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明大と神戸大と理研など、真核微細藻類ユーグレナを使った「バイオコハク酸」の生産に成功

2016-12-27

真核微細藻類ユーグレナを使った「バイオコハク酸」の生産に成功


■要旨
 JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発ALCAにおいて、明治大学 農学部の小山内 崇 専任講師、理化学研究所、神戸大学、株式会社ユーグレナらの研究グループは、ユーグレナによるコハク酸の細胞外生産を発見しました。
 生物が生体内で作る有機酸注1)はさまざまですが、その中でもコハク酸バイオプラスチックの原料として近年注目を集めています。現在、多くのコハク酸は、石油を原料として化学的に生産されています。しかし、石油は限りある化石資源であり、生物由来の環境に優しいバイオコハク酸の生産が望まれており、年々生産量は増えています。微細藻類を利用した光合成によるバイオコハク酸の安定的な生産系が確立できれば、培養時に二酸化炭素を吸収することで温室効果ガス削減に寄与でき、石油の消費量の削減も見込まれます。
 そこで本研究グループは、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)に着目しました。ユーグレナは単細胞の真核微細藻類の一種で、植物と同じように光合成によって増殖できます。今回、研究グループは、ユーグレナコハク酸などの有機酸を暗・嫌気条件注2)下で細胞外に放出することを発見しました。コハク酸量は、培養液の種類と炭素源の添加という嫌気の培養条件によって増減しました。また、明・好気条件でユーグレナ細胞を窒素欠乏にした後、暗・嫌気条件にすることで、コハク酸生産量が、通常培養時の約70倍である869.6mg/Lに増加し、微細藻類によるバイオコハク酸生産の世界最高記録を示しました。
 このように本研究では、ユーグレナの光合成の力を使って、バイオプラスチック原料となるバイオコハク酸を生産する技術を開発しました。今後、光合成生物を利用した物質生産が発展することで、環境問題の一つである温室効果ガス削減への寄与が期待されます。
 この研究は、明治大学 農学部 農芸化学科 冨田 結芙子(学部4年生)、吉岡 和政(学部3年生)、飯嶋 寛子 共同研究員により進められ、株式会社ユーグレナ 鈴木 健吾 研究開発部長、理化学研究所 平井 優美 チームリーダー、近藤 昭彦 チームリーダー(兼 神戸大学教授)、神戸大学 蓮沼 誠久 教授らの研究グループと共同で行いました。
本研究成果は、2016年12月8日(英国時間または米国東部時間)発行のスイスの科学誌「Frontiers in Microbiology」に掲載されました。

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照




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