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森永乳業、理研などとの研究でビフィズス菌BB536含有のヨーグルト摂取が毒素産生型フラジリス菌を除菌

2011-07-09

〜森永乳業株式会社 食品基盤研究所より〜
ビフィズス菌 BB536含有ヨーグルトの摂取による大腸がんリスク要因と考えられている
毒素産生型フラジリス菌に対する除菌作用
〜日本乳酸菌学会2011年度大会(2011年7月11〜12日)発表内容のご報告〜
〜日本農芸化学会2011年度大会(2011年3月25日−28日)発表内容のご報告〜


 森永乳業は、理化学研究所 辨野(べんの)義己特別招聘(しょうへい)研究員および広島大学 田辺創一教授との共同研究にて、ビフィズス菌BB536を含有するヨーグルトの摂取が、大腸がんリスク要因と考えられている毒素産生型フラジリス菌を除菌するという研究結果を得ました。この結果を日本乳酸菌学会2011年度大会(2011年7月11〜12日、関西大学にて開催)にて発表いたします。

 ビフィズス菌Bifidobacterium longum BB536(ビフィドバクテリウム・ロンガムBB536)は森永乳業が独自開発した、健康な乳児から分離されたヒトのおなかに棲み着くビフィズス菌です。当社の多くの商品に使用されており、酸や酸素に強く、生きたまま腸まで届きおなかの調子を整えます。


<研究の背景と目的>
 腸内には様々な菌が存在しています。その主要構成菌であり、日和見菌に分類されているバクテロイデス属細菌は、腸内が健康な状態では悪影響を及ぼさないとされていますが、腸内環境が悪化すると毒素を産生するバクテロイデス・フラジリス(ETBF菌、以下毒素産生型フラジリス菌)が存在します。これまで毒素産生型フラジリス菌は炎症性の下痢を始めとし、様々な炎症性の腸疾患への関与が疑われていましたが、加えて近年では動物実験で大腸がんを引き起こすこと1)および結腸癌患者は健常者に比べ保有率が高いこと2)が報告されており、ヒトの大腸がんのリスク因子となっている可能性が考えられています。
 そこで、毒素産生型フラジリス菌を保有している成人健常者を対象にビフィズス菌Bifidobacterium longum BB536(以下ビフィズス菌BB536)を含有するヨーグルトを摂取していただき、ビフィズス菌BB536の毒素産生型フラジリス菌に対する除菌作用について検証を行いました。


<研究の内容>
【方 法】
 試験参加に同意いただいた関東(主に神奈川県)に在住する20〜65歳の成人健常者420名から糞便サンプルを回収し、遺伝子検査手法を用いて、毒素産生型フラジリス菌の保有率を調査いたしました。次に、毒素産生型フラジリス菌保菌者のうちヨーグルトを習慣的に摂取しない32名を対象に、一日あたりビフィズス菌BB536含有ヨーグルト(菌数16億以上/個)80g×2(BB536Y群)もしくは牛乳200ml(牛乳群)を8週間摂取してもらい、糞便中の毒素産生型フラジリス菌数を測定しました。さらに、32名中23名の方からは、試験食品摂取終了12週間後に再度糞便サンプルを回収し、毒素産生型フラジリス菌の菌数を測定しました(図1)。

【図1.試験スケジュール】
 ※添付の関連資料を参照


【結 果】
1.健常の人の約1割が毒素産生型フラジリスを保菌
 420名の被験者のうち、38名(9.04%)の腸内から毒素産生型フラジリス菌が検出されました。2000年に中部地方(主に岐阜県)で実施した岐阜大学 加藤直樹元准教授らの報告でも、成人からの検出率は8.9%(112名中10名)とほぼ同様の値であったことから、日本における毒素産生型フラジリス菌の保有率は9%程度と推測されます。人口換算すると1,000万人以上の日本人が保有している計算になります。

2.BB536含有ヨーグルト摂取で毒素産生型フラジリス菌が減少
 試験食品摂取開始前では、BB536Y群、牛乳群ともに糞便1gあたり平均値として1,000万程度の毒素産生型フラジリス菌が検出されましたが、8週間の摂取後、牛乳群では大きな変化がなく、BB536Y群では100万程度まで菌数が減少しました。以上の結果から、ビフィズス菌BB536含有ヨーグルト摂取による毒素産生型フラジリス菌に対する除菌作用が示唆されました(次頁、図2)。

【図2.ビフィズス菌BB536含有ヨーグルトまたは牛乳摂取による糞便中毒素産生型フラジリス菌(ETBF菌)の菌数変動に対する影響】
 ※添付の関連資料を参照


 以上の結果より、ビフィズス菌BB536を含有するヨーグルトの摂取は、大腸がんリスク要因と考えられている毒素産生型フラジリス菌を除菌する作用が示唆されました。


参考文献:
1.Wu S,Rhee KJ,Albesiano E,Rabizadeh S,Wu X,Yen HR,Huso DL,Brancati FL,Wick E,McAllister F,Housseau F,Pardoll DM,Sears CL. A human colonic commensal promotes colon tumorigenesis via activation of T helper type 17 T cell responses. Nat Med. 2009 Sep;15(9):1016−22.

2.Toprak NU,Yagci A,Gulluoglu BM,Akin ML,Demirkalem P,Celenk T,Soyletir G. A possible role of Bacteroides fragilis enterotoxin in the aetiology of colorectal cancer. Clin Microbiol Infect 12: 782−6,2006.


 今回発表した研究成果は、森永乳業製のビフィズス菌BB536を用いた研究結果となりますが、森永乳業および森永乳業グループ会社より販売しておりますビフィズス菌BB536を使用した商品の効果・効能を示したものではございません。

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