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パーソナルメディア、独社と「AT−EM」のT−Kernel 2.0対応版の開発で協業
EtherCATマスタースタック「AT−EM」のT−Kernel 2.0対応版の開発で日独企業が協業
独acontis technologies GmbH(代表者:Stefan Zintgraf,Christoph Widmann、本社:ドイツWeingarten、以下acontis)、シェルパ合同会社(代表社員:内藤英規、本社:神奈川)、パーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京)の3社は、高性能EtherCATマスタースタック「AT−EM」のT−Kernel 2.0対応版の開発に成功し、AT−EMおよびT−Kernelベースの組込みビジネスを3社共同で強力に推進することに合意いたしました。acontisおよびシェルパは、パーソナルメディアの持つT−Kernelのノウハウおよび移植実績、高度な技術力、強力な販売チャンネルを利用して、T−Kernelを搭載した高機能な組込み機器にAT−EMによるEtherCATのモーションネットワークを提供します。
ドイツや日本の重要産業である製造業においては、工場内で多くのFA(Factory Automation)機器が使用され、製造ラインの複雑な制御や自動化が行われています。これらのFA機器は高性能な組込みコンピュータによって制御されており、制御用コンピュータと製造ラインの工作機械などとの間は、産業用ネットワークで接続されています。したがって、FA機器の制御を的確に行い、製造される製品の品質や生産効率を高めるには、高速かつ高精度な制御用ソフトウェアとネットワーク上の通信方式(プロトコル)が必要です。さらに、世界各国のさまざまなメーカーから供給される多数のFA機器を接続して制御するには、ソフトウェアやネットワーク通信方式の互換性が重要であり、標準化やオープン化への要求も強くなっています。このような要求に応える最適なソリューションが、この度3社で共同開発したEtherCATマスタースタック「AT−EM」のT−Kernel 2.0対応版です。
EtherCAT(イーサキャット)は、LANの世界標準規格であるイーサネットをベースにしたフィールドバスシステムであり、FA制御向けに高速かつ高精度な通信を実現するオープンなネットワークです。EtherCATのマスター側の通信を制御するソフトウェア(プロトコルスタック)としてacontisが開発した製品がAT−EMであり、高性能かつ組込みを意識した小さいfootprintが特長となっています。
一方、T−Kernel(ティー・カーネル)は、組込み機器の開発の効率化を目的に活発な活動を続けるT−Engineフォーラムが提供する、高性能でオープンソースのリアルタイムOSです。T−Kernelは2002年に開発されて以来10年近くの実績があり、FA制御用の機器のほか、業務用端末やカーナビ、プリンタなど多くの機器に採用されています。また、T−Kernelの前身となるITRONは既に25年の実績があり、デジタルカメラ、家電製品、OA機器、自動車のエンジン制御など多数の採用例があります。さらに、2011年5月には、従来のT−Kernelにマイクロ秒単位の時間管理機能などを追加したT−Kernel 2.0がリリースされます。T−Kernel 2.0を使えば、機器制御の際の時間的な精度をより高めることができ、FA分野におけるT−Kernelの利用促進にますます弾みがつくものと期待されています。
acontis、シェルパ、パーソナルメディアの3社でこの度開発したT−Kernel 2.0対応版のAT−EMは、生産現場における各種の製造装置、ロボットコントロール、モーションコントロール、データ収集およびデータ計測用の機器など、広範囲な用途で利用できます。3社は、本製品や関連するサービスを共同で提供することにより、T−KernelとEtherCATを用いたFA向けの組込み機器の開発を強力に支援します。
補足資料
EtherCATとAT−EM
EtherCATは、IEEE802.3 Ethernetベースのフィールドバスシステムです。バス接続やネットワーク接続に対応した柔軟なトポロジーとシンプルなコンフィギュレーションによって、従来のフィールドバスシステムと同様の取り扱いができるというメリットを保ちつつ、従来のフィールドバスシステムと比較して通信速度が大幅に向上しています。さらに、安価な実装が可能であることから、従来はフィールドバステクノロジーを使用できなかった比較的ローエンドなシステムにも応用範囲を広げています。
EtherCATはIEC(国際電気標準会議)で標準化されたオープンテクノロジーです。EtherCAT の実装(プログラム)は、EtherCAT Technology Group によって開発やサポートが行われています。このグループは、ユーザーとベンダーの双方を含む国際的なコミュニティであり、既に1600社以上が参加しています。acontis technologies GmbH もその一員です。
同社がリアルタイムOS向けに最適化して開発した、EtherCATのマスター側の制御を行う高性能なプロトコルスタックがAT−EMです。AT−EMはx86, ARM, XScale, PPC, SH, MIPSなど多くのCPUに対応済みであり、組込みを意識した小さなfootprint、モジュール化されたスタック構成などを特長としています。
acontis technologies GmbHについて
acontis technologis GmbHはミュンヘン近郊にあるドイツの企業です。acontis technologiesが開発した全ての製品はドイツ国内で開発を行っております。acontis technologiesはKUKA Roboterの公認ディストリビュータであります。またBeckhoff,Hilscherといったドイツ国内のEtherCATスレーブ供給メーカと太いパイプを築いております。AT−EMはドイツ国内だけでなく世界的な企業に採用され、既に多くの実績を積んでおります。
シェルパ合同会社について
シェルパ合同会社(所在:神奈川県茅ヶ崎市)は、仮想化システム及びEtherCATのマスタスタックを含む全てのacontis製品を取り扱う日本で唯一の代理店であり、リアルタイムOSのポーティング、サポートコンサルティングを主に行っています。シェルパで取り扱っている仮想化システムは、半導体製造装置、工作機器等で日本だけで7000ライセンス以上の販売実績があり、多くのお客様に高くご評価いただいております。
また、EtherCAT Technology Groupのメンバーとして、コンサルティング及びセミナーを定期的に実施し、EtherCATの日本での普及に携わっております。
パーソナルメディア株式会社について
パーソナルメディア株式会社は、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT−Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。具体的には、「PMC T−Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T−Drivers」の開発や移植、T−Kernelを搭載した極小マカロン型コンピュータ「Teamacaron」の開発や販売などを行い、その実績は多くのお客様に高くご評価いただいております。
また、T−Kernel 2.0ワーキンググループの座長としてT−Engineフォーラムの活動に協力し、T−Kernel 2.0の仕様策定を進めて参りました。その成果をいち早く実装した「T−Kernel 2/x86評価キット」などの製品も発表しています。
関連情報
acontis technologies GmbH
http://www.acontis.com/
シェルパ合同会社
http://www.sherpa-llc.co.jp/index.php
パーソナルメディアのT−Engineソリューション
http://www.t-engine4u.com/
T−Engineフォーラム
http://www.t-engine.org/
TRON は ”The Real−time Operating system Nucleus” の略称です。
TRON、T−Engine、μT−Engine、T−Monitor、T−Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。