アステラス製薬、３カ年の「経営計画２０１５−２０１７」を策定

経営計画２０１５−２０１７策定のお知らせ


　アステラス製薬株式会社（本社：東京、代表取締役社長：畑中好彦）は、このたび２０１５年度からの３カ年の経営計画２０１５−２０１７（以下、「本経営計画」）を新たに策定しましたので、お知らせします。


○本経営計画の概要
　近年、新薬ビジネスを取り巻く環境は各国政府による医療費の抑制のほか、保険者の影響力の高まり、承認取得要件の複雑化、製品ライフサイクルの短縮などの課題がある一方で、科学技術の進歩、数多くのアンメットメディカルニーズの存在、新しい治療手段・創薬技術の進歩など、当社の強みを生かしながら、患者さんに革新的な価値を提供できる機会が数多く存在しています。
　こうした事業環境のもと、当社は本経営計画において、「製品価値の最大化」、「イノベーションの創出」、「Operational　Excellenceの追求」の３つの戦略を着実に推進し、中長期にわたる継続的な成長を盤石なものにしていきます。


＜戦略＞
　〔１〕製品価値の最大化
　　●過活動膀胱（OAB[１]）治療剤ベタニス／ミラベトリック／ベットミガ、前立腺がん治療剤XTANDI／イクスタンジなど、中期的な成長をけん引する製品の価値最大化を図ります。

　〔２〕イノベーションの創出
　　●革新的な新薬を継続的に創出するため、POC[２]取得プロジェクトに優先的に投資します。
　　●既存の疾患領域に加え、新規疾患領域や新技術・新治療手段などの新たな機会へも十分な投資を行っていきます。

　〔３〕Operational　Excellenceの追求
　　●環境変化にしなやかに対応できる組織・仕組みを構築し、オペレーションの一層の高質化・効率化を図るため、様々な視点から変化を先取りした取り組みを継続していきます。

　また、従来から取り組んできた買収、提携・導入など外部からの事業機会の取り込みも引き続き積極的に検討していきます。

　[１]OAB：Over　Active　Bladder（過活動膀胱）
　[２]POC：Proof　of　Concept（臨床での有効性確認）


＜社会的価値の創造、コーポレート・ガバナンス＞
　●自社の強みやパートナーシップを活用し、Access　to　Health（保健医療のアクセス問題）の課題解決に取り組み、社会課題の解決と企業価値の長期的な向上の両立を目指します。

　●株主をはじめ全てのステークホルダーからの期待と要請を踏まえ、透明性、客観性、機動性など統治機能の一層の向上を目指します。


＜計数ガイダンス＞

　ROE[注]：
　　１５％以上
　　本経営計画期間以降もこの水準の維持・向上に取り組む

　売上高：年平均成長率（％）は１桁台半ば

　コア営業利益：売上を上回る年平均成長率

　研究開発費：対売上高　１７％　以上

　コアEPS：コア営業利益を上回る年平均成長率

　DOE：６％以上

　[注]ROEはIFRSフルベース
　　ROE：親会社所有者帰属持分当期純利益率
　　DOE：親会社所有者帰属持分配当率


＜資本政策＞
　持続的な企業価値の向上と、それを通じた株主還元の向上に積極的に取り組んでいきます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めていきます。これに加えて自己株式取得を必要に応じ機動的に実施し、資本効率と還元水準の更なる向上を図ります。


＜戦略＞に関する補足説明

（１）製品価値の最大化
　　過活動膀胱（OAB１））治療剤ベタニス／ミラベトリック／ベットミガ、前立腺がん治療剤XTANDI／イクスタンジなどの新製品群が、本経営計画期間中及びOAB治療剤ベシケア、抗がん剤タルセバなどの特許満了後の中長期的な成長をけん引していきます。

　●泌尿器OABフランチャイズ：
　　ベタニス／ミラベトリック／ベットミガの早期の市場浸透を図り、OABフランチャイズの価値最大化を図ります（売上年平均成長率（％）１桁台後半）。

　●がん領域フランチャイズ：
　　XTANDI／イクスタンジの化学療法前適応での売上を早期に最大化するとともに、更なる適応拡大により長期的な成長につなげます（売上年平均成長率（％）２０台半ば）。

　●その他領域：
　　移植領域：リーダーシップポジションの維持を目指します（タクロリムス製品売上年平均成長率（％）マイナス１桁台前半）。
その他領域：各地域での新製品に優先的に資源を配分し、早期の売上拡大を図ります。

（２）イノベーションの創出

　〔１〕新薬創出力の強化
　　ネットワーク型研究体制のもと先端科学を積極的に取り込み、FASTEN（FAST−Ex−NEW−standard）により研究開発プロセスの複線化を推進することで、経営資源の最適配分による効率的な新薬の創出を目指します。
　　なお、アンメットニーズの変化、最新の研究開発の実行可能性の観点を踏まえ、重点研究疾患領域を以下の通り選定しました。
　　　・既存疾患領域：泌尿器、がん、免疫科学、腎疾患、神経科学
　　　・新疾患領域：筋疾患、眼科
　　既存疾患領域別の開発プロジェクト及び研究アプローチは以下の通りです。

　●泌尿器：ベシケア、ミラベトリック／ベットミガの小児適応や併用療法（EB１７８）の開発を推進することによりOABフランチャイズの価値を最大化するとともに、次世代フランチャイズ構築に向け、アンメットニーズの高い新たな泌尿器疾患（夜間多尿、腹圧性尿失禁など）に展開することで、泌尿器領域のリーダーシップポジションの維持・強化を図ります。

　●がん：エンザルタミドの追加適応症及び、ASP２２１５（FLT３／AXL阻害剤）、ASP８２７３（変異選択的非可逆EGFR阻害剤）の開発を推進するとともに、長期的にはがん免疫、がん代謝などへの研究アプローチを中心に据え、競合他社とは異なるターゲットや治療手段を積極的に外部より取り入れながら競争優位性の高いパイプラインの構築を目指します。

　●免疫科学：ASP０１５K（JAK阻害剤）の開発を推進すると同時に、最先端の科学的発見を取り入れた治療手段を用いてアレルギーや複数の自己免疫疾患の原因療法、根治を目指した薬剤の創製に取り組みます。更に京都大学とのAKプロジェクトを活用し複数の免疫疾患に共通する新規創薬ターゲットを探求します。

　●腎疾患：後期開発品ロキサデュスタットの経口赤血球増多剤としての一番手上市及び初期開発化合物であるASP８２３２などの有効性を見極めます。

　●神経科学：アンメットニーズの高い精神・神経疾患、疼痛に対して新規メカニズムで挑戦する初期開発化合物のPOC取得を目指します。


　〔２〕新たな機会への挑戦
　　筋疾患や眼科等の新疾患領域や、再生医療や次世代型ワクチン等の新技術・新治療手段での創薬研究などの新たな機会へも挑戦します。外部提携を活用しながら新たなイノベーションへの投資を通じて長期的な成長に繋げていきます。

　●新疾患領域においては、筋疾患・眼科領域を新規重点研究領域として育成するとともに、将来の重点研究領域の更なる探索を行っていきます。
　●次世代型ワクチンについては、サイトメガロウイルス感染予防のASP０１１３、スギ花粉症をターゲットとしたASP４０７０／JRC−LAMP−vax、呼吸器合胞体ウイルス感染予防ワクチンの開発を進めます。
　●新治療手段として細胞医療の研究を本格的に推進していきます。循環器疾患、がんなどでアンメットニーズの高い疾患を標的にします。幹細胞製剤については、数年以内の最初の臨床試験開始を目指します。
　●新たな事業機会として、自社の強みを生かした医療ソリューション（例、抗体・イメージング技術を活用した正確な早期診断法、手術時間短縮・治療成績向上に貢献するプロダクト）にも挑戦していきます。
　●開発中止品や上市品に対し、新たな科学的アプローチを加えることや新規技術を活用することにより、新規適応症開発を展開していきます。


以上


＜今後の予定＞
　●２０１５年５月２７日（水）１３時３０分〜１５時に、証券アナリスト・機関投資家・報道機関向けに本経営計画の説明会を開催する予定です。
　●その模様及び説明内容（音声）については、当日使用する資料とともに、開催後速やかに当社ホームページに掲載する予定です。

　注意事項：
　　資料中の業績見通し数値及び開発見通し等の将来に関する記述は、当社が現在得ている情報をもとになされた当社の判断に基づくものであり、既知あるいは未知のリスクや不確実な要素を含んでいます。実際の結果は、様々な要因によりこれら将来に関する記述内容とは大きく異なる可能性があることをご承知おきください。そのような要因の例としては、経済情勢の悪化、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、新製品上市の遅延、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的財産権に対する侵害、重大な訴訟における不利な判決等がありますが、これらに限定されるものではありません。　医薬品（開発中のものを含む）に関する情報