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古河機械金属、魚用放射線測定器の試験運用を岩手・宮古市魚市場で開始
魚用放射線測定器『GAMMASPOTTER−F』の試験運用開始について
−マダラを対象魚として岩手県宮古市魚市場でスタート−
当社(社長:宮川 尚久)は、魚用非破壊放射線測定器『GAMMASPOTTER−F(ガンマスポッターF)』を開発し、マダラを対象魚とした試験運用を岩手県宮古市魚市場にて開始しました。
魚用非破壊放射線測定器『GAMMASPOTTER−F』は、当社が開発した高密度シンチレータ結晶であるGAGG(ガドリニウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット)結晶を用いた放射線検出器を搭載しており、魚の放射線量を非破壊で測定することができます。
測定方法は、上下に4個ずつGAGG結晶を配置した放射線検出器の間をベルトコンベアで対象物である魚を通過させて測定しますが、魚市場で一般的に使われている発砲スチロールの魚箱に入れたまま、箱単位で測定できることが大きな特長です。
従来、魚の放射性セシウムの検査は、まず魚を三枚に捌き、可食部(筋肉部)をミンチ状に均一にしてから、マリネリ容器に充填して行っています。魚を姿のまま、非破壊での検査ができない上に、検査結果が判明するまでに時間を要するため、必要な情報をセリ前に公表するのは困難でした。また、検査用に2リットルのサンプルが必要となるため、魚を捌き必要量を確保する労力も大きな負担となっていました。
本測定器では、非破壊かつ箱単位で測定が可能なことから、魚を捌く必要はなく、測定時間は重量や周辺環境によって変わりますが、例えばマダラ10kg(4尾入)の場合は90秒程度で測定することが可能となり、従来の方法に比べ、時間と労力の大幅な削減が期待されております。
当社は高度衛生管理のHACCP(※)対応に取組んでいる宮古漁業協同組合のご協力を得ながらマダラの放射線セシウム濃度を非破壊で測定する装置の開発に向け実証試験を行ってまいりました。マダラは部位により放射性セシウム濃度が異なることで測定誤差が出やすいなどの課題がありましたが、検証を重ねた結果、放射性セシウム濃度の測定が可能となり、宮古市魚市場にて試験運用を開始しました。
マダラ漁が本格化する冬に向けて試験運用を行い、震災からの漁業復活に貢献したいと考えております。
※食品の原料の受け入れから製造・出荷までのすべての工程において、危害の発生を防止するための重要ポイントを継続的に監視・記録する衛生管理手法。
《主な特長》
1.非破壊検査
・魚をミンチにすることなく魚姿のまま、箱単位での検査が可能
(検査対象の魚種魚体により測定器のカスタマイズが必要になる場合があります)
2.当社開発のシンチレータ結晶(GAGG/ガドリニウム_アルミニウム_ガリウム_ガーネット)を採用
・結晶密度が高く放射線の検出効率が良い2インチの結晶を上下に8個使用することで高性能のスキャニング検査が可能
・潮解性がないため水分・湿気に強く、耐久性に優れている
・光検出器のAPD(フォトダイオード)採用により小型・軽量化を実現(本体重量250kg)
3.独自の温度補償回路及び半導体光検出器の採用
・0℃から+40℃の温度環境下で正確に測定が可能
(コンベア等機械部の凍結が無く、作動する環境であれば、−20℃から+40℃の温度環境下で測定可能です)
4.概要仕様
*添付の関連資料を参照
*参考画像は添付の関連資料を参照