イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

ノバルティス、「スタレボ配合錠 L50、L100」の製造販売承認を取得

2014-07-10

「スタレボ(R)配合錠 L50、L100」の製造販売承認を取得
服薬錠数を減らして患者さんの服薬時の負担を軽減する
レボドパ、カルビドパ、エンタカポンの配合剤


 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は、本日、ドパミンの前駆体(*1)であるレボドパ、ドパ脱炭酸酵素阻害剤(DCI)であるカルビドパ水和物、および末梢COMT(カテコール−O−メチル基転移酵素)阻害剤であるエンタカポンの3成分を1剤に配合した「スタレボ(R)配合錠 L50、L100」(以下「スタレボ」)の製造販売承認を取得しました。本剤の適応症は、「パーキンソン病〔レボドパ・カルビドパ投与において症状の日内変動(wearing−off現象(*2))が認められる場合〕」です。

 パーキンソン病は、50〜60歳代で発症することの多い、中脳黒質のドパミン産生神経細胞が変性・脱落する進行性の神経変性疾患で、国内における患者数は約15万〜18万人と推定されています(1)。発症原因は不明ですが、脳内でのドパミンの不足がさまざまな運動障害を引き起こすと考えられており、主な症状は静止時振戦、筋固縮、無動、および姿勢反射障害です。

 パーキンソン病の治療ではドパミンを補充するレボドパの経口投与が中心であり、レボドパの末梢での代謝を阻害し、より効率的にレボドパを脳内へ移行させる目的で、レボドパ・DCI配合剤(*3)が広く用いられています。しかしながら、疾患の進行に伴いレボドパの薬効持続時間(on時間)が短縮し、次の服薬前に効果が消失するwearing off現象が認められ、患者さんの日常生活に支障を来たすこともあります。この短縮したレボドパの薬効持続時間を延長させる目的で、もうひとつの末梢でのレボドパ代謝酵素であるCOMTを阻害するエンタカポンをレボドパ・DCI配合剤と併用する治療が開発され、この組み合わせは、wearing off現象を改善する治療として、「パーキンソン病治療ガイドライン2011」においても推奨されています(1)。

 一方で、パーキンソン病の患者さんでは嚥下機能の低下がみられ、特に疾患が進行した患者さんでは経口治療薬の嚥下負担がさらに増します(2)。このような患者さんが、wearing off現象に対する治療のためにレボドパ・DCI配合剤の頻回投与やエンタカポンの併用療法を受ける場合には、パーキンソン病治療薬の服薬回数と服用する薬剤錠数が増加することになります。

 「スタレボ」は、DCIであるカルビドパとCOMT阻害剤という2種類のレボドパ代謝酵素を阻害する成分を含む新たなレボドパ配合剤です。「スタレボ」は、wearing off現象の認められるパーキンソン病の患者さんが、1回あたりの治療で、レボドパ・カルビドパ配合剤とエンタカポンを併用した場合と同等の治療効果を、「スタレボ」1剤で得られるよう開発されました。「スタレボ」は、1回のwearing off現象に対する服薬錠数を確実に減らすことで患者さんの服薬時の負担を軽減するとともに、服薬管理がより簡便となることから、さらなる服薬コンプライアンスの向上が期待されます(3)。さらに、レボドパ・DCI配合剤とエンタカポンを併用している患者さんの一部に、エンタカポンをレボドパ・DCI配合剤と併用しないときがあることも報告されています(4)。この場合、エンタカポンの治療効果は発揮されませんが、「スタレボ」ではレボドパ、カルビドパとエンタカポンによる治療が確実に行えるようになります。

 「スタレボ」は、フィンランドのオリオン・ファーマ社により創製・開発され、ノバルティス ファーマ社(スイス)が導入した薬剤です。海外ではStalevo(R)の製品名で2003年に米国で最初に承認されて以降、世界92カ国で承認されています(2013年10月現在)。国内ではノバルティス ファーマ株式会社が開発を行いました。

 なお「スタレボ」は、2008年より国内で開発が始められ、その後、2012年に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果に基づき厚生労働省より開発要請を受けました。


<エンタカポン(製品名:「コムタン(R)」)について>
 エンタカポンは、創製・開発元であるフィンランドのオリオン・ファーマ社よりノバルティス ファーマ社(スイス)が導入した薬剤です。海外ではCOMTANRとして、1998年にフランス、オーストリアで発売以来、アメリカ、スイスなど世界70カ国以上でパーキンソン病におけるwearing−off現象の改善を目的に使用され、多くのパーキンソン病患者さんの日常生活動作(ADL)の改善ならびにQOLの向上に貢献しています。

 日本では「コムタン(R)錠100mg」の製品名で、2007年4月より、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジドとの併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing−off現象)の改善を適応として発売されています。

 *1 前駆物質:代謝され薬効を発揮する前の物質のことを意味します。ドパミンは血液脳関門を通過できないため、通過できるようドパミンを化学的に修飾したレボドパが治療薬として用いられています。
 *2 wearing−off現象:レボドパの薬効時間が短縮し、レボドパ服用後数時間を経過するとレボドパの効果が消退する現象を言います。レボドパの効果が現れている“on”時間と、レボドパの効果が切れている“off”時間をレボドパの服薬時間に応じて1日に何度も繰り返すことが特徴です。レボドパ・DCI配合剤治療患者さんの30%にみられ、レボドパ・DCI治療歴が長いほど発現頻度が高くなるとの報告があります(5)。
 *3 レボドパ・DCI配合剤:DCIはドパ脱炭酸酵素阻害剤のことで、COMTのほかに末梢でレボドパを代謝するもう一つの酵素(ドパ脱炭酸酵素)の働きを阻害する薬剤です。配合剤にはレボドパ・カルビドパまたはレボドパ・ベンセラジドの組み合わせがあります。


 ※以下、参考資料などリリース詳細は添付の関連資料を参照



Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版