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奥村組、ボックスカルバートの耐震補強工事の機械化施工技術を開発

2011-11-28

ボックスカルバートの耐震補強工事における機械化施工技術を開発

−施工性と安全性を実証−


 株式会社奥村組(社長:奥村太加典)は、ボックスカルバート(鉄筋コンクリート地下函体構造物)の耐震補強工事において、管やケーブル等が布設され、作業スペースに制約がある場合にその効果を特に発揮する機械化施工技術を開発し、このたび実適用の機会を得て、施工性と安全性を実証しました。

 近年、大規模地震の頻発にともない重要地下構造物の耐震補強の必要性が増しており、中でも構造物がボックスカルバートの場合、せん断耐力を向上させるべく、壁部に水平孔を削孔、その中に鉄筋を挿入のうえ隙間をモルタル充填することで補強する工法が数多く採用されています。

 しかしながら、供用中の地下構造物では、壁部に布設されている管やケーブル等が補強に際して支障となることが多く、移設を要するような場合には、工事費の増加と工期の長期化につながるため、こうした問題に対処できる施工方法の確立が求められてきました。

 このようなニーズのもと、奥村組では、狭隘な空間でも効率的かつ安全に補強工事が進められる、自動ウォータジェット切削機と遠隔操作による鉄筋挿入装置を用いた機械化施工技術を開発しました。

 本件技術は、自動ウォータジェット切削機※1によりボックスカルバートの壁部に縦長のスリットを形成、遠隔操作ができる専用の鉄筋挿入装置※2を用いて、既設の鉄筋を避けながらスリット内に補強鉄筋を特殊スペーサ※3と一体化(鉄筋組付けユニット)させながら多段配置していくもので、最終的には、鋼製型枠を設置(写真5)し、スリット内に下部より無収縮のモルタルを密実に充填することで完了します(図3)。

 今回の機械化施工技術により、以下の効果を確認しています。

(1)自動ウォータジェット切削機の採用により、手動によるウォータジェット切削と比べ、
 ・スリットの形成時間を2割程度短縮
 ・最小限の大きさで内面が平滑なスリットを精度良く形成できるため、スリット内に充填するモルタルの量を大幅に低減

(2)鉄筋挿入装置および鉄筋組付けユニットの採用により、従来の手作業に比べ、
 ・補強鉄筋の設置時間を2割程度短縮
 ・大径の補強鉄筋の設置も容易

(3)自動運転や遠隔操作による狭隘な空間における作業者の安全性の向上と省力化


 今後は、地下鉄や道路トンネルなどの各種地下構造物の耐震補強工事に積極的に提案し、展開を図っていく所存です。


※1 自動ウォータジェット切削機(写真2、図1)
 管やケーブルなどを避けてコアドリルにより壁部に削孔した水平孔(写真1)にウォータジェットノズルを挿入し、下方あるいは上方へ向けた状態で超高圧水を噴射させ、自動で前後方向に移動させながらスリットを形成できる装置。ノズルの噴射角度は調整可能であり、スリット内を横断する既設の鉄筋周囲のコンクリートが残ることもない。

※2 鉄筋挿入装置(図2、写真3)
 前後2本の吊りケーブルとケーブル先端に取り付けられた鉄筋把持部からなり、電磁石の通電オン/オフによる遠隔操作で鉄筋の把持/切離しを行うことができる。

※3 特殊スペーサ(図2、写真3、写真4)
 補強鉄筋の上下間隔を所定の寸法に保持するための支柱であり、両端に取り付けた凹状の受け部からなる。上端の受け部に取り付けられた2本の調整ネジにより、補強鉄筋と特殊スペーサをユニット化できるほか、側方への突出長さを調整することにより、補強鉄筋を所定の水平位置に配置することができる。


※ 図説資料は、関連資料参照

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奥村組 工法 地震 磁石 近年

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