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ダイキン、超小型マイクロ水力発電システム開発を目指し神戸市で研究開始

2016-05-31

超小型マイクロ水力発電システムの開発を目指し、
兵庫県神戸市で研究を開始


 ダイキン工業株式会社は、このたび環境省の「平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の採択を受け、神戸市水道局と共同で上水道の管水路の水流エネルギーを利用して発電する10キロワット以下の超小型のマイクロ水力発電システムの開発を目指し、研究を開始します。また、超小型のマイクロ水力発電システムの共同研究を行うにあたり、既に当社が開発済みの22キロワットクラスのマイクロ水力発電システムを神戸市水道局福谷(ふくたに)中層配水池に設置し、新たに開発した遠隔制御機能や長期的な性能、メンテナンスなどにかかる運用コストを評価します。本システムは、一般家庭約65軒分(※1)に相当する年間211メガワット時の発電能力を持ちます。

 2011年の東日本大震災以降、新たな電力源の確保が課題となる中で、年間発電量の多い小水力発電は、安定的に発電できる効率的な再生可能エネルギーとして注目されています。しかし、特に小さな水力を利用する100キロワット以下のマイクロ水力発電は、発電規模に対して導入コストが高く、機器のサイズも大きいため、設置可能な場所が限定されるという課題がありました。

 当社は、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の一環で2013年度から2015年度にわたって小型で低コストの管水路用マイクロ水力発電システムの開発および実証に取り組んできました。空調・油圧機器の省エネ商品開発で培った技術の応用によって、設置面積が従来の横型マイクロ水力発電システムの約半分で、導入コストも大幅に削減できる22キロワットクラスおよび75キロワットクラスの縦型マイクロ水力発電システムの開発に成功し、富山県南砺市、福島県相馬市での実証実験を経て実用化に至りました。

 今回の神戸市水道局との共同研究では、上水道施設に設置されている数多くの圧力調整用のバルブに代わる10キロワット以下の超小型のマイクロ水力発電システムの開発を目指し、上水道施設の運用状況の調査および試作機の実証実験を行うことになりました。神戸市は、再生可能エネルギーの活用など環境負荷の低減に熱心に取り組んでおり、高低差のある地形がマイクロ水力発電システムの設置に適していることから、今回の共同研究の実施に至りました。

 一般的に、上水道施設ではまち全体に適切な水圧で水を供給するため、数多くの圧力調整用のバルブを使用しています。全国の自治体と協力し、上水道施設に設置されている圧力調整用バルブから超小型のマイクロ水力発電システムへの置き換えを推進することにより、上水道の水圧を調整するのと同時に、これまで利用されていなかった水流エネルギーを使って発電し、CO2排出量の大幅な削減につながる可能性があります。

 また、マイクロ水力発電システムは、上水道施設だけでなく、生産過程で水を多く使用する鉄や紙、化学品、薬品、飲料品などの工場への導入を想定しています。設置場所の水力に応じて、発電電力22キロワットクラスおよび75キロワットクラスの発電システムを組み合わせて導入することが可能です。全国の上水道事業および水道用水供給事業は1482箇所(※2)、工業用水の供給を受けている事業所は3160箇所(※3)と、本システムの導入ポテンシャルは高いと見込んでおり、自治体や企業と連携しながら全国への普及を推進し、CO2排出量の削減を目指します。

 当社は、これまでCO2排出量の削減に向けて活用してきた省エネ技術を創エネにも展開することで、エネルギー分野における新しい価値を創造し、持続可能な社会の実現を目指します。


■発電概要
1.設置場所:
 神戸市水道局福谷中層配水池マイクロ水力発電
 神戸市西区櫨谷町(はせたにちょう)福谷745−1

2.最大発電出力:24.1キロワット

3.年間可能発電電力量:211メガワット時

 ※1 電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2015に基づき一般家庭の月間消費電力271.2キロワット時で計算
 ※2 (厚生労働省HP)「水道の基本統計「平成26年度 水道の種類」」より
 ※3 (経産省HP)「業種別の統計」より


■管水路用マイクロ水力発電システムの特長
(1)狭小箇所にも設置可能な小型軽量設計
 従来の水力発電システムは、発電機の他にコントローラーを別に設置する必要がありましたが、本発電システムは発電機とコントローラーを一体化し、配管に接続した縦型水車の上に配置することにより、設置面積は従来の横型マイクロ水力発電の半分以下となりました。また、小型・軽量化により、従来、水力発電システムを設置することができなかった既存水道施設の狭小箇所にも設置が可能となり、工事費用も抑えることができます。

(2)空調・油圧機器事業で培った技術を応用した高い発電能力および制御機能
 水車には空調事業で培ったファンの流体解析技術を応用し、発電機とコントローラーには空調事業と油圧機器事業で培ったモーター技術、インバーター技術を応用することで、効率よく水流エネルギーを電気エネルギーに変換します。また、水車の流量制御機能によって、落差が変動しても安定した運転ができ、さらに遠隔操作機能によって、きめ細かな送水量の調整が可能です。

(3)既存量産部品の活用、部品の削減、メンテナンス性の向上で低コストを実現
 水車の母体に汎用ポンプを使用するなど量産部品の活用、コントローラーと発電機の一体小型化、部品点数の削減などにより、コストを大幅に削減しました。また、発電機や水車を分解することなく磨耗部品を交換できる構造にするなど、メンテナンス性を向上させました。空調の電力の見える化や遠隔操作・監視の技術を活かし、インターネットを介して発電システムの維持管理を支援することで、メンテナンスコストも大幅に削減できます。

 *参考資料は添付の関連資料を参照


●お客様からのお問い合わせ先
 ダイキン工業株式会社
 テクノロジー・イノベーションセンター
 エネルギーシステムグループ
 TEL(06)6195−7281



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