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三菱電機、「オフィスビル省エネシミュレーション技術」適用の省エネ実証評価を開始
ビルの電力需要のピーク値を精度よく予測し、効果的に削減
「オフィスビル省エネシミュレーション技術」を適用した省エネ実証評価を開始
三菱電機株式会社は、電力ピークを迎える夏期を前に、かねてから研究開発を実施していた「オフィスビル省エネシミュレーション技術(※1)」を適用した省エネ実証評価を当社の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)で7月1日に開始します。
実証評価の期間は2011年9月までを予定しています。
この技術は、執務者の座席位置と在不在を考慮した照明制御の省エネ効果をシミュレーションする技術と、ビルの熱特性や発熱量を過去のデータから推測し空調機制御の省エネ効果をシミュレーションする技術からなります。
省エネ実証評価では、ビル全体の総電力量を精度よく予測し、ピーク時の電力量を設定値以下に保つ対策を図ることで、適切な照明、空調制御に加え、PC向け省エネ制御により効率的なエネルギー利用を実現します。
(※1) 2011年2月16日発表「オフィスビル省エネシミュレーション技術」を開発
http://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2011/0216-c.html
実証評価の対象ビル
情報技術総合研究所では、夏季節電対策の一環として、構内の複数のビルに分散していた執務者を1棟に集約しました。集約したビルにオフィスビル省エネシミュレーション技術を適用することで、構内全体のピーク電力消費量25%削減を目指します。
執務者を集約したビルは、昨年に比べ執務者が2.4倍に増えますが、ビル全体のピーク電力量を昨年並みに抑制できると予測しています。
対象ビルの諸元
延床面積:約12,000m2
空調機:約350台
執務者数(昨年の執務者数):約1,200人(約500人)
主な活用技術
1.省エネシミュレーションによる電力消費量予測
・照明:入退室と連動した照明制御で電力消費量昨年度比1時間当たり30kWh減を予測
・空調:人員増を起因とする熱負荷増と空調運転の最適化による省エネ効果の相殺で、増減無しを予測
・コンセント:在室人数増に伴うOA電力増と入退室連動スタンバイ制御等の省エネ施策の相殺で、1時間当たり30kW増と予測
・ビル全体でピーク時消費電力量は昨年度比増減無しを予測
2.入退室連動PC省エネ制御技術
・入退室と連動して社員のPCの省電力モードを制御することで、同技術導入以前と比較してコンセント電力の総消費電力量を約4%削減
今後の展開
今回採用した制御手法を、対象ビルの執務環境下で実証・評価し、シミュレーターの精度向上などの改良や、快適性と省エネ性を両立できる製品開発に活用していきます。
特許
国内3件 海外2件
補足:開発成果の詳細
1.省エネシミュレーションによる人員集約ビルの電力消費量予測
(1)照明省エネ
照明省エネシミュレーション技術は、照明器具の配置、機種、および壁の反射率に加え、執務者の座席位置と時間ごとに変化する執務者の在不在を入力して、ビルの環境を再現できます。この再現した環境(特性)で、壁スイッチ単位で照明をON/OFFする従来制御や、照明と座席の位置関係(照明影響度)や着席密度を定式化して在席者の机付近だけを必要な明るさに保つ当社独自開発の省エネ制御を適用し、快適性(明るさ)と消費電力量を予測します。
今回の実証においては、入退室と連動した照明制御で昨年度比1時間当たり30kWhの削減を予測しています。
(2)空調省エネ
過去の気象データと空調機の運転データを用いて、ビルの壁や窓の断熱性能とパソコンや人などによる発熱量を推測し、空調機の最適な運転スケジュールを立案する空調省エネシミュレーション技術です。本技術では、空調からの熱の量と室温の変化を予測することができ、予測した熱の量と室温を用いて、ある一定の室温範囲を保ちながら、複数空調機の最適な運転スケジュールを立案します。
今回の実証においては、集約による人員増(500人→1200人)による熱負荷増と空調運転の最適化による省エネ効果の相殺で電力増減を無しと予測しています。
2.入退室連動PC省エネ制御技術
入退室連動PC省エネ制御技術は、社員が部屋やフロアから退室すると、その社員が使用するPCを自動で省電力モードにすることで、不使用時のPC消費電力を削減できます。さらに、離席時間の長さに応じて省電力モードの強度を段階的に上げていくことで、社員の利便性に配慮しながら、効率的な省エネ制御を実施します。本技術による省エネ効果を実測したところ、本技術導入以前と比較して、コンセント電力の消費電力量を約4%削減可能という結果が得られました。
今回の実証においては、人数増に伴うOA消費電力増と入退室連動スタンバイ制御等の節電施策の相殺で1時間当たり30kW増と予測しています。