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東北大など、スピン流の熱流変換現象の可視化に成功

2016-12-15

スピン流−熱流変換現象の可視化に成功
スピントロニクスを用いた新たな熱制御技術の実現に道―


【発表のポイント】
 ●磁気の流れ「スピン流」によって生成される温度変化の可視化を実現
 ●通常の熱源とは全く異なり周囲に広がらない、スピン流特有の温度分布を観測
 ●スピントロニクスデバイスの局所的な温度変化調整技術への応用が期待

【概要】
 東北大学金属材料研究所の内田健一准教授(当時。現 物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究拠点 グループリーダー)、大門俊介氏(大学院博士課程・日本学術振興会特別研究員)、井口亮助教、日置友智氏(大学院修士課程)、東北大学原子分子材料科学高等研究機構・金属材料研究所の齊藤英治教授は、スピン流(※1)によって生じる独特な温度分布を明らかにしました。
 物質中には様々な流れが存在します。電気の流れが電流、熱の流れが熱流、そして磁気の流れがスピン流です。これらの流れは相互に作用し、変換することができます。電流と熱流の相互作用は熱電効果と呼ばれ、熱から電気を作り出すゼーベック効果(※2)や、電気で加熱・冷却するペルチェ効果(※3)が知られています。スピン流と熱流の間にも相互作用が存在し、熱からスピン流を生み出すスピンゼーベック効果(※4)や、スピン流で加熱・冷却するスピンペルチェ効果(※5)があります。スピン流と熱流の相互作用は新しい熱利用・熱制御の基礎現象として注目されており、スピン流に伴ってどのような温度分布が生じるのか明らかにすることが望まれていました。
 本研究では、スピンペルチェ効果によって生じた温度変化を熱画像として可視化することに初めて成功しました。この結果により、スピンペルチェ効果に伴う温度変化は、スピン流のある領域付近のみに局在し、周囲に拡がらないことが見いだされました。この振る舞いは、電流によって生じるジュール熱などによる温度変化が熱流を伴って拡がっていくこととは対照的です。スピンペルチェ効果に伴う独特な温度分布の発見は、スピン流によって局所的に温度を調整できる可能性を示すものであり、スピントロニクスに基づく新たな熱制御技術の発展に繋がることが期待されます。
 本研究成果は、日本時間2016年12月12日(月)19時(英国時間12月12日10時)に、英国科学誌「Nature Communications」にオンライン掲載されます。

 *詳細な説明などリリース詳細は添付の関連資料を参照



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