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東京商工リサーチ、7月の「円安」関連倒産の調査結果を発表
〔特別企画〕
【7月速報値】
「円安」関連倒産(7月31日現在)
〜7月は今年最少6件〜
2015年の円相場は、6月2日に東京外国為替市場で2002年12月以来12年半ぶりに一時、1ドル=125円台をつけて円安が進行した。その後は一段落したが、7月末は1ドル=124円台前半で推移し、円安基調は続いている。
円安は輸出企業の収益を押し上げる一方で、海外からの輸入に頼るエネルギー、資源、食料品など幅広い分野の物価が上昇し、中小企業の体力を消耗させる恐れがある。
7月の「円安」関連倒産は6件(速報値、前年同月21件)と前年同月を下回った。輸入原材料の高騰などから、食料品などが相次いで値上げしたなかで、国際市場での供給過剰感から再び原油価格が低下し、ガソリンなどの燃料価格が下降するなど、経営環境は変化をみせている。今後の円相場の推移と合わせて円安関連倒産の動向が注目される。
■7月の倒産事例
魚類養殖の高島漁業(株)(TSR企業コード:820048488、愛媛県)は、主にハマチ、タイを扱っていた。魚価の低迷等もあって業容縮小を余儀なくされていたところに、円安進行に伴う飼料価格の高騰から先行きの見通しが立たず破産を申請した。
輸入住宅企画施工の(株)アイバリビング・コーポレーション(TSR企業コード:271017139、栃木県)は、ログハウスの販売施工も行っていた。しかし、競合激化とともに業績が落ち込み、赤字経営になった。2014年4月期は増税前の駆け込み需要等で一時的に受注は回復したが、その反動から最近は受注が大きく落ち込んでいたところに、円安による輸入建材のコスト上昇で経営が悪化し破産を申請した。7月の産業別では、卸売業の4件で最も多かった。
■2015年1ー7月の産業別、卸売業が4割増
2015年1月−7月の「円安」関連倒産は98件(速報値・前年同期比40.6%減、前年同期165件)にとどまっている。産業別では、運輸業が前年同期比80.6%減(62→12件)と減少が目立ったのに対して、卸売業は同40.6%増(32→45件)と増加が目立った。今後も輸入原材料、商品などを扱う企業の動向が注目される。
※表資料・グラフ資料は添付の関連資料を参照