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中外製薬、個別化医療に基づく新薬候補を導入し相次ぎ臨床試験を開始
個別化医療に基づく新薬候補を導入、相次ぎ臨床試験を開始
ヒト化抗Met抗体「MetMAb」・ヒト化抗IL−13抗体「lebrikizumab」
中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山 治](以下、中外製薬)は、個別化医療(Personalized Healthcare)(以下、PHC)戦略に基づき、F. ホフマン・ラ・ロシュ社[本社:スイスバーゼル市/CEO:セヴリン・シュヴァン](以下、ロシュ社)から、同社が非小細胞肺がん治療薬として開発中のヒト化抗Met抗体「MetMAb」と、同じく気管支喘息治療薬として開発中のヒト化抗インターロイキン(IL)−13抗体「lebrikizumab」を導入し、日本人での第I相臨床試験を開始しましたのでお知らせいたします。本剤に関する契約により、中外製薬は日本における開発・販売の実施権を許諾され、その対価としてマイルストーンをロシュ社に支払います。
PHCは、個々の患者さんの細胞の分子・遺伝子情報に応じて治療計画を立案・実行する治療法で、特定の分子や遺伝子を測定する診断薬の開発も同時に行うヘルスケア戦略です。患者さんごとに最適な治療が選択できる個別化医療は、診断薬を並行して用いることにより患者さんのバイオマーカー(*)等を調べ、それにより医師は効果の見込めない治療を避け、副作用のリスクも減少させることができるため、効果と安全性の両面で優れ、医療経済上の観点からも有益です。
<「MetMAb」について>
「MetMAb」は、ロシュ社が開発中の肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)受容体であるMetを標的とした遺伝子組換えヒト化一価性モノクローナル抗体です。非小細胞肺がんでMetの過剰発現が認められる患者さんは予後不良であることが報告されており、また既存治療薬であるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR−TKIs)の耐性メカニズムとしてEGFR遺伝子変異や、Metの過剰発現などが知られています。MetMAbは、エルロチニブ塩酸塩(タルセバ(R))との併用が可能であり、既存治療での予後不良なMet高発現の進行性非小細胞肺がん患者さんの新たな治療選択肢となることが期待されています。
国内では現在、約6万人が進行性非小細胞肺がんに罹患していると推定され、約半数の患者さんがMet高発現(**)と考えられております。本剤は、海外で実施された第II相臨床試験においてエルロチニブ塩酸塩(タルセバ(R))との併用で、対象患者さんの中でも特にMet高発現の患者さんにおける有効性が確認されています。
<「lebrikizumab」について>
※添付の関連資料を参照
* バイオマーカー:正常な生物学的変化、疾患の発症・進展過程もしくは治療的介入に対する薬理反応の指標として客観的に測定もしくは評価される特性(生体内物質)を指し、診断薬の開発の基本となるものです。
** Met:チロシンキナーゼ型受容体タンパク質で、リガンドであるHGFにより活性化されます。免疫組織化学染色により、腫瘍細胞の50%以上が中等度または強度の染色を示す場合をMet陽性とされています。