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東大、塩分摂取による高血圧発症にエピジェネティクスが関与することを解明

2011-04-21

塩分摂取による高血圧発症にエピジェネティクスが関与することを解明
―日本人に適した新規降圧薬の開発に期待―



 塩分の過剰摂取が高血圧をきたすことは良く知られていますが、その機序については多くの不明な点がありました。このたび、東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 教授 藤田敏郎らの研究チームは、塩分感受性高血圧では塩分摂取過剰による交感神経活性異常が塩分排泄に関わる遺伝子(WNK4遺伝子)の転写活性を抑制していることを世界に先駆けて明らかにしました。
 本研究は血圧に関係するホルモンであるカテコールアミンのナトリウム貯留作用の新たな分子メカニズムを明らかにするとともに、塩分摂取による高血圧発症の機序解明にもつながる画期的な発見です。肥満やメタボリックシンドロームでは血圧の塩分感受性が高いことが知られていますが、今回の研究の成果は食塩や肥満などの環境因子が塩分排泄性遺伝子の転写活性を抑制して、疾病(高血圧)が生じる“エピジェネティクス”の関与を解明したものであり、新たな視点による高血圧治療薬の開発が期待されます。
 本研究成果は、米国の科学雑誌「Nature Medicine」に掲載されるに先立ち、米国東部標準時間4月17日午後1時(日本時間4月18日午前2時)に、オンライン版に掲載されます。


【発表者】 東京大学大学院医学系研究科・東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
        教授 藤田 敏郎
        大学院生 穆 勝宇(ボク ショウウ)

【背景】
 塩分の摂り過ぎが高血圧の原因として重要なことは、古くから知られているところです。世界のさまざまな民族を対象とした疫学調査からも食塩摂取量と高血圧発症頻度の相関が示されています。戦後間もなくの東北地方では食塩の摂取量が極めて多く、高血圧による脳卒中死亡率が高頻度であったのが、減塩運動の進展と共に脳卒中死亡率が激減したことから、塩分過剰摂取と高血圧発症の因果関係がうかがえます。

 しかしながら、塩分に対する血圧の反応性は個人によって異なり、敏感に反応する塩分感受性の人とそうでない人がいることが分かっています。血圧の塩分感受性は、遺伝素因によって規定されますが、環境因子によっても影響を受けます。特に、現代社会における生活習慣の歪みの結果もたらされる肥満やメタボッリクシンドロームを有する者は、塩分感受性高血圧を発症しやすいことが良く知られています。食塩による血圧上昇の機序として、腎臓におけるナトリウム(Na)排泄機能障害に基づきNa排泄が低下し、Naが貯留すると血圧が上昇することが分かっています。肥満者や塩分感受性高血圧患者では食塩摂取時に交感神経系の不適切な緊張が生じ、交感神経活動が亢進することで、Na排泄が低下することが想定されていました。しかし、腎臓における交感神経活動の亢進がNa排泄の低下とNa貯留、高血圧を発症させるという機序の詳細は明らかでありませんでした。

※研究の内容など詳細は、添付の関連資料を参照


【参照URL】
 Nature Medicine ホームページ(http://www.nature.com/nm/index.html

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