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サッポロ、大麦種子の国際宇宙ステーション船外での長期保管・輸送実験に成功
大麦の種子、国際宇宙ステーションの船外で長期保管・輸送実験に成功
〜岡山大学との宇宙におけるビール用大麦の共同研究、地球外での食糧自給の可能性を目指して〜
<国際宇宙ステーション船外に設置された保管容器>
*画像は添付の関連資料を参照
<13ヶ月前後の容器の変化/船外保管容器>
*画像は添付の関連資料を参照
サッポロビール株式会社は、宇宙環境での食料自給を目的とした研究(※1)を、ビールの原料である大麦(※2)を使用して、岡山大学資源植物科学研究所の杉本学准教授(専攻:細胞分子生化学)と共同で行っています。
この研究は、ロシア科学アカデミー生物医学研究所(IBMP)が国際宇宙ステーションを利用して取り組んでいる研究(※3)に参画している岡山大学が行う研究の一環であり、月や火星での宇宙基地で人類が生活することを想定した、食料としての大麦の長期輸送・保管の耐性実験です。
今回は、国際宇宙ステーションの船外で、大麦種子2g(50粒)を金属容器に13ヶ月間(2007年6月〜2008年7月)保管する実験と、その後、地球上での栽培実験(2008年11月〜2010年5月)を行いました。保管実験では、船外での宇宙放射線、太陽光、真空、微小重力、寒暖差110度(−20〜90度)という、地球上とは全く異なる過酷な環境下(※4)での大麦種子の品質や遺伝子等の変化について調査し問題がないことを証明しました。また地上での栽培実験でも同様に生育した大麦に変化はなく、宇宙で保管した米やトウモロコシが異変をきたすという事例(※5)と比較し、大麦の宇宙における耐性の強さを証明できました。研究成果については、9月15日発行の「Advances in Space Research」誌に掲載され、日本宇宙生物学会第25回大会(9月30日、10月1日、横浜国立大学)で発表予定です。
サッポロビールは、今後も、宇宙環境における耐性の強い大麦の自給自足が可能な穀物としての可能性を広げるため、今後も岡山大学の研究に協力していきます。
※1 「極限環境ストレスの大麦への影響調査」
※2 ビール用大麦 サッポロビールが開発したビール用大麦品種「はるな二条」
※3 「宇宙環境における植物の適応能力とライフサイクルに関する研究」
※4 宇宙環境は、宇宙放射線、太陽フレア、太陽光、太陽風、微小重力、真空、急激で大きな寒暖差があり、DNAや細胞に損傷をあたえ変異、生育阻害、死滅をもたらす可能性がある。
※5 他の研究報告による。
【これまでの経緯】
2006年:国際宇宙ステーション船内(ロシア実験棟)での5ヶ月間の保管実験と栽培実験(いずれも世界初)に成功。
2007年:宇宙で保管された大麦種子の地上での栽培に成功(世界初)。
2008年:宇宙で保管された大麦を地上で増殖させ、それを原料としたビールを試験醸造(世界初)に成功。ビールの品質、香味面でも問題が無いことを証明した。
2009年:世界で初めて商品として数量限定発売。(商品名「サッポロ スペースバーレイ」)