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東大、神経ストレスが胃がんの進行を加速させるメカニズムを解明

2016-12-20

神経ストレスが胃がんの進行を加速させるメカニズムを解明、新たな治療標的に


1.発表者:
 早河 翼(東京大学医学部附属病院 消化器内科 助教)
 小池 和彦(東京大学医学部附属病院 消化器内科/東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 消化器内科学 教授)

2.発表のポイント:
 ◆胃がんが進行する過程で、がん細胞が異常な神経細胞を呼び寄せ、集まった神経細胞からのストレス刺激が増えることで、ストレスを受けた胃がん細胞がさらに成長するという、胃がんの発育と神経ストレスの密接な関連とそのメカニズムを明らかにしました。
 ◆神経ストレスが胃がんに与える影響はこれまで詳しく分かっていませんでした。今回、神経細胞とがん細胞がどのような相互作用を持ちながらがんを形成していくかが詳細に明らかになりました。この相互作用を抑えることが、新しい胃がん治療として有効な可能性があります。
 ◆がん細胞の増殖を直接抑える従来の抗がん剤に加えて、神経細胞との相互作用を抑える薬剤を使うことで、胃がん治療の効果を高めることができると考えられます。このような薬剤はすでにさまざまな疾患に使用されており、胃がんに対しても早期の臨床応用が期待されます。

3.発表概要:
 人間の神経細胞は脳だけでなく全身に分布しており、中でも胃腸には1億個以上のさまざまな神経細胞が存在し、胃腸の動きや消化ホルモンの分泌を調節しています。以前から神経ストレスががんやさまざまな病気の原因になる可能性は指摘されていましたが、その理由や重要性についてはよく分かっていませんでした。今回、東京大学医学部附属病院消化器内科の早河翼助教、小池和彦教授らは、米国コロンビア大学などと共同で、胃がんの発育と神経ストレスの密接な関連とそのメカニズムを明らかにしました。早河助教らはマウスの胃がん組織を詳しく観察し、胃がんが進行する過程で、がん細胞が「神経成長因子」と呼ばれるホルモンを産生し、これに反応した神経細胞ががん組織に集まり、そこからの強いストレス刺激を受けることで、胃がんの成長が加速していくことを世界で初めて明らかにしました。この「神経成長因子」を抑える薬や、神経ストレスを放出する細胞を除去することで、胃がんの進行を抑えることができました。がん細胞の増殖を直接抑える従来の抗がん剤に加えて神経細胞との相互作用を抑える薬剤を使うことで、胃がんに対する効果を高めて未来の治療に応用できると考えられます。
 実際、神経成長因子を標的にした薬剤はすでに臨床試験や実際の臨床でさまざまな疾患に使用されており、胃がんに対しても早期の臨床応用が期待されます。
 本研究成果は、日本時間12月16日に米国のがん研究に関する学術誌「Cancer Cell」オンライン版にて発表されます。
 なお、本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)次世代がん医療創生研究事業(P−CREATE)、中山がん研究所消化器疾患研究助成金などの支援を得て行われました。

 ※発表内容などリリース詳細は添付の関連資料を参照



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