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神奈川工科大と富士通SSL、どこから見ても正面に見える広告向けディスプレー技術を開発

2016-02-24

神奈川工科大学が“どこから見ても正面に見える”
広告向けディスプレイ技術を開発、ARや多言語表示に期待
〜富士通SSLと実用化に向けた共同研究を推進〜


 神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科の谷中一寿教授、白井暁彦准教授らはこのたび、映像を複数の視点から自然に正面に見えるよう同時表示するディスプレイ技術「同時空間共有ディスプレイ(SSSD:Simultaneous Spatial SharedDisplay)」と、その内部エンジンである「ExField」を開発しました。近く国内とフランスでのVRに関する国際会議でも発表します。AR(拡張現実感)広告や異なる情報・言語の表示など、幅広い応用が期待されます。実用化に向け株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリと共同研究を推進します。

 近年、液晶ディスプレイの解像度は高解像度化し、4K(幅約4,000ピクセル)といった高解像度ディスプレイも一般化しつつあります。ディスプレイの同時表示技術は、画面分割や画面切り替えといった古典的手法の他に、メガネなし立体映像表示に使用される3D液晶技術を応用した複数視点表示技術が提案されていますが、通常の表示方式に対して解像度が半減し、暗くなる上に、視認位置が限られるといった弱点がありました。

 白井准教授らは2010年にプロジェクションマッピングを応用した多重化隠蔽映像技術「Scritter」,「ScritterH」、2014年5月に第4世代多重化不可視技術「ExPixel」(エクスピクセル)を発表しました。ExPixelは、市販のパッシブ3Dディスプレイと互換のハードウェアで、偏光メガネ着脱により2チャンネルのコンテンツを自由に切り替えて視認できる技術です。聴覚障がい者向け字幕付与といった応用に有用であり、株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリと共同で合理的配慮対応にむけた製品化試験を行っています。しかし、同技術を一般に広く利用するためには、メガネの着脱のわずらわしさや音声の切り替えが課題とされており、教室などより実際の使用環境での継続的な研究が必要な段階となっています。

 このたび開発に成功した「ExField」技術は、一連の研究の最新の成果として発表されるもので、ExPixelよりもさらに、一般に広く普及している液晶ディスプレイに利用できる技術で、偏光メガネのような装着物を必要としない多重化技術です。この技術は、大学院情報工学専攻の総合プロジェクトとして、従来からメガネが不要な3Dディスプレイを研究する谷中教授と白井研究室の大学院生・鈴木久貴さんとの共同で、レンチキュラー板と呼ばれるプラスチックレンズおよび、リアルタイム画像合成ソフトウェア(Unity)によって、幅広い利用者が利用できる機材構成において実験を通して完成させました。これには、
  (1)視聴者の方向に対して異なる映像を表示可能
  (2)視聴者の方向に対して、正しい矩形が保たれた表示が可能
  (3)メガネ等の装着物やセンシング不要
  (4)コンテンツ視聴方向に正しい指向性音響
  (5)既存のディスプレイにユーザによって着脱可能
 といった特徴があります。キャラクターやロゴマークのような、表示比率が正しく表示されるべき図画を視点に依存せず正しく表示可能な、新しい感覚のディスプレイ技術です。

 本技術の応用の可能性は広く、デジタルサイネージ、裸眼3D、映画館やライブイベント、図形にセンシティブなキャラクターやロゴ、交通標識、美術館やミュージアム、リモートロボットの操作、多人数で同時体験可能なAR(拡張現実感)広告、印刷物への応用、といった用途が提案されています。既存のVRやARに利用されていたHMDやタブレットコンピュータといった装着物が不要になるため、インタラクティブ技術と組み合わせることでより広い応用が見込まれています。具体的にはスタジアム等の大型スクリーンへの利用で、利用者の着席位置に対して、視聴角度によって歪みがない画像や広告、応援するチームにあわせた情報や言語を表示できます。2020年に開催される東京オリンピックを背景に、3Dや4K/8Kといった高解像度ディスプレイに対して、強い推進力をもつ技術になることが期待されます。

 この技術は幾徳学園 神奈川工科大学により特許出願中であり、3月23〜27日にフランスで開催される、ヨーロッパ最大のVRに関する国際会議Laval Virtualにおいて、そのプロトタイプである「GAD:Glassless Augmented Display for PublicSignage」を一般・専門家向けに展示発表する予定です。国内では3月1日にTEPIAホール(東京・北青山)にて、連携企業とともに初の発表会を行います。研究成果発表会である「エンタテイメントシステム工学研究会」は、白井准教授の専門とする科学コミュニケーションやエンタテイメント工学技術から、株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリといった企業を軸に、教育、医療、福祉、交通、施設、インフラ等へ、オープンな産学連携活動で活躍する企業パートナーが集まり、次世代の「おもしろいモノづくり」を共有します。参加無料(要申込)。


 ■白井研究室研究成果発表会「エンタテイメントシステム工学研究会」(2016年3月1日開催)
  詳細:http://blog.shirai.la/blog/2016/02/20160301/
  申込:http://j.mp/TEPIA20160301
 ■白井研究室「ExField」:http://blog.shirai.la/projects/exfield/(動画あり)
 ■白井研究室「ExPixel」:http://blog.shirai.la/projects/expixel/
 ■フランスLaval Virtual:http://www.laval-virtual.org/


【商標について】
 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上




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