富士経済、国内外食産業を６分野６４業種の調査結果を発表

国内外食産業を６分野６４業種にわたり調査

−２０１１年見込−
◆「ファストフード」がプラス成長、前年比１．１％増　節約志向高まる消費者を取込む
◆震災の影響受け多くの市場縮小も、客単価の低い市場が拡大　　牛丼店、均一価格居酒屋で伸び


　総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町　社長　阿部　界　０３−３６６４−５８１１）は、２０１１年４月〜８月にかけて国内１４分野１２８業種の外食市場と参入企業の戦略を明らかにする。
　今回は、ファストフード、ホームデリバリー・ケータリング、料飲店、テイクアウト、交通機関、レジャー施設など国内６分野６４業種の外食市場について調査を実施した。その結果を報告書「外食産業マーケティング便覧　２０１１（上巻）」にまとめた。
　今後、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、給食、宿泊宴会場の８分野を「同（下巻）」で調査し、外食産業の企業研究と上下巻をあわせた外食市場の総合分析を総括編で行う。


＜調査結果の概要＞

　※参考資料は添付の関連資料を参照

◆ファストフード
　外食市場全体が低迷する中で、ファストフード市場の拡大は続いており、２０１０年は前年比３．２％増、２０１１年は成長率が鈍化するものの、６分野で唯一プラスの前年比１．１％増（２０１１年市場規模：２兆９，２９１億円）が見込まれる。特にハンバーガーショップ、ギョーザ店、立ち食い・セルフ式そばうどん店、牛丼店などが市場を牽引している。
　２０１１年は、ハンバーガーショップ、ギョーザ店などを除き、東日本大震災による営業時間の短縮などの影響でマイナスに転じる業種が多い。しかしファストフード市場自体は客単価が低く、節約志向の高まっている消費者をうまく取込んでいることから、２０１２年にはプラスとなる業種が増加すると予測される。

≪注目市場：牛丼店≫
　　　２０１０年　　　前年比　　２０１１年見込　　前年比
　３，２７３億円　１１１．７％　　３，３９０億円　１０３．６％

　２００９年に量販店などを中心とする低価格弁当に需要を奪われたものの、一部チェーンでの値下げやすき家の大量出店などによりプラスを維持した。２０１０年は、上位チェーン各社が期間限定値引きキャンペーンを頻繁に実施したことから、前年比１１．７％増となり３年ぶりの２桁増となった。
　震災直後は、消費者の買いだめにより小売店から食料品が品薄になったことで、外食をする消費者が増加し需要を取り込んだ。２０１１年も引き続き積極的な出店と期間限定値引きキャンペーンを各社行っており、前年比３．６％増の３，３９０億円が見込まれる。

≪注目市場：立ち食い・セルフ式そばうどん店≫
　　　２０１０年　　　前年比　　２０１１年見込　　前年比
　２，０６０億円　１０５．４％　　２，１８０億円　１０５．８％

　「丸亀製麺」や「はなまるうどん」などの上位チェーンの出店攻勢により、２００８年以降大幅な市場拡大が続いている。また、出店コストが低く、店舗オペレーションも煩雑ではないことから、新規参入企業が増え競争が激化している。中位チェーンでは頭打ちの傾向も見られ、今後は市場が拡大しながらも、企業の淘汰が進むとみられる。
　なお、震災の影響により一時的に店舗の閉鎖や営業時間の短縮が行われたが、５月末にはほぼ通常営業に戻っている。また、低価格であることから消費者離れも一時的なものにとどまり、２０１１年は前年の成長率５．４％を上回る５．８％（市場規模：２，１８０億円）が見込まれる。

◆テイクアウト
　中食需要の拡大により比較的好調に推移してきたが、２００８年以降は市場が踊り場に差し掛かっている。震災の影響による需要の落ち込みはゴールデンウィーク以降回復に向かっているものの、２０１１年は前年比０．４％減の５兆８，８０５億円が見込まれる。
　２０１１年に伸びが見込まれるのは量販店デリカとＣＶＳデリカであり、特に量販店デリカは店舗数が減少する中でもＧＭＳと都心型スーパーが牽引し、１店舗当たりの売上高を伸ばしている。

◆ホームデリバリー・ケータリング
　同分野のおよそ８０％を占める仕出し弁当・ケータリングの減少により市場縮小が続いており、２０１１年は前年比１．１％減の１兆１，５６７億円が見込まれる。ＦＲ（ファミリーレストラン）宅配は２０１０年に売上高、店舗数共に実績を伸ばしたが、２０１１年は参入企業の撤退や前年に大きく伸びた反動などから、売上高、店舗数共に縮小が見込まれる。一方で、２０１１年も引き続き市場の拡大が見込まれるのは病者・高齢者食宅配であり、需要の高まりと参入企業の積極的な事業展開によって２桁成長が見込まれる。

≪注目市場：病者・高齢者食宅配≫
　２０１０年　　前年比　　　２０１１年見込　　前年比
　６２６億円　１０７．７％　　　７０３億円　　１１２．３％

　食事制限を必要としている糖尿病や腎臓疾患などの病者向けであったが、栄養バランスの良さや簡便性などの点から高齢者向けでも支持されている。また、専用商品が発売されたことにより、市場は急拡大を遂げた。近年では、宅配時に安否確認を行うなど、配食だけに留まらないサービス展開が進められている。
　２０１１年は、ワタミタクショクの工場新設やシニアライフクリエイト、ソーシャルクリエーション、シルバーライフなどがフランチャイズ方式のメリットを生かした出店攻勢により、２００５年以降で最大の伸び率となる１２．３％増（市場規模：７０３億円）が見込まれる。今後は出店や配食エリアの拡大による企業間の競合も進むと見られるが、外食産業全体が縮小傾向にある中で、今後の市場の伸びが期待される有望市場の一つである。

◆料飲店
　２００８年後半のリーマンショック以降、全体的に需要が落ち込んでおり、マイナス成長が続いている。例年１〜２％程度の縮小にとどまっていたが、２０１１年は震災以降の消費マインド低下の影響もあり、市場は前年比４．１％減の５兆８，３５９億円と大きく縮小する見込みである。
　チェーン各社では客単価を下げた低価格型居酒屋へ軸足を移す動きが見られ、その中でも均一価格で商品を提供する均一価格型居酒屋が２００９年より大きく台頭している。均一価格型居酒屋は２０１１年も２桁増が見込まれる。

≪注目市場：均一価格型居酒屋≫
　２０１０年　　　前年比　　２０１１年見込　　前年比
　４９２億円　１４４．３％　　　５８０億円　　１１７．９％

　市場の落ち込みが止まらない居酒屋・炉端焼の中で、均一価格型居酒屋は２００９年に前年比３６３％、２０１０年も同１４４％と急成長を遂げている。チェーン各社では既存居酒屋店舗から価格均一型店舗へ業態展開を進めており、先行する鳥貴族や三光マーケティングフーズなどに続き、ワタミフードサービスや大庄など大手居酒屋チェーンも参入を果たしている。しかし、中期的に収益性を確保するには、メニューの絞り込み、スケールメリットを最大限に活用した仕入れルートの構築など、徹底したローコストオペレーションが必要であり、多店舗化に慎重な姿勢を示す企業や、市場から撤退する企業も現れている。
　震災の影響により一時的な需要の落ち込みも見られたが、低価格を訴求する均一価格型居酒屋としてはプラスに作用する側面も大きく、成長率は鈍化するものの、２０１１年の市場は前年比１１７．９％の５８０億円と２桁増が見込まれる。

◆交通機関
　高速道路の休日上限１，０００円などにより２０１０年は有料道路ＳＡ・ＰＡはプラスとなったものの、２０１１年は震災により被災地周辺の高速道路の利用が減少したことや休日上限１，０００円が６月に終了したことにより、前年比６．３％減の９４２億円が見込まれる。また、福島第一原子力発電所の事故の影響を懸念する外国人旅行者の訪日取り止めや、日本人のレジャー自粛ムードにより、他の交通機関でもマイナスが見込まれる。

◆レジャー施設
　２００８年以降マイナス成長であったが、２０１１年は震災以降の自粛ムードによりレジャーなどを控える傾向が見られており、市場は３．７％減の９，９８３億円が見込まれる。微減傾向にあった１施設あたりの売上高も例年よりマイナス幅が大きくなると見られる。


以上


＜調査対象＞
　※添付の関連資料を参照

＜調査方法＞
　富士経済専門調査員による対象企業及び関連企業・団体などへの直接面接取材と文献調査による補完

＜調査期間＞
　２０１１年４月〜６月


資料タイトル　：「外食産業マーケティング便覧２０１１（上巻）」
体　　　　裁　　：Ａ４判　１９９頁
価　　　　格　　：９８，０００円　（税込み１０２，９００円）
調査・編集　　：富士経済　東京マーケティング本部　第一事業部
　　　　　　　　　　ＴＥＬ：０３−３６６４−５８２１　　ＦＡＸ：０３−３６６１−９５１４
発　行　所　　：株式会社　富士経済
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