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富士通研究所、場所に応じてスマート端末に最適なサービスを提供する基盤技術を開発

2012-05-19

場所に応じてスマート端末に最適なサービスを提供する基盤技術を開発



 株式会社富士通研究所(注1)は、スマートフォンやタブレットなどのスマート端末とクラウドを融合し、場所に応じて最適なサービス(アプリケーションや情報)を提供するロケーションアウェアサービス(注2)基盤技術を開発しました。

 スマート端末で利用できるクラウドサービスが急速に増える一方で、ユーザーにとっては必要なサービスを選び必要な情報にアクセスするための負担が増大しています。従来、時々刻々変化するユーザーの場所や状況に応じてタイムリーにサービスを切り替えていくような複雑なロケーションアウェアサービスを各企業が独自に開発するには、測位機能や場所の判定機能、場所に応じたサービスの配信機能などの各ソフトウェアを個別に開発する必要がありました。また、測位機能については、屋内外を網羅する単一の技術は確立されていませんでした。

 そこで今回、スマート端末からのセンシング情報に基づいてユーザーの場所を判定し、その場所に応じてあらかじめ登録したサービスを端末に送り届けるためのロケーションアウェアサービス基盤技術を開発しました。また、状況に応じてさまざまな測位技術を使い分け、測位した位置(座標)を、もう一段抽象化した場所(あらかじめ定義した部屋などの領域)情報に変換するロケーション管理技術を開発しました。

 本技術により、開発者は上位サービスの開発に専念することができ、またユーザーにとっては、さまざまなシーンでロケーションアウェアサービスを活用することが可能となります。たとえば、医療現場では、看護師が病室に入った際に、その病室の患者情報や必要な処置などをスマート端末に提示することで、看護業務の効率や確実性を向上させることが可能になります。


 本技術は、5月17日(木曜日)、18日(金曜日)の2日間、東京国際フォーラムにて開催される「富士通フォーラム2012」に出展します(富士通フォーラム2012の詳細についてはこちら)。
 http://pr.fujitsu.com/jp/news/2012/04/2-2.html


 ※図1 ロケーションアウェアサービスのイメージは添付の関連資料を参照


<開発の背景>
 近年、スマートフォンやタブレットなどのスマート端末や、モバイルブロードバンドの急速な普及により、いつでもどこでもスマート端末を携帯し、スマート端末を通じてさまざまなサービス(アプリケーションや情報)を入手できる環境が整い始めています。しかし、スマート端末で利用できるサービスが増大する一方で、ユーザーにとっては必要なサービスにアクセスするための負担が増えています。そこで、ITシステムがユーザーのいる場所や状況を認識し、そこで必要となるサービスを提示することで人への負担を軽減するロケーションアウェアサービス(図1)へのニーズが高まっています。

<課題>
 無線ネットワークを介してスマート端末とクラウドを接続し、時々刻々変化するユーザーの場所や状況に応じてサービスを切り替えていく統合システムを、それぞれの企業が独自に開発するためには、センサーに基づく測位機能や場所の判定機能、場所に応じたサービスの配信機能などのさまざまなソフトウェアを、それぞれ開発する必要がありました。

 また、人の重要な活動場所である屋内(オフィス・公共建物・家庭など)でも屋外同様に場所や状況に応じたサービス提供が必要となりますが、屋内ではGPSの電波が受信できないなど、位置の把握が十分にはできず、きめ細かいサービス提供ができませんでした。

<開発技術>
 スマート端末からのセンシング情報に基づいてユーザーの場所を判定し、あらかじめ登録したサービスを端末に送り届けるために必要な一連のサービス基盤技術を開発しました。開発した技術の特長は以下の通りです。

1.サービス開発が容易なクラウド型ロケーションアウェアサービス基盤技術
  端末からのセンシング情報をクラウドに集約し、あらかじめ定義した場所情報(領域情報)と比較して場所への出入りを判定(場所判定)します。この情報に基づいてあらかじめ定義したサービスを選択し、端末に対して能動的に配信・実行(サービス配信)する基本機能群を開発しました。これにより、無線ネットワークを介してスマート端末とクラウドとを接続し、時々刻々変化するユーザーの場所や状況に応じてタイムリーにサービスを切り替えていく統合システムを、端末や通信のレイヤーを意識することなく構築できます。端末とクラウドの接続に関しては、大量に発生するセンシングデータをそのままクラウドに届けるのではなく、必要なデータだけを効率的に届けます。さらに不安定な無線ネットワーク下での利用に備え、ネットワークが切れた場合にデータを一時的に保管し、再接続時に最新の情報を優先的に送信する機能(スマートイベントバス)を備えています。


 ※図2 ロケーションアウェアサービス基盤のアーキテクチャーは添付の関連資料を参照


2.さまざまな測位エンジンをプラグインできるロケーション管理技術
  近年、屋外でのGPSを活用した測位技術に加え、屋内での測位を実現する手法が開発されています。GPS信号を屋内に拡張する技術(IMES:Indoor Messaging System)、無線LANのアクセスポイントを活用する技術(Wi−Fi測位)、端末が持つ加速度・ジャイロ・地磁気などのセンサーを活用した慣性航法技術など、さまざまな手法が提案されていますが、どんな場所でも安定に測位する単一の技術はまだ確立されていません。

  そこで、状況に応じてこれらの測位エンジンを使い分けるとともに、測位した位置(座標)を、もう一段抽象化した場所(あらかじめ定義した部屋などの領域)への出入り情報に変換するロケーション管理技術を開発しました。これにより、位置が分かるさまざまなデバイスやセンサーの情報を組み合わせることが可能となり、また、測位技術とは独立して上位のサービスを開発することが可能となります。


 ※図3 ロケーション管理技術は添付の関連資料を参照


<効果>
 本技術により、各企業は、さまざまな測位技術を状況に応じて使い分けながら、測位技術とは独立したサービスの開発が可能となり、さまざまなシーンでロケーションアウェアサービスを活用することが可能となります。

 たとえば、医療現場では、看護師が病室に入った際に、その病室の患者情報や必要な処置などをスマート端末に提示することで、看護業務の効率や確実性を向上させることが可能になります。また、自社オフィスでは業務アプリケーションだけの利用、移動中には業務データや顧客情報は削除、顧客先では顧客データにアクセスできるといった、モバイル業務環境を提供できます。

<今後>
 本技術は、位置情報を活用した新しいクラウドサービス「SPATIOWL」への搭載を進め、2013年以降、順次、実用化する予定です。また、当社が提唱している“ヒューマンセントリックインテリジェントソサエティ”の実現に向けて、今回開発したサービス基盤の高度化に向けた研究・開発を進める予定です。

<商標について>
 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上


「注釈」
 注1 株式会社富士通研究所:
    代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。

 注2 ロケーションアウェアサービス:
    利用者の場所(ロケーション)に応じて、情報などを提供するサービス。

「関連リンク」
 ・位置情報を活用した新しいサービス「SPATIOWL(スペーシオウル)」を提供開始(2011年6月14日プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2011/06/14.html
 ・時間や場所に応じて必要なアプリケーションが自動配信・自動実行される情報端末技術を開発(2011年7月19日プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2011/07/19-1.html

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