武藤工業、東京農工大と共同開発のアーク溶接を用いた金属３Dプリンターを発売

金属３Dプリンタ「Value　Arc　MA５０００−S１」を新発売
〜アーク溶接による新しいコンセプトの金属３Dプリンタ〜


　MUTOHホールディングス中核企業である、大判インクジェットプリンタの製造・販売を手掛ける武藤工業株式会社（本社：世田谷区、社長：早川信正、以下：武藤工業）は、国立大学法人東京農工大学（東京都府中市、学長：松永是、以下：東京農工大）大学院工学研究院先端機械システム部門の笹原弘之教授との共同研究により開発された、アーク溶接機と汎用アーク溶接ワイヤを用いた新しいコンセプトの金属３Dプリンタ「Value　Arc　MA５０００−S１」を７月下旬より販売開始いたします。

　現在、主流として販売されております金属を造形する３Dプリンタは、レーザー（あるいは電子ビーム）を熱源にし、専用の金属粉を材料とするものでした。これらの機種は、本体ならびに付帯設備の価格が高額であるばかりか、専用金属粉の種類の制限や取り扱いがデリケートであるなどの理由もあり、いまだ十分な普及に至っておりません。
　今般発売いたします「Value　Arc　MA５０００−S１」の主な特長は：


◆熱源を既存技術として確立されているアーク溶接としたことによって
　・高速造形が可能（１００cc／h〜５００cc／h以上）（※）材質や出力条件により異なります
　・従来の溶接技術を活用したことで、造形物が高強度（鬆＜ス＞が入りにくい）
　・低廉な装置価格を実現
　・既往部材への付加造形が可能（厚盛りやリペアにも応用できる）
　・ワークサイズの大型化が可能（本機は、５００mm角の造形が可能）
◆金属粉を使用せず、汎用のアーク溶接ワイヤ（溶接棒材）を使用することによって
　・材料費が従来の１／１０程度に抑えられ、ランニングコストが低減できる
　・汎用品なので調達が容易
　・金属の種類が豊富に流通している、さまざまな素材に対応可能
　・材料、完成品の物性データが豊富に公開されている
　・マグネシウムなど粉状になると危険な金属への対応が可能
　・金属粉に比べて取り扱いが容易
　・使用金属の交換が容易（金属粉の場合、機械装置の分解清掃が必要となる）などが挙げられます。
　但し、現状使用するビードの太さは約３mm以上、積層高さは約１mm以上での造形となり、微細な部分の造形には、今のところ適しておりません。

　用途としては、少量多品種生産品の製造において、高価かつ削りにくい材料で、削る部分が多い形状のものを製作する場合の利用を想定しております。安価で手軽にニアネットシェイプ造形（概略の形状を造形すること）を行い、その後切削加工で所定の精度に仕上げて頂くというコンセプトです。これにより従来の製作方法に比べ、期間とコストを大幅に圧縮できると考えております。

　・参考画像は添付の関連資料を参照

　利用例としては、「生産財」では金型のリニューアル・補修・エッジの形成など、あるいは、高価・難削材で従前は削り出しで製作していた生産設備部品の製造・修理・試作。
また「製品」としては、上記と同様の高価・難削材での少量多品種生産部品や試作品などの製造目的でのお引き合いが多くなっております。

　販売予定価格は、標準的な仕様で￥３０，０００，０００．−（税別）を予定しております。（標準の付帯設備を含む）今年度は、利用分野（アプリケーション）の研究、並びにこれに応じた造形ノウハウの開発にご協力を頂けるお客様を中心に、１０台程度を目標にしております。

　「Value　Arc　MA５０００−S１」は、東京農工大笹原教授が長年研究を重ねてこられた基盤技術に、弊社の製品化ノウハウを組み合わせた共同研究の成果として、現在東京ビックサイトで開催されております「３Dプリンタの未来２０１５」に出展させていただいております。


以上


　・製品画像・製品仕様は添付の関連資料を参照