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東洋ゴム、建築用免震ゴム問題で再発防止策や経営責任の明確化など発表

2015-06-27

当社および当社子会社製 建築用免震ゴム問題における
原因究明・再発防止策・経営責任の明確化について


 東洋ゴム工業株式会社(本社:大阪市、社長:山本卓司)は、国土交通大臣認定を受けて製造、販売を行なってきた建築用免震ゴムの事業において、認定申請時に提出する数値、および製品出荷前の性能評価検査結果に技術的根拠のない恣意的な改ざんがなされ、大臣認定を不正に取得していた疑い、および性能未達製品を市場に販売していた疑いが高まったことから、本年2月6日、小林英明弁護士を代表とする社外調査チームに対し、これらの行為の事実とその原因究明、これらが発覚するに至る経緯と発覚しなかった原因等の解明、判明事実とその原因に即した再発防止策の提言等を依頼しました。

 4月24日、一旦、同調査チームから受領した中間調査報告書の概要版をまず公表していますが、4月21日に発表したとおり、新たな不正の可能性発覚に伴い、同調査チームに継続的な追加調査と実態の解明を依頼し、当社としてこれに全面協力をしてきました。

 6月19日、当社は同調査チームより本調査報告書を受領し、記載内容の精査、確認を行ないました。
本調査報告書、および当社独自の検証等をもとに、改めて、原因の特定と背景の推察を行なうとともに、問題の根底に介在していた諸要因を解析し、また、同調査チームより指摘、提言された内容を不正撲滅、企業風土再生に向けた有益かつ有効な箴言として真摯に受け止め、これらを採り込んだ再発防止策を構築しました。そして、最終的に、一連の免震ゴム問題の実態解明、および本来果たすべきであった役割・責任に照らし、相応する経営処分を決定しました。

 本日午前9時半より開催した臨時取締役会において上記内容が承認されましたので、その内容をここにご報告申しあげます。

 このたびの当社免震ゴム問題により、不適合製品を納入した当該建築物の所有者様、居住者様、利用者様をはじめ、関係する販売主様、設計者様、施工者様に多大なるご迷惑をおかけしましたことに、改めて深くお詫び申しあげます。

 国の認定制度、そして一般市民、関係者の信頼を踏みにじるような不正行為を行なっていたこと、生命、身体および財産の安全に直結する製品を扱いながら、これを脅かすような事態を招いたことは、企業としてあるまじき社会的背徳行為であると厳しく受け止め、当社は、改めて企業風土の抜本的な改革と再発防止を誓い、全力でこれに取り組んでまいります。

1.当社製免震ゴム問題における発生事実
建築基準法に定められる免震ゴム製品の国土交通大臣認定の取得に際し、当社が技術的根拠のない乖離値を記載して申請を行った不正行為、また、当社製免震ゴム製品の出荷時性能検査に際して開発技術部担当者が技術的根拠なく恣意的な数値操作を行なった不正行為、および検査成績書作成に際して工場の品質保証課担当者が技術的根拠のない恣意的に数値を書き換えて顧客に交付していた不正行為があった。
この不正行為のもとで出荷した当社製免震ゴムが設置された全209棟のうち、153棟(重要文化財1棟含まず)は、建築基準法上の違反建築物となる事態を招いた。うち16棟は工事中(建設未完)であり、建築確認が受けられない状態である。

本問題の当該子会社における疑義の認識(2014年2月)以降、問題把握、および出荷停止に至る経営判断に多大な時間を要したことにより、市場における違反建築物を増大させる事態を招いた。(2014年2月から2015年2月までに製品を継続販売した納入先:22棟)また、今後、将来的にこれらの製品交換時には、建物の所有者様、居住者様、利用者様の一時退去等における物理的・心理的・経済的負担、工事中断・遅延による販売主様、施工者様の事業への影響などを誘発することが想定される。

2.免震ゴム問題を誘発した原因の特定、および背景の推察
本問題を誘発した原因、および背景については、社外調査チームの報告書p268〜281において詳細指摘を受けている。当社としても、以下の主な要因が問題の根底にあったと判断する。

(1)不正が発生した原因と背景

1)事業評価の不全
当該事業は災害時において建物の所有者、居住者および利用者のかけがえのない生命、身体および財産の安全を守るための技術を取り扱う事業であるにもかかわらず、事業化に際してリスクを適切に認識せず、かかるリスクの発生防止を考慮した内部統制の整備が不十分であった。
当社は、個々の事業が包含する潜在リスクの内容、大きさ、影響の認識、当該リスクを管理するための内部統制の整備や事業の存続判断等の仕組みが現時点で十分だとは言い難い。

2)規範遵守意識の欠如問題行為者個人における技術者倫理意識、規範遵守意識の著しい欠如が問題の背景の一つであるものの、当該不正行為は担当者の私的利益を得るために行われたものではなく、また、一部の関係者が問題を認識していたことが議事録、業務報告書などの記載から推測できることから、本問題を個人の資質の問題として結論づけられるものではない。
当該事業では出荷時における標準的な性能検査過程が書面化されておらず、製品出荷時性能検査の測定値についてデータ処理詳細の記録化がなされていなかったほか、問題行為者の上司がデータ操作を指示した可能性や適正な管理監督を行っていなかったなど、規範遵守意識の欠如につながる不十分な統制環境や不適切な組織風土が存在していた。

3)組織の機能不全
管理監督を適正に行なうに足る知識、能力を有する上司が配置されないまま、長年にわたってこの管理監督を受けないまま一人の担当者が製品の性能評価業務を自己の権限で行なっていたことをはじめ、不合格品の再製作に要する費用を検査結果の解析を行なう開発技術部が負担するという不適切な制度運用がなされていた実態があった。また、製品出荷時の性能検査において、本来品質保証部門が行なうべき検証を開発技術部に頼るなど機能の分離独立がなされず、相互牽制・チェック機能の働かない仕組みの中で事業が遂行されていた。
このほか、監査部門が複数存在するにもかかわらず、開発技術部に対する監査がほとんど行なわれなかったことなど、本事業に携わる複数の組織が不健全かつ不適切な状態でマネジメントされており、組織の機能不全が看過されていた。

(2)判断・対処が遅れた原因と背景

1)経営陣の意識と判断の甘さ
本問題に関わる疑義が当該事業を担う当社子会社において認識されてから、出荷停止の判断に至るまで約1年もの時間を要することとなった背景には、当時、本製品に関わる知識が薄かったことがひとつの要因となったものの、経営陣として執るべき判断の甘さがあったといえる。

問題行為を指摘する報告や資料があったにもかかわらず、十分な調査体制の構築が遅れ、迅速な問題把握ができたとはいえない。これは、技術的な見地からの確証性の検証に固執し、出荷停止および国土交通省への一報を決断しないまま、自己解決を模索した経緯による。
また、調査報告書にも指摘のとおり、一部には、本問題の国土交通省への通報と公表をリスクとして扱う提示を行なうなど、コンプライアンス意識が著しく欠如した経営幹部もいた。

2)危機マネジメントの欠如
本問題に関わる疑義が当該事業を担う当社子会社において認識されてから、出荷停止および国土交通省への一報の判断に至るまで、取締役会、執行役員会で本件が議題に上げられたことはなく、また、社外取締役や監査役に対しての個別相談も行われなかった。また、制度化されているコンプライアンス委員会やQA委員会も本件の議論や報告のために開催されることはなかった。
結果的に、経営監視を行なう機能やコンプライアンス、重大品質問題等を扱う、いずれの既存ガバナンス制度も活用がなされず、会社としての客観的かつ適切な危機マネジメントが欠如していた。
迅速な社内調査体制が整備されていないうえ、必要な社内報告制度や機関が機能せず、調査・公表原則が不存在であったことが、本問題を拡大させた要因のひとつといえる。

3.断熱パネル問題発生時の再発防止策の検証
当社は、硬質ウレタン製断熱パネル製品で取得すべき防火認定において、国土交通大臣認定を不正取得していたことが発覚し、2007年11月に公表している。
当時、外部調査委員会、および社内調査委員会による問題検証を通じ、緊急対策と恒久対策を網羅的に構築した再発防止策を策定するとともに、これに取り組んできたが、今回その実行成果について、社外調査チームの報告書p276〜281にわたり厳しく詳細指摘を受けている。
当社としても今回、同様に、当社製免震ゴム問題を誘発した要因のひとつとして、この解析を行ない、以下のとおり判断した。

(1)断熱パネル問題発生時の再発防止策
社長直轄の品質監査室の設置、コンプライアンス研修の実施といった緊急対策3項目、内部統制システムの強化(コンプライアンス委員会の権限強化)、部門間人事ローテーション、事業決定プロセスの改善・強化、内部通報制度の活用促進といった恒久対策6大項目を策定した。

(2)断熱パネル問題の再発防止策の問題点
緊急監査においては、国内外拠点それぞれ1ヵ月程度の形式的な監査であったにもかかわらず、拙速な終息宣言を行なったほか、品質監査室は社長直轄組織から変容し、その機能性が薄弱化した。また、コンプライアンス委員会とQA委員会の機能棲み分けがなされず、連携もとられなかった。人事ローテーションが適切になされず、専門担当者の依存性が進む結果となっているほか、内部通報が必要であるとの認識が薄く、制度の実行成果も高いとはいえない。

(3)免震ゴム問題への帰結
不十分な監査と安易な終息宣言により、免震ゴム不正をあぶりだす機会を逸したほか、同一担当者の人事ローテーションがないまま、通算15年にわたる性能評価検査に従事させ、管理監督のけん制を欠いた環境を看過してきた。本問題に関して、コンプライアンス委員会自体が開催されず機能しなかったこと、適切な事業評価と見直しが実行されていなかったこと、通報制度の活用がなされなかったことなど、再発防止策の管理不徹底、継続確認体制と継続意識の脆弱性、企業を挙げた風土改革への取り組み不足が、今回の免震ゴム問題を招いた伏線を形成していたことは明らかである。

 ※(総括)と「4.改善措置と全社的再発防止策」など詳細は添付の関連資料を参照
 ※説明資料は添付の関連資料を参照

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