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東京商工リサーチ、「マイナス金利に関するアンケート」調査結果を発表
[特別企画]
「マイナス金利に関するアンケート」調査
〜導入により預金金利の低下を懸念する意見が多い〜
2月16日、日本銀行はマイナス金利政策を導入した。マイナス金利で一般銀行が日銀に預け入れている日銀当座預金のうち、一定金額を超えた分は日銀に0.1%の手数料を払うことになる。銀行の貸し出しを促し、企業の投資意欲の底上げを狙ったが、景気の先行き不透明感もあって企業側の規模拡大に向けた資金需要は低迷しており、新たな貸出先を見出すのは容易でない。
東京商工リサーチは、マイナス金利導入で金融機関の企業向け貸出姿勢や企業の投資動向がどう変わったか、緊急アンケート調査を実施した。
マイナス金利導入前から金利競争は過熱しており、現在の借入金利より低利の打診を受けても「新規資金として調達する」と回答した企業は21.6%と、全体の4分の1にとどまった。金利引き下げだけでは投資促進に繋がらず、資金需要の拡大は難しい実態が浮き彫りになった。
※2016年3月17日〜3月29日にインターネットによるアンケートを実施し、有効回答を得た6,870社の回答を集計、分
析した。
Q1.マイナス金利の導入による貴社への影響を全て選択してください(複数回答)
最も多かったのは、「影響は受けていない」の4,294社(全6,870回答、構成比62.5%)だった。影響を受けた場合では、「借入金利の引き下げ実施」が1,559社(同22.7%)、「預金金利の下落」が891社(同13.0%)など、金利低下に関する項目が目立った。
「TIBOR(東京銀行間取引金利)ベースの借入金の金利が下がった」、「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は金利引き上げ予定」などの声があった。
*グラフ資料は添付の関連資料「グラフ資料(1)」を参照
Q2.金融機関から現在の利率より低利で融資の打診を受けたら、新規資金として調達しますか?
「調達しない」が3,222社(構成比46.9%)で半数近くを占めトップだった。ただし、「検討中」が2,164社(同31.5%)あり、まだ具体的な対応を決めかねている企業も少なくない。
資本金別では、資本金1億円以上で「調達する」が14.0%(全1,503社中211社)だったのに対し、同1億円未満では23.7%(全5,367社中1,273社)だった。小額資本の企業ほど、資金調達時に低い金利を望んでいると見受けられる。
*グラフ資料は添付の関連資料「グラフ資料(2)」を参照
Q3.(Q2で「調達する」と回答した企業)調達する理由を全て選択してください(複数回答)
「運転資金」が1,123社(全1,484社、構成比75.7%)だった。以下、「設備投資」の686社(同46.2%)、「従業員の増員」の218社(同14.7%)と続く。
「従業員の増員」は、資本金1億円以上では5.7%(全211社中12社)であるのに対し、1億円未満では16.2%(全1,273社中206社)だった。小額資本の企業ほど人材確保に積極的で、マイナス金利を利払い負担の軽減として受け止めている結果となった。
*グラフ資料は添付の関連資料「グラフ資料(3)」を参照
*リリース詳細は添付の関連資料を参照