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帝国データバンク、「新電力会社(特定規模電気事業者、PPS)」の実態調査結果を発表

2015-06-02

第2回:「新電力会社(特定規模電気事業者、PPS)」の実態調査
駆け込み需要で登録社数が急増
〜電力小売りの自由化に向けて参入企業相次ぐ〜


■はじめに
 東日本大震災以降、再生可能エネルギーの注目度が高まり、「新電力会社(PPS)」事業への新規参入が相次いでいる。特に、2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が開始され、全国的に太陽光発電所が急拡大した背景がある。さらに、来年4月とされる電力小売りの全面自由化を見据えて新規参入を狙う企業が増えており、電力小売り事業の参入に必要な「特定規模電気事業者」への届け出件数が急増している。
 帝国データバンクは、経済産業省資源エネルギー庁管轄の「特定規模電気事業者」に登録の654社(4月30日現在)について、自社データベースである企業概要ファイル「COSMOS2」(146万社収録)などをもとに、都道府県別、設立時期、業種別、年売上高別、上場区分別に集計・分析した。同様の調査は2014年5月8日に続き2回目となる。


■調査結果(要旨)
 1. 4月30日時点で経済産業省に届け出がある「新電力会社(特定規模電気事業者、PPS)」
は654社。本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」(219社、構成比33.5%)が最多。
 2. 東日本大震災や「固定価格買取制度」(FIT)によって新規参入企業が近年増加。設立時期を見ると、近年では2014年(58社、構成比8.9%)が最多となった。
 3. 業種別では、「卸売業」(139社、構成比21.3%)がトップ。次いで、「建設業」(97社、同14.8%)、「小売業」(85社、同13.0%)となった。
 4. 年売上高別では、「1億円以上10億円未満」(141社、構成比21.6%)が最多。
 5. 上場区分を見ると、未上場企業が610社(構成比93.3%)を数え、全体の9割を超えた。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照


1.都道府県別〜東京都が最多、2位は愛知県〜
 4月30日時点で経済産業省に届け出がある「新電力会社(特定規模電気事業者、PPS)」は654社。これらの本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」(219社、構成比33.5%)が最多となった。
 2位は「愛知県」で44社(構成比6.7%)。3位は「大阪府」で41社(同6.3%)、4位は「福岡県」で32社(同4.9%)、5位は「北海道」が30社(同4.6%)と続いた。全国的に参入が広がっており、新電力会社は「宮城県」「島根県」を除く45都道府県にある。
 なお、昨年4月25日時点で「特定規模電気事業者」への登録社数は206社となっていたが、その後の約1年間で3倍に急増していることが判明した。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照が


2.設立時期〜2014年が58件、固定価格買取制度で参入増加〜
 654社のうち設立時期が確認できた650社を見ると、2010年までに設立された企業が435社(構成比66.9%)となり、全体の6割強を占めた。
 東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーの導入機運が高まり、新規参入が増加。2012年7月に施行された「固定価格買取制度」(FIT)によって太陽光発電事業の市場が拡大し、近年では2014年(58社、構成比8.9%)が最多となった。
 その後も、来年4月に控えた電力小売りの全面自由化に向けて参入企業が増加しており、2015年はすでに28社(同4.3%)設立されている。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料3」を参照


3.業種別〜卸売業が2割占める〜
 654社を業種別に見ると、「卸売業」(139社、構成比21.3%)がトップ。次いで、「建設業」(97社、同14.8%)、「小売業」(85社、同13.0%)となった。このうち、電気事業者以外の業種を見ると、「電気機械器具卸売」(54社、同8.3%)、「家庭用機械器具小売」(35社、同5.4%)、「石油卸」(27社、同4.1%)、「電気工事」(26社、同4.0%)、「燃料小売」(24社、同3.7%)などが上位を占めている。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料4」を参照


4.年売上高別〜10億円以上が4割占める〜
 654社を年売上高別に見ると、「1億円以上10億円未満」(141社、構成比21.6%)がトップとなった。次いで「10億円以上 100億円未満」(139社、同21.3%)、「100億円以上 1000億円未満」(74社、同11.3%)が続いた。年売上高が10億円以上の企業は261社(同39.9%)となり、全体の約4割を占めている。
 一方、設立から日が浅く営業実績がないケースや事業実態が判然としない「未詳」は209社(構成比32.0%)となり、全体の3割強を占めた。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料5」を参照


5.上場区分別〜未上場企業が9割超〜
 654社の上場区分を見ると、未上場企業が610社(構成比93.3%)を数え、全体の9割を超えた。これに対し、上場企業は44社(同6.7%)となっている。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料6」を参照


【参考データ】2015年の届け出状況
 特定規模電気事業者に登録された企業は5月21日時点で663社となっている。特に、3月の年度末に届け出た企業数は74件と急増したが、4月以降は1ケタ台で推移している。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料7」を参照


6.今後の見通し
 現行制度では、経済産業省資源エネルギー庁に「特定規模電気事業者」の届け出をすることで、「新電力会社(特定規模電気事業者、PPS)」として参入できるため、2015年4月30日時点の新電力会社数は、前年比3倍となる654社まで急増した。しかし、登録社数が増加した一方で、2015年3月時点で「特定規模電気事業者」として電力販売実績がある企業は71社にとどまっており(資源エネルギー庁調べ)、届け出を行った企業の大半は登録したものの新電力会社として稼動していないことが伺える。
 さらに、来年4月とされる電力小売り事業の全面自由化が施行されると同時に「特定規模電気事業者」への届け出制度が廃止され、「小売電気事業者」の登録がないと電力小売り事業へ参入できなくなる。これまでは、簡単な届け出をすれば新電力会社としての資格を得られたが、今後「小売電気事業者」となるには、経済産業省に小売りの計画を提出し、電力の供給量の確保などの要件を満たした企業のみが登録可能なライセンス制が導入される見通しとなっており、新電力事業への参入障壁が高くなる。
 今後は、2015年後半より「小売電気事業者」への事前登録が開始される見込みとなっており、「特定規模電気事業者」から「小売電気事業者」登録にシフトする流れが進みそうだ。このため、来年の電力小売り全面自由化の一方で、新電力会社としてのライセンスを獲得できない企業の淘汰が始まる可能性がある。



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