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九大、生殖細胞形成におけるDNAメチル化の変化とその調節因子を解明

2016-09-21

生殖細胞形成におけるDNAメチル化の変化とその調節因子を解明
−不妊の原因解明、治療法開発への応用に期待−


 私たちの体は精子卵子が融合してできる一つの受精卵に由来します。この精子卵子の元となる生殖細胞が形成される過程では、遺伝子の働きを調節するDNAメチル化という化学修飾(細胞が備え持つ修飾の一つ)が大きく変化します。誕生したばかりの生殖細胞は体の中にごく僅かしか存在しないため、その詳細な研究はこれまで困難でした。2011年、京都大学大学院医学研究科の斎藤通紀教授、林克彦准教授(現九州大学医学研究院教授)らが様々な細胞に分化する能力を持つマウス多能性幹細胞から、培養皿の中で生殖細胞を作り出し、この細胞を体の中に移植することで精子卵子を作製できることを示しました。しかし、これらの細胞の特性解明が喫緊の課題でした。今回、九州大学生体防御医学研究所の佐々木裕之主幹教授・副学長、医学系学府医学専攻博士課程4年白根健次郎の研究グループは斎藤教授、林教授らと共同で、生体外で多能性幹細胞から人工的に生殖細胞を作成する際のDNAメチル化の変化が、体の中で生殖細胞が形成される過程の変化をよく再現することを示し、またその細胞を用いて、メチル化変化のメカニズムと調節因子の一端を解明することに成功しました。本研究で得られたデータは今後、ヒトの生殖細胞発生メカニズムの研究やその破綻による不妊の原因解明、治療法開発の基盤になることが期待されます。
 本研究成果は2016年9月15日(木)正午(米国東部標準時間)に、国際雑誌『Developmental Cell』にオンライン掲載されます。

■研究者からひとこと:
 人工的に誘導できる生殖細胞はこれまで困難だった様々な研究を可能にしました。DNAメチル化が下がるメカニズムや調節因子を明らかすることができたのも今回の重要な成果です。この培養系を使った研究から生殖細胞の発生メカニズムのさらなる理解と、ヒトの不妊の原因解明と治療法開発が進むことが期待されます。

 ※参考図は添付の関連資料を参照



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