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東京商工リサーチ、「東北6県への進出企業」調査結果を発表

2015-03-03

〔特別企画〕
「東北6県への進出企業」調査
〜関東からの進出が7割、宮城県に4割が集中〜


 2011年3月11日の東日本大震災発生以降、震災復興に向けて交通インフラ整備や住宅建設も進み、企業が営業所や店舗を設置するなど東北地区へ多くの企業が進出した。東日本大震災発生から4年後の東北地区への企業の進出状況を調査した。東北6県以外に本社を置き、東北6県に事業所を設置する企業は1万5,611社で、進出企業の事業所総数は4万700件にのぼった。前回の2011年調査より企業数・事業所数ともに2ケタの増加率となった。進出企業の7割は関東に本社を置き、県別事業所数では宮城県が全事業所の4割を占めた。産業別では前回調査に続き製造業、卸売業の進出企業が多かったが、増加率では建設業がトップで、前回調査と比べて約5割増になった。
 震災復興の進捗に合わせ、企業が東北地区への事業進出を加速させていることが裏付けられた。

 ※本調査は東京商工リサーチの企業データベース(269万社)から、東北6県以外に本社を置き、東北6県に事業所を設置する企業を抽出し分析した。調査は2011年3月に続き2回目。


■関東からの進出が7割、宮城県に4割が集中
 東北6県以外に本社を置き、東北6県に支店、営業所、工場などの事業所を設置した企業は1万5,611社で、進出企業の東北6県の事業所総数は4万700件だった。前回調査(1万3,553社)より進出企業数で2,058社(15.1%増)、事業所数で4,645件(12.8%増)増加した。進出企業の地区別トップは関東で1万1,111社(構成比71.1%)、事業所数も3万320件(同74.4%)と、社数・事業所数ともに他地区を圧倒した。県別事業所数では宮城県が1万6,262件(同39.9%)で前回調査から2,345件(16.8%増)増加。東北でも経済基盤の中心である仙台市への事業所進出を主体に、宮城県内だけで東北6県に進出する企業の全事業所の4割を占めた。

 *表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照


■産業別 製造業が3割、建設業が5割増
 進出企業の産業別では、最多が製造業の4,636社(構成比29.7%)、次いでサービス業他3,212社(同20.6%)、卸売業3,196社(同20.5%)の順だった。東北地区は自動車、半導体などの工場集積地で、協力企業を含め製造業が多く集まり、全産業の3割を占めた。サービス業他は非営利団体(199社で2011年比123.5%増)や、労働者派遣業(198社で同33.7%増)の増加が目立ち、一方、卸売業は産業機器、電気機器、建築材料卸売業が上位を占めた。2012年7月にトヨタ自動車の系列部品メーカーが合併して新会社を発足し、宮城県内に大型工場を新設。復興支援に積極的に取り組むなど、製造業が牽引して全産業で事業所数が2011年より増加した。2011年比で増加率トップは建設業の48.5%増(1,555社で2011年比508社増)で、道路建設や各種インフラ整備に向けた復興関連工事が建設業の事業所進出を後押しした。

 *表・グラフ資料は添付の関連資料「表・グラフ資料1」を参照


■業種別 卸売業が上位独占
 業種別では、トップが産業機械器具卸売業の514社(構成比3.2%)で、次いで電気機械器具卸売業399社(同2.5%)、他に分類されない卸売業394社(同2.5%)の順だった。卸売業が上位を占めて2011年比で全て5%を超える増加率を見せた。2011年比で増加率が最も高かった業種は、鉄鋼製品卸売業で167.8%増(56→150社)、次いで他に分類されない非営利的団体123.5%増(89→199社)、土木工事業80.1%増(146→263社)だった。工場建屋や自動車用など鉄鋼製品を取り扱う企業が増え、また震災復興支援を目的としたNPO法人の増加も際立った。このほか、建築工事業56.1%増(105→164社)、土木建築サービス業42.7%増(269→384社)など、震災復興に向けた土木建築工事の増加が建設関連業種の増加を後押しした。

 *表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照


■店舗が最多、病院・老人福祉施設が6割増
 進出企業の事業所区分別では、最多が店舗で1万1,099件(構成比27.3%)、営業所9,853件(同24.2%)、支社店9,147件(同22.5%)の順。店舗は2011年(8,912件)から2,187件(24.5%増)増加し、2011年に最多だった営業所(9,093件)の増加数(760件)を大幅に上回った。東日本大震災以降、時間の経過とともに交通インフラや住宅整備が進み、住環境が徐々に落ち着きを取り戻すなか、住民生活と直結する店舗の出店が加速した。また、病院・老人福祉施設の増加も顕著で、2011年と比べて約6割増だった。
 一方、2011年から事業所が減少したなかには本社機構が34.5%減(217→142件)、駅・飛行場が66.6%減(3→1件)などがあり、甚大な被害をもたらした東日本大震災以降に東北地区から本社機構や事務センターを移転したり、航空基地などの施設がなくなったケースもあった。

 *表・グラフ資料は添付の関連資料「表・グラフ資料2」を参照


■まとめ
 東日本大震災から間もなく満4年を経過するが、関東をはじめ全国各地から東北地区への事業所進出が相次いだ。進出企業数は1万5,611社に達し、事業所数は4年前と比べて12.8%増の4万件を超えた。
 住民生活に直結する店舗や企業活動の最前線である営業所、支社店など、民間活力が東北地区における住民の雇用や生活を支え、震災復興の着実な礎となっている。また、自治体による企業誘致も積極的で、岩手県大槌町では2013年3月に奈良県の冷凍食品メーカーの工場誘致に成功し、大槌町では「水産業の再生と雇用者の創出も期待できる」として2015年中の操業が予定されている。東北地区への事業進出は、地域産業の育成や雇用の創出など、震災復興の原動力となっている。震災復興のためにも企業の健全かつ継続的な事業活動が求められる。



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