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ファンケル、麻布大との共同研究で炎症による痛みを緩和する食品成分を発見

2016-07-20

炎症による痛みを緩和する食品成分発見
−麻布大学との共同研究で確認−


 株式会社ファンケルは、学校法人麻布獣医学園麻布大学(所在地・神奈川県相模原市、浅利学長)との共同研究で、食品成分の「レスベラトロール」に炎症による痛みを和らげる作用があることを確認しました。この研究成果はこのほど国際的な神経科学・疼痛関連の学術誌「Brain Research Bulletin」および「Molecular Pain」に掲載されました。この成果の一部は、今年7月に横浜市で行われる第39回日本神経科学大会で発表する予定です。
 当社では引き続き、さらに有効性が高い成分の探索研究や作用メカニズムに関わる研究を進め、腰痛や関節痛にアプローチする食品の開発を行ってまいります。

<研究の経緯>
 通常、痛みは、怪我や病気、精神的ストレスによって生体に加えられた侵害刺激により組織の損傷などから身を守るための生体の「警告信号」としての重要な役割があります。しかし、体内で過剰な炎症や神経に障害があると、原因となっている損傷が治癒していても痛みが続いたり、必要のない病的な痛み(病的疼痛)が生じることがあります。これによって多くの方が悩みを抱え、日常生活が制限され、生活の質Quality of Life(QOL)の低下を招いています。
 現在、病的疼痛の基本治療として、薬物治療、運動療法や物理・装具療法などの保存的治療が中心であり、代替療法(徒手療法・マッサージ・針治療など)や認知行動療法も行われていますが、根本的治療法はいまだ確立されていません。

<研究の方法と結果>
 麻布大学生命・環境科学部武田守教授とファンケルの研究グループでは、食品の持つ「体調調節機能」の新たな可能性として、2015年から痛みの緩和に着目した神経生理学研究を開始しました。
 慢性的な痛みを和らげることが期待される食品由来のポリフェノールの一種であるレスベラトロールを、炎症性の痛みを持った動物に与えた結果、痛みが緩和(痛みを感じる閾値の上昇)されることが分かりました(図1)。また、炎症が起きてから1日目よりも2日目に、より痛みを抑制しました。
 これらの結果は、レスベラトロールを連続して摂取することで炎症性の痛みを抑制できる可能性を示しています。

 ※図1は添付の関連資料を参照

 炎症性の痛みのメカニズムは、必須脂肪酸の「アラキドン酸」を原料として、「シクロオキシゲナーゼ」という酵素の作用により発痛物質である「プロスタグランジン E2」が生成され、末梢神経が侵害刺激に対して過敏となり、そのシグナルを脳が受け取ることで痛みを感じます。レスベラトロールは、シクロオキシゲナーゼの活性を抑制してプロスタグランジン E2の生成を抑制することで神経細胞の興奮性を抑制します。また、神経を興奮させる物質であるグルタミン酸の受容体への結合を阻害するので、痛みの伝達が抑制されます(図2)。

 ※図2は添付の関連資料を参照

<研究成果を論文投稿、日本神経科学大会でも発表>
 これまでの研究成果は、「Brain Research Bulletin」誌に「Systemic administration of resveratrol suppress thenociceptive neuronal activity of spinal trigeminal nucleus caudalis in rats」として掲載されました。また、「Molecular Pain」誌に 「Resveratrol attenuates inflammation−induced hyeprexcitability of trigeminal spinalnucleus caudalis neurons associated with hyperalgesia in rats」として掲載されました。これらの一部は、第39回日本神経科学大会(Neuroscience 2016 The 39th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society 2016年7月22日)にて報告を予定しています。
 当社では今後、さらに高い有効性を持つ炎症性や神経因性の病的な痛みを和らげる食品成分を探索し、その作用メカニズムを解明するために、行動・組織化学・電気生理学的手法を用いた研究を推進していきます。
 慢性的な関節痛や腰痛に悩む方々が、安心して継続できる食品成分による痛みの緩和が実現できれば、より多くの方のQOLの向上に寄与できるものと考えています。日常の中でケアできる痛みの緩和に有効な機能性食品の開発を視野に入れ、引き続き研究に取り組んでまいります。

 ※以下の資料は添付の関連資料「参考資料」を参照

 ・<発表論文>
 ・<共同研究者のコメント>

<用語解説>
 アラキドン酸:必須脂肪酸の一種。シクロオキシゲナーゼの関与を受けてプロスタグランジンE2が合成される。
 シクロオキシゲナーゼ:アラキドン酸からプロスタグランジンE2への代謝に関与する酵素の一種。
 プロスタグランジンE2:炎症に伴う痛みを増強する発痛物質の一種。
 グルタミン酸神経伝達物質として働くアミノ酸の一種。





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