである燃料電池スタックや水素貯蔵タンクは非常にコスト高であったが大幅にコストダウンが進んでおり、量産化が着実に前進している。
2.ECU構成デバイス市場(16品目)
2010年 2011年見込 2015年予測 2010年比
6兆3,442億円 6兆6,440億円 8兆3,975億円 132.4%
ECUを構成する半導体や回路部品、ECUと接続するためのコネクタやワイヤーハーネスといった周辺デバイスを対象としている。
ECUで制御するシステムの搭載が大幅に増加することからECU構成デバイス市場も拡大する。ただ、半導体に関してはECU1個に搭載される数を、カスタム製品の使用で複数を統合し減らす方向にある。新興国向け自動車へのECU搭載個数が大幅に増加しているため全体に影響を与えるほどではないが、特にエンジンECUに関してはカスタムICの採用が増加すると考えられる。
自動車の環境性能はエンジンECUに依るところが大きく、そこに搭載される半導体が性能を左右する。そのためカスタムICを採用することでエンジンに応じた最適な制御の実現を目指している。一方で1個のICに色々なものを詰めたカスタム製品を使用することでノイズ対策などが必要となり、コンデンサなどの部品をたくさん実装しなければならなくなるため、逆に周辺部品は増加する傾向にある。
<注目市場>
1.アイドリングストップシステム【パワートレイン系システム/デバイス】
2010年 2011年見込 2015年予測 2010年比
460億円 661億円 2,544億円 5.5倍
アイドリングストップシステムとは、信号待ちなどの停車時に自動でエンジンの停止/再始動を行うシステムで、燃費向上をもたらす。ここではHVなどが標準で備えるアイドリングストップシステムは除外している。
市場は、各国でCO2排出量削減規制や低燃費車に対する優遇税制、奨励金付与が行われていることから搭載が進み、拡大している。燃費向上の本命は次世代自動車の開発であるが、アイドリングストップシステムの搭載はそれに比べ安価で簡単に燃費向上が図れることから、今後も搭載は増加すると予想される。排ガス規制の厳しい欧州の需要が市場を牽引しており、2015年まではその傾向が続くと見られる。
アイドリングストップシステムは、搭載が比較的簡単なマニュアルトランスミッション車が中心であるが、現在はオートマチックトランスミッション車への搭載も進んでいる。
2.電流センサ【パワートレイン系システム/デバイス】
※添付の関連資料を参照
ここでは12Vバッテリ用電流センサとHV/EVのインバータ用電流センサ、バッテリ用電流センサを対象としている。12Vバッテリ用電流センサはバッテリの充放電電流を検出してECUに信号を送っている。HV/EVのバッテリ用電流センサはバッテリの電流量と向きを検出し充放電状態を監視する。HV/EVのインバータ用電流センサは駆動モータの三相交流の入出力電流値を検出する。
2010年の市場は、環境対応車の買い替えや購入に対する補助金制度が各国で実施され、自動車の生産台数が増加したことから拡大した。2011年は世界各地で発生した自然災害や欧州の景気後退などの影響から前年に比べ自動車の生産台数とともに伸び悩むと見込まれる。
2012年以降は特にHVの生産台数が大幅に拡大することから、市場はHV/EVの電流センサを中心に拡大すると予測される。
3.圧力センサ【パワートレイン系システム/デバイス】
2010年 2011年見込 2015年予測 2010年比
2,144億円 2,181億円 2,998億円 139.8%
圧力センサはエンジンや変速機、ブレーキ、エアコンなど、基幹部品の気圧や液圧を測定する。例えばエンジン周りでは吸気圧、ターボ圧、EGR(排気ガス再循環装置)圧、コモンレール圧などを測定する多くの圧力センサが取り付けられている。また、ブレーキでは油圧、エアコンでは冷媒圧、タイヤでは空気圧の測定に圧力センサが使用されている。
2010年の市場は、自動車の生産台数が大幅に増加したことから数量・金額ベース共に前年比20%以上拡大した。2011年は数量ベースで前年比8%程度増加するが、金額ベースでは微増に留まると見込まれる。2012年以降の市場は、2015年に向け金額ベースで年率9%程度の伸びが予測される。環境対応から、燃費改善を優先してエンジンマネジメント系の圧力センサの搭載が増えると見られる。また、ブレーキ油圧等の足回り関係での搭載数の増加、サイドエアバッグの加速度センサからの置き換えが進むと予測される
4.モータ【HV/EV/FCV系デバイス】
2010年 2011年見込 2015年予測 2010年比
868億円 907億円 2,884億円 3.3倍
ここでは、HV/EVの駆動用と発電用のモータを対象としている。自動車メーカーが採用するシステムや車種によってモータの搭載数は変わる。駆動と発電の各専用モータの他、駆動/発電兼用モータがあり、マイルドHVや、トヨタ自動車方式と差別化を図る後発メーカー、特に欧州の自動車メーカーは駆動/発電兼用の1モータ方式をとる傾向にある。トヨタ自動車や北米自動車メーカーなどのストロングHVは2モータ方式をとるのが一般的である。EVはバッテリの容量問題から小型車が中心となるため1モータ方式がメインとなる。一方、PHVはEV走行、ハイブリッド走行、エンジン走行を効率よく行うため、ストロングHVと同様に2モータ方式が一般化すると見られる。
2011年の市場は、HV/EVの主要生産者である日系自動車メーカーが震災の影響を受けたことによりHV/EVの生産が減少したこと、Ford、GMの駆動と発電の各専用モータを搭載する2モータ方式のHVの販売が減少したことなどにより、数量ベースでは前年比0.6%増に留まると見込まれる。一方、金額ベースでは部材価格が高騰していることから前年比4.5%増が見込まれる。HV/EV需要は2011年こそ伸び悩んだものの、今後世界的に増加すると見られることから、それに伴いモータ市場も拡大していく。
<調査対象>
※添付の関連資料を参照
<調査方法>
富士キメラ総研専門調査員による調査対象・関連企業に対してのヒアリング取材及び社内データベースの活用
<調査期間>
2011年8月〜11月
以 上
資料タイトル:「車載電装デバイス&コンポーネンツSelect 2012 <下巻>」
体 裁 :A4判 329頁
価 格 :95,000円(税込み99,750円)
CD−ROM付価格 120,000円(税込み126,000円)
調査・編集 :富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03−3664−5815 FAX:03−3661−5134
発 行 所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
TEL03−3664−5839(代) FAX 03−3661−1414 e−mail:info@fcr.co.jp
この情報はホームページでもご覧いただけます。
URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/ http://www.fcr.co.jp/