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富士フイルムなど、フォトレジスト技術でフルカラー有機発光ダイオードの動作実証に成功

2015-06-08

富士フイルムとimec
有機半導体用フォトレジスト技術を用いて
フルカラーの有機発光ダイオードを作製し、動作実証に成功


 富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)と、ナノエレクトロニクス技術研究の先端的な研究機関であるimec(CEO:Luc Van den hove)は、両社が開発した、サブミクロンオーダー(※1)のパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術(※2)を用いて、フルカラーの有機発光ダイオード(OLED)(※3)を作製し、その動作実証に成功しました。本研究成果は、有機ELディスプレイの高精細化や大型化、さらには従来に比べコスト優位性のある製造方法の確立につながる画期的なものです。

 有機ELディスプレイは、薄型化やフレキシブル化が可能で、応答速度やコントラスト比にも優れることなどから、テレビ、スマートフォンなどのモバイル端末、ウェアラブル端末などへの採用が進んでいます。現在、4Kテレビには200ppi(※4)前後、フルHDのモバイル端末には500ppi前後、ウェアラブル端末などの小型ディスプレイにはさらに高い画素密度の有機ELディスプレイが必要であるといわれており、現在、それに使用する有機EL材料の高精細なパターニング方法など有機半導体関連の研究開発が活発化しています。
 富士フイルムとimecは、平成25年に、大型基板上で高解像度パターニングができるフォトリソグラフィー方式(※5)で、有機半導体材料へダメージを与えずにサブミクロンオーダーのパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術を開発。新技術は、既存のi線露光装置を使用でき、新たな設備投資が不要であるため、コスト効果に優れた高解像度の有機半導体デバイスの製造が期待できると、開発発表以降、多くの注目を集めています。

 今回、富士フイルムとimecは、有機半導体用フォトレジスト技術を用いて、フルカラーのOLEDを作製し、その動作を実証しました。赤・緑・青の有機EL材料をそれぞれ20μmのサブピクセルピッチ(※6)でパターニングし、フルカラーOLEDを作製。さらに縦40個、横40個に配列して高解像度640ppiのOLEDアレイを作製し、それにUV光を照射した試験を行ったところ、赤・緑・青の各色が分離して発光することを確認しました。また、光を照射せずに電圧をかけた試験でも、赤・緑・青の全色の発光を捉えることができ、正常に動作することを確認しました。

 今後、複数回のパターニングを繰り返すことができるフォトリソグラフィー方式の特性を活かすことで、赤・緑・青に第4の色を加えたOLEDアレイに加え、OLEDと有機フォトディテクタ(※7)を融合させた新たなセンサーなどこれまでにないデバイスの開発に貢献していきます。


【今回、動作実証に成功したOLEDアレイの拡大写真】

 *添付の関連資料を参照


 尚、今回の研究成果は、平成27年5月31日〜6月5日にカリフォルニア州サンノゼで開催される、世界最大規模のディスプレイ国際学会「SID Display Week」にて発表する予定です。

 富士フイルムとimecは、平成24年11月より共同研究に着手して以来、従来技術の限界を突破し、高精細なパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術を開発するなど、有機半導体関連の技術進歩に貢献してきました。今後も両社は、半導体材料やプロセス技術、システムインテグレーションの先端的な研究開発を進め、有機エレクトロニクス産業における課題解決に貢献していきます。


【imecの概要】
 imecは、ナノエレクトロニクスの研究に関して世界をリードする独立した研究機関です。imecはICT(情報通信技術)、ヘルスケア、エネルギーの分野で世界的なパートナーシップを持ち、その革新的な能力で、科学的知見を高めています。imecは、産業界と結びついたテクノロジーソリューションを提供しています。独特なハイテク環境を備え、世界トップクラスの技術力で、持続可能な社会におけるより良い生活のための基礎技術開発を行っています。imecの本部はベルギーのルーベン市にあり、オランダ、台湾、米国、中国、インド及び日本に支所があります。
 imecのスタッフは約2,200名(駐在研究員、客員研究員約700名を含む)です。imecの2014年の歳入は3.63億ユーロです。更なるimecに関する情報はhttp://www2.imec.be/be_en/home.htmlをご覧願います。


 ※1 サブミクロン:1万分の1ミリ。1ミクロンの10分の1。
 ※2 有機半導体:半導体の特性を示す有機低分子化合物やポリマー。
  フォトレジスト:露光により光化学反応を起こし、現像液への溶解性が露光部と未露光部で変化する、半導体製造の微細加工に使用する感光性材料。
 ※3 OLED:Organic Light−Emitting Diodeの略。有機半導体を用いた発光素子。有機ELディスプレイの画素を形成する発光素子として使用される。
 ※4 ppi:pixels per inchの略。ディスプレイの画素密度の単位。一般に1インチあたりのピクセル数を表す。
 ※5 フォトリソグラフィー方式:加工する基板にフォトレジストを塗布して膜を形成し、マスクを介してパターン露光しレジスト膜内に光化学反応を起こす。現像により、基板上にマスク形状相当のレジストパターンを形成し、このレジストエッチングの保護膜として基板にパターンを転写する微細加工方法。
 ※6 サブピクセルピッチ:サブピクセルは最小単位の画素(赤・緑・青など)を表し、サブピクセルピッチは、隣り合ったサブピクセルの中心間の距離を示す。
 ※7 有機フォトディテクタ:有機半導体を用いた光検出素子。


 本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。

 (お客様)
 富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社 営業本部
 TEL:03−3406−6004





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