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安川電機、フルSiC搭載の入出力電圧電流正弦波マトリクスコンバーターを開発
世界初! フルSiC搭載の入出力電圧電流正弦波マトリクスコンバータを開発
株式会社安川電機(代表取締役会長兼社長 津田 純嗣)は、フルSiC(*1)パワー半導体モジュールを搭載した次世代マトリクスコンバータを世界に先駆けて開発し、当社の従来製品であるU1000よりさらに高効率な入出力電圧電流正弦波ドライブを実現しました。
・参考資料は添付の関連資料「参考資料1」を参照
1. 開発のねらい
産業界では、自動化、省力化、高速化、省エネルギーのニーズが高まっており、インバータドライブの用途が急速に拡大しています。
当社は、モータドライブにおける周辺環境との調和を目指し、2005年に世界初のマトリクスコンバータ(*2)を製品化しました。また、2014年にはその後継となるU1000を製品化し、入力電流高調波(*3)の抑制、回生エネルギーの有効利用など、お客様に新たな付加価値を提供してまいりました。
今回の開発は、このマトリクスコンバータ技術を応用し、入力電圧の正弦波だけではなく、これまで実現できなかった出力電圧をも正弦波とすることにより、究極のドライブ性能である「入出力電圧電流正弦波」を実現しました。本技術の実用化により、電源環境に優しい、かつ配線環境や使用モータを選ばない究極のモータドライブの提供を目指します。
2. 主な技術内容
高速スイッチング、かつ低損失動作が可能なSiCを用いたパワー半導体をデバイスメーカーと協同で 開発し、当社が長年培ってきたマトリクスコンバータドライブシステムの回路や構造の技術、そして新たに開発した入出力フィルタ及び出力電圧制御技術を組み合わせることにより、従来製品であるU1000よりもさらに高効率な入出力電圧電流正弦波ドライブを実現しました。
◆主な特長
〔1〕入出力波形の歪み低減
入力電流および出力電圧の歪みが5%以下(定格周波数比50倍以下)
〔2〕高効率化
最大変換効率98%以上
・参考資料は添付の関連資料「参考資料2」を参照
なお、本技術の詳細は、9月2日(水)〜4日(金)まで大分大学で開催される平成27年度電気学会産業応用部門全国大会にて発表する予定です。
3. 今後の展開
2年以内の製品化を目指します。
4. 過去の関連プレスリリース
〔1〕インバータを超える次世代モータドライブマトリクスコンバータU1000を販売開始(2014年4月1日)
http://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/product/6214
〔2〕世界初、マトリクスコンバータ方式による高圧ドライブ装置
−電源回生機能と電源高調波レス・モータサージ電圧レスを一挙に実現−(2005年6月13日)
http://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/product/8858
*1:SiCとは炭化ケイ素(Silicon Carbide)の略称で、炭素(C)とケイ素(Si)の1:1の化合物です。硬度、耐熱性、化学的安定性に優れることから、研磨材、耐火物、発熱体などに使われ、半導体でもあることからパワー半導体の素材として注目されています。なお、「フルSiC」とは、パワーデバイス内部の全てのパワー半導体(ダイオードやスイッチなど)にSiC材料を用いたものです。 *2:マトリクスコンバータとは、三相の交流電源から、9個の双方向スイッチを格子状(マトリクス)に接続し、任意の電圧、周波数を直接作り出す電力変換装置です。
*3:商用電源の周波数(正弦波)を基本波とし、その整数倍(正弦波)を高調波と言います。インバータでは電力変換を行う際に、入力電流の歪みにより高調波が発生し、電源系統に障害を与える場合があります。