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産総研とイオックスなど、インクジェット方式による低抵抗な超微細銅配線を実現

2011-10-14

インクジェット方式による低抵抗な超微細銅配線の達成

−携帯電話やICタグに利用される、次世代IC基板や超小型プリント基板などへ展開−


 (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業において、(株)SIJテクノロジ、(株)イオックス、日本特殊陶業(株)、(地独)大阪市立工業研究所、(独)産業技術総合研究所は、インクジェット方式による直接描画および極低酸素還元技術を用いて、線幅5μm、配線抵抗率8.1μΩ・cmの超微細配線形成を実現した。将来的には、携帯電話やICタグに利用される、次世代IC基板や超小型プリント基板などへ展開が期待できる。


◇成果のポイント
 ・ナノ粒子製造技術により、インクジェット方式に適した銅インクを開発
 ・超微細インクジェット技術により、線幅5μmの銅配線が実現
 ・極低酸素還元技術により、銅の配線抵抗率8.1μΩ・cmを達成


■研究開発の目的
 本研究開発の目的は、ナノ粒子製造技術、極低酸素還元技術、超微細インクジェット技術の要素技術を統合し、半導体製造プロセスの中でも小型化と微細化が要求される次世代IC基板を対象とした銅の微細配線技術を確立し、以下を実現することである。
 ・配線材料として銅を使用することにより、高い耐マイグレーション性を実現
 ・極低酸素還元技術を用いて導電性を向上
 ・ナノ粒子を使用することにより、製品化に向けた5μm以下の超微細配線形成が可能
 ・直接描画が可能なインクジェット方式を用いて、工程簡略化によるコスト低減


■背景
 近年、電子デバイスの小型化・高機能化に伴い、各種電子部品の高密度化が求められている。通常、線幅10μm未満の金属配線は、真空装置を使ってスパッタリングや蒸着により金属薄膜を形成後、リソグラフィ技術とエッチング技術にて形成される。しかし、この方式は大規模なスパッタ装置や露光装置が必要となり、装置コストの増大が問題となると同時に、配線に用いない不要な金属薄膜を除去する必要がある。そのため電子デバイスの大幅なコストダウンができ、さらにエッチングなどのウェットプロセスを使用せず環境に配慮したプロセスで20μm以下の微細配線が実現可能なプリンタブルエレクトロニクス技術が求められている。

 一方、微細配線で用いるインクには、金や銀の金属ナノ粒子が利用されており、微細な配線パターンを形成する技術については、いくつか方法論が確立されている。しかし、金ナノ粒子では材料の金自体が高価であるため、汎用品として広く普及する上で、大きな経済的な障害となっている。また、銀ナノ粒子では材料単価は相当に低減できるが、配線幅および配線間スペースが狭くなるにつれ、マイグレーションに起因する短絡が新たな問題として浮上している。そのため、銅ナノ粒子インク製造技術を確立し、銀から銅へと移行することに関心が集まっている。

 電子部品製造プロセスの中で特に小型化と微細化が要求されるのがICパッケージ(図1)である。ICパッケージは、ICチップを外的影響から保護すると同時に、ICチップとマザーボードを電気的に接続する役割があり、内部に配線が組み込まれている。ICパッケージにおける微細配線は、年を追うごとに細くなっており、2018年頃に10μm以下の配線ピッチが世界標準になると予測されている(図2)。このようなニーズに応えるため、我々はナノ粒子製造技術、極低酸素還元技術、超微細インクジェット技術の要素技術を統合させ、2010年度から研究開発を着手した。

 ※図1,2は添付の関連資料を参照


■研究開発の体制
 一般的に、インクジェット技術のアプリケーション開発には、インク技術を有する企業、インクジェット技術を有する企業、基板技術を有する企業の三者が必要不可欠であり、単独の開発は困難である。本研究開発では、(独)産業技術総合研究所が保有する極低酸素還元技術と超微細インクジェット技術を基に、(株)イオックスと(地独)大阪市立工業研究所 有機材料研究部 ナノマテリアル研究室が銅ナノ粒子を用いた導電インク開発、(株)SIJテクノロジが銅微細配線プロセス開発、日本特殊陶業(株)が実用化に向けた評価を実施している。我々の研究開発体制は、要素技術を有する川上産業とその実用化に向けた評価を行う川下産業との連携であり、本研究開発では材料・装置の課題を明確にし、その対応・改良により、迅速な要素技術開発を行っているのが特徴である。また、本研究開発は(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「ナノテク・先端部材実用化研究開発」の委託事業として共同で実施しているものであり、今回の成果はその研究過程で得られたものである。


 ※以下の資料は、添付の関連資料を参照
  ・研究開発の内容
  ・今後の予定
  ・用語の説明

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