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野村総研、2015年度までの情報分析技術の進展など予測した「ITロードマップ」を発表

2010-12-02

2015年度までのITロードマップ(情報分析技術編)を発表

〜データから企業の新たな競争力を創出する〜


 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、2015年度までの情報分析技術の進展と、そのインパクトを予測した「ITロードマップ」(※1)をとりまとめました。情報分析技術の進化により、従来よりも大量のデータを高速に分析できるようになったことで、今後、企業での情報の利活用が大きく変化することが予想されます。

 現在、情報分析の分野では、3つの変化が起きています。第1の変化は、大手ITベンダーがデータベースソフトウェアハードウェアを統合した製品を提供しはじめたために、分析対象のデータを蓄積するデータウェアハウスの導入が容易になったことです。第2は、クラウド・コンピューティング(※2)(以下「クラウド」)などの新しい技術を活用することにより、従来は実現が難しかった、大量のデータを分析する環境が整ってきていることです。第3は、センサーの発達によって、家電や組み込みシステム(※3)からリアルタイムに収集できるデータが増えていることです。このデータを活用するために、よりリアルタイム性の高い分析に優れた技術が進化しつつあります。

 今後、情報分析技術を活用することで、個々の顧客の購買特性を詳細に分析して、個人にあった適切な提案を行うことや、センサーデータを分析して交通渋滞の解消やエネルギー利用を効率化するといったことが実現できるようになります。情報分析技術は高度なITサービスや新しいアプリケーションを生み出す原動力になっていくと考えられます。

 NRIでは、今後の情報分析技術は、具体的に以下のように展開していくと予想しています。


<情報分析技術のロードマップ> 
 ※ 関連資料参照 


 ※ DWHアプライアンス:データウェアハウスアプライアンス。 
 ※ BI:「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略。データを系統的に蓄積・分類・検索・分析・加工して、ビジネス上の各種の意思決定に活用する仕組み。 
 ※ OLTP:オンライントランザクション処理。入出金処理のように、一貫した状態のデータベースを維持する必要のある情報処理。ここではOLTP向けデータベースの意味で用いている。 
 ※ CEP:複合イベント処理。時系列に取得したデータに対しルールに基づきイベントを推論する技術。 


■2010〜2011年度:クラウド型分析基盤活用の黎明期 
 大手ITベンダーは、データベースとハードウェアとがあらかじめ統合された、データウェアハウスアプライアンスを相次いで提供し始めています。ユーザーはデータウェアハウスアプライアンスを利用することにより、情報分析システムの構築期間を短縮でき、迅速な導入が可能になります。さらにデータベースとハードウェアとが統合されることで運用業務が省力化され、分析業務に注力しやすくなります。

 また、クラウド・コンピューティングで用いられている、安価なハードウェアを使った分散処理技術が、大量データの分析に活用されはじめます。商用のデータベース製品市場でも、「アナリティック・データベース」と呼ばれる大量データの分析向けの製品が拡大しつつあります。

 これらの分析基盤技術は、レコメンドエンジン(※4)や不正検知のように、分析結果に基づいて自動的に処理を行う分析アプリケーションから活用されはじめます。


■2012〜2013年度:クラウド型分析基盤活用の発展期

 大規模データを活用した分析アプリケーションが広がりはじめる 
多くの企業が、数テラバイト〜数十テラバイトのデータをデータウェアハウスに蓄積していると予想されます。大量のデータを蓄積するだけではなく、活用して競争力を獲得するために、分析アプリケーションを活用する企業が増えると考えられます。

 データウェアハウスアプライアンスも、統合する領域を広げ、ビジネス・インテリジェンス・ソフトウェアや大規模データ分析技術などを取り込むと予想されます。その結果企業では、大量のデータを分析し、意思決定支援や分析アプリケーションに活用することが容易になります。


■2014〜2015年度:リアルタイム分析技術の発展期 

 データウェアハウスアプライアンスの統合領域の拡大、大量データの蓄積と分析に加え、リアルタイム性の高い情報分析へのニーズが高まると予測されます。

 センサーネットワークが発達し、収集されるセンサーデータが増えるにつれ、リアルタイム性の高いデータ分析基盤である「データストリーム処理技術」が活用され始めます。分析対象も、企業内に蓄積された業務データやインターネット上のデータから、センサーを備えた機器など実体のあるモノへと広がります。情報分析技術は、交通、物流、エネルギーなど、社会インフラを最適化するスマートシティの発展に貢献していくと考えられます。

 なお、情報分析技術以外のITロードマップに関しては、東洋経済新報社より12月24日(予定)に発売される単行本『ITロードマップ2011年版〜情報通信技術は5年後こう変わる!〜』に掲載される予定です。


 (※1) ITロードマップ: NRI技術調査部が半期ごとに公表している、5年先までの情報技術の動向を予測した技術見通し。 
 (※2) クラウド・コンピューティング:抽象化された巨大なITリソースを、インターネットを通じて、サービスとして提供(利用)するというコンピュータの形態。 
 (※3) 組み込みシステム:特定の機能を実現するために、家電製品や機械等に組み込まれるコンピュータシステム。 
 (※4) レコメンドエンジン:電子商取引サイトなどで、ユーザーにおすすめの製品などを推薦するシステム。 


 ※ 参考資料は、関連資料参照

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