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古河電工、高出力・狭線幅のフルバンドチューナブルレーザ及びITLAの量産を開始
超高速100Gbps光デジタルコヒーレント伝送向け高出力・狭線幅のフルバンドチューナブルレーザ及びITLAの量産を開始
当社は、2012年以降世界で本格的な導入が見込まれる毎秒100ギガビット(以下、100Gbps)の超高速光デジタルコヒーレント伝送装置のキー部品である、高出力・狭線幅のフルバンドチューナブルレーザ及びITLA(Integrable Tunable Laser Assembly)を開発し、量産を開始しました。
3月6日より米国・カリフォルニア州・ロサンゼルスにて開催される世界最大の通信関連の国際会議・展示会「OFC/NFOEC2012」にて、本製品の展示を行います。
<製品化の背景>
近年、スマートフォンの普及によるワイヤレスバックボーンの拡大や、クラウドコンピューティング、動画配信、ソーシャルネットワークの普及などにより、通信トラフィックが急激に増加しています。
このようなトラフィックの増加に対応するために、従来の光波長多重化(〜88ch)に加え、1波長あたりの伝送速度を40Gbpsから100Gbpsに高速化することで、伝送容量の拡大を実現する動きが活発化しています。
その際、従来の光強度をON/OFFする2値強度変調方式で100Gbpsの超高速光伝送を行なうと、伝送路で生じる信号劣化、雑音の影響を大きく受け、信号を正確に伝送することができません。
そこで、100Gbpsの超高速光伝送には、光の強度(ON/OFF)ではなく、光の位相(波の状態)を用いることで、信号劣化に強く雑音の影響も受けにくい「光デジタルコヒーレント方式」と、伝送速度を抑えられる「多値変調方式」を採用することが、OIF(注1)にて標準化されています。
本方式は、一部の通信事業者では既に採用されており、2012年以降本格的な導入が見込まれています。また、100Gbpsにとどまらず、40Gbpsの用途にも既に幅広く導入されています。
<製品の内容>
光デジタルコヒーレント方式では、位相変調された信号光に受信側で局発光を干渉させることで、強度変調に復調します。信号復調時のエラーを抑えるには、高い干渉性が求められるため、発振スペクトル幅の狭い(狭線幅の)信号光および局発光が必要となります。
当社は光ネットワークシステム向けの信号光源として実績を積んできたDFBレーザアレイ型フルバンドチューナブルレーザの技術を生かし、光デジタルコヒーレント方式の信号光および局発光用に優れた特性を発揮する、高出力(40mW以上)で狭線幅(500kHz以下)のフルバンドチューナブルレーザを開発しました。
その後、狭線幅特性を安定的に得られるようにDFBレーザのパラメーターを最適化し、量産を開始しました。
また、本レーザを制御基板上に搭載しOIFにて定められ標準規格(通信プロトコル、外形寸法、光―電気特性)に準拠したITLAも併せて開発し、量産を開始しました。
本ITLAにおいては、フルバンドチューナブルレーザの高出力・狭線幅の特性に最適され、且つ、OIFにて標準されている規格に対応しており、光通信機器への導入が容易になります。
今後生産量を拡大し、増大する需要に対応していきます。
*参考画像・「ITLAの主な仕様」は、添付の関連資料を参照
※フルバンドチューナブルレーザの光学特性は、ITLAのそれに準じます。
(注1)OIF:Optical Internetworking Forum光波長分割多重技術を使った高速データ通信を推進する業界団体。