Article Detail
TDK、シースルータイプの高精細有機ELディスプレイ「UEL476」を開発し量産開始
シースルータイプの高精細有機ELディスプレイの開発、量産について
TDK株式会社(社長:上釜 健宏)は、この度、世界初(※)のシースルータイプ、パッシブマトリクス駆動方式(*1)のQVGA(*2)有機ELディスプレイ(製品名:UEL476)を開発、量産を開始しました。 有機ELディスプレイは、薄膜形成した有機材料を電気的に発光させる自発光型のディスプレイで、高輝度、広視野角等の圧倒的な視認性の良さと、高速応答性等を特長とし、フラットディスプレイの一つとして普及しています。
当社の有機ELディスプレイは、全てパッシブマトリクス方式を採用しており、今回開発したシースルータイプのディスプレイは、主に携帯電話のメインパネルなどのモバイル機器用を想定しています。
モバイル機器用途のシースルータイプの有機ELディスプレイとして画角2.4インチ、透過率40%、輝度(150cd/m2)を実現しました。
また、近年、携帯電話をはじめとする小型電子機器は、デザイン性の高いディスプレイが求められておりますが、今回開発したディスプレイは、シースルーでありながらディスプレイの裏面からは表示内容が見えにくい構造になっています。
当社は、1991年から有機ELの材料開発に着手し、分子構造設計から化学合成、デバイス評価までの一貫した研究開発を自社内で実施する体制を確立し、独自の長寿命材料や薄膜積層構造、最適な量産プロセスの開発を進めてきました。また、白色発光有機EL素子の開発には1995年に着手し、2000年に製品化しました。
また、カラーフィルタ方式を採用しているため、RGB各色の輝度寿命が同一で、色ズレのないことを特長とし、さらに、動作温度範囲が−20〜+85℃と温度特性に優れています。
今後とも、各種カラー品種を含む全てのタイプの高精細化、長寿命化に取り組んでいきます。
(※)2011年5月現在、TDK調べ。
【用語集】
(*1)パッシブマトリクス駆動方式:
有機EL素子を発光させるための駆動方式の一つ。縦方向および横方向の電極ラインを網のように構成して、ラインごとに画素を駆動させる。これに対して、画素一つひとつをTFT(薄膜トランジスタ)を用いて駆動させるのがアクティブマトリクス駆動方式。
(*2)QVGA:
Quarter Video Graphics Arrayの略。320×240画素のことを指す。
【主な用途】
・QVGAカラーディスプレイを必要とする携帯電話、モバイル型小型電子機器など。
【主な特長】
・シースルータイプながら高輝度(150 cd/m2)を達成。
・ディスプレイの裏面からは表示内容が見えにくい構造。
・透過率40%
【主な仕様】
・表示エリア:36.0×47.9mm
・画素数:240×RGB×320
・輝度:150 cd/m2
【生産、販売計画】
・生産拠点:TDKマイクロディバイス株式会社
・生産予定:10,000個/月(当初)
・生産開始:2011年3月
以上
※ 参考資料は、関連資料参照